人に優しく

昼休み、定食屋で魚の定食を食べていると、私の席の隣に同じ仕事着の四人組がやってきた。その中のひとりは小柄な外国人の研修生のような青年、そしてまた別のひとりは会話の内容から、その教育係のような人物であると私は推測した。

聞き耳をたてるワケでもなく会話の全容は丸聞こえである。だって日本はせまいから。青年は教育係の男性をとても慕っているようにみえた。目はキラキラ、顔はニコニコである。

教育係の男性は会話の内容からも相手の立場を考えて親身になっている様子がよくにじみ出ていた。いい人である。心から青年を成長や成功へ導きたいという思いが、発する言葉から多分に感じてとれた。その優しさを無下に笑う者がいたとしたら、その者の罪は決して軽いものではない。

「いいか?お前がまだ日本語に慣れてないのは、みんな知ってるんだ、大丈夫だ、だけどなぁ、なんか説明したあとに、理解してねぇのに返事はしちゃあダメだ、みんな分かってるもんだと思って混乱しちゃうだろ?分かんねぇもんは分かんねぇって正直にいっていいからな、大丈夫だ、気をつけるんだぞ、分かった?」

「ハイッ!」


私は箸を置き
トイレに駆け込んだ
                 

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