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東北横断の旅 04 最上川と羽黒山

早朝に山形市を出発し、一路北へ向かいます。

途中に立ち寄った新庄ではめずらしい光景を目にしました。

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新幹線と在来線が並んでいます。ここは山形新幹線の終着駅。線路も行き止まりになっています。在来線も新幹線と同じ線路を使うので、新幹線が通過する合間を縫って走っています。

ここで新幹線とは別れを告げて、新庄から西へ向かいます。

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新庄駅から5つめの駅、古口で降りました。ここまで来れば最上川はすぐ近くのはずです。駅を離れ国道沿いに出ました。

今日もあいにくの雨模様です。

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最上川はすぐ側を流れていました。初日以来の再会です。

山形平野でのゆったりとした流れから打って変わって、狭い山脈の間を抜ける最上川は急流になっています。このあたりは最上峡と呼ばれています。

芭蕉の有名な俳句

”五月雨を集めて早し最上川”

この急流を見て詠んだものかもしれませんね。

その芭蕉は、奥の細道の旅のとき、これから向かう道と同じルートを辿って庄内平野に出たはずです。最上川に沿って歩いていくことにしました。

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川の方に目をやると、舟が行き来しています。風光明媚な景色があるこの流域では、観光船で急流を下っていく川下りラインが就航していました。

旅の後にわかったことですが、芭蕉も実は舟に乗って川下りをしたそうです。時すでに遅しですが、川下りを選択するべきでした。

川沿いの国道をしばらく歩いていくと、前方に一時停止したドライバーの方から声を掛けられます。

「どこまでいくの?」

いえ、ちょっと、景色を眺めながら・・少し歩いていってみようと思って

「そうか、この先十分に気をつけてね」

ドライバーの方は走り去りました。

この時はあまり重く受け止めていなかったですが、すぐにその意味を知ることになります。

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ほどなくして国道脇の歩道が消え、さらにガードレールと柱の隙間もみあたらない状態に遭遇します。これは・・つまり、この先まで行く歩行者は皆無で、歩道の必要性がないということでしょうか。

川と急斜面に挟まれ、この国道以外にはそれらしい道もない状況です。立ち往生するわけにもいかず、車の往来が途切れた瞬間を狙って少しずつ前進するしかありません。

そして、人里外れた国道ですが思ったより大型ダンプが通過します。そのたびにヒヤリとさせられました。

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四苦八苦しながら難所を超え、トンネルを抜け、少し色づいた山々の紅葉を眺めます。ムービーも撮影してみました。

その後、並行しているJR陸羽西線の駅が見えてきました。

最上川の峡谷はまだしばらくつづいていきます。予定ではもう少し先へも徒歩で向かうつもりでしたが、雨足もだんだんと強くなってきていますので、ここで切り上げて列車を利用することにしました。

なにより、歩道が無い国道は危険すぎます。

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駅で待っていると、のどかな列車がやってきました。ちょっと一安心です。

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あっというまに峡谷を過ぎ、最上川とも別れ、広大な田園風景が広がります。庄内平野です。

遠くに見える背の低い山々、次の目的地、羽黒山です。

鶴岡駅に着き、すぐに路線バスに乗り込みます。このバスは羽黒山頂行き。終点まで揺られていきます。

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バスは峠道ハイウェイをエンジンに唸りを上げて登り切り、羽黒山頂に着きます。

羽黒山は月山、湯殿山とともに出羽三山のひとつに数えれられ、太古の昔から修験道の聖地として崇められています。芭蕉も羽黒山に参拝しています。3つの中では一番アクセスの良い山でしたので、立ち寄ることができました。

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御本殿です。少し標高が高いところにあるので、境内のモミジも周辺より早く真っ赤に染められていました。

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鳥居の先からは長い石段です。本来でしたら石段を登り御本殿に参拝するのが正式なお参りですが、日没も近いので逆コースにしました。

石段を1段1段降りていきます。

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羽黒山は標高414メートルと比較的低い山ですが、それでも石段の長さはどこまでも続いているように思えました。

立派な杉並木から両側を挟まれながら、さらに下っていきます。

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途中に小さな社殿や茶屋の建物が立っています。小休憩を取りながら上っていくための配慮なのでしょうね。

日が低くなり、だんだんとあたりが暗くなって静寂が支配するようになってきました。石段の周囲は特別な雰囲気を持っています。

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唐突に、林の中に五重塔が姿を現します。木々に埋もれるようにひっそりと立っています。

羽黒山を象徴するこの五重塔は国宝です。すべてが木造、余計な装飾がない和風建築で、とても趣があります。近くには樹齢千年といわれる「爺杉」があります。

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随神門を出れば、羽黒山の参拝が終わります。

外はますます雨が強くなり、雷も鳴り出していました。急いでバスや列車に乗り、今日の宿泊地、酒田に向かいます。

次回は酒田、東北横断の旅の終着地です。


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