余談:ファッション業界でのビジネスマナーってどんなんだろ? 1:直接接触

 まあ、ファッション業界って、なんとなくのイメージなのでしょうが、まあわりと尖ってます。特に専門学校生の尖り方は「私が正義!」的な尖り方してます(たまに「我は魔王なり!」っていう風に尖っちゃう人もいてそうですけど)。

 でも、ファッション(に限らずなんですけど、ファッション業界の話なので)に情熱を掛けられるという意味では、彼ら彼女らは基本真面目です。まあ見た目で損をしているってのはおおいにありますね、正直なところ。でも、そういう風な第一印象だからこそビジネスマナーがそれなりであれば「見た目はあれだけど礼儀正しいな」とかって勝手に思ってくれたりなんかします。ギャップですね。有効活用しましょう。

 とは言え、私そのものがマナーブレイカーな面が多いので、正しいマナーってなんなのよ?って言われたら、とっても困ります。いや、マナーは守っていないわけでもないんですけど、ちょっと例外的なアクションが多くて。「まいど!どないでっか?!」とか「いやー、お元気そうでなにより♪」とかってタイプです。基本はスーツにスニーカーですし。苦笑。でも、まあ20年以上いろいろな方々と付き合っていく中でマナーってなんなんだろうっていうのはうっすらとは思うようになってきています。

 ですので、どちらかと言えば表側の行動ではなくて「なぜ」であったり、適度な崩し方だったり、そういう感じのマナーだったら割と自身があります。初対面の人と平気で笑顔で話せるのは私の特技の1つですから。

 まず、第一の壁が電話のかけ方受け方でしょうか。そこからやってみましょう。
1:電話を受けるとき
 A:「もしもし」は不要。ここ案外重要です。まあ「もしもし」って言っちゃってもいいんですけど、ここあたりは格好よく、
「お電話ありがとうございます。○○会社の○○です。今回はどのようなご用件でしょうか?」ってやりたいところですね。
 はい、ここまでが最初の1セットです。場合によってや、会社によっては「今回は」以降は不要だったりしますけど。なぜもしもしが宜しくないかといいますと、まあ時間の無駄ってのもありますが「もしもし」の語源は「申すぞ、申すぞ」だったって事にも関係がありそうです。上からですね。「お電話ありがとうございます」っていうのは、要するに興味を持っていただき、わざわざ電話までしてくれたことへのお礼です。「○○会社の○○です」は、名乗りですね。間違い電話かも知れませんから先に名乗った方がいいんですよ。あとからややこしくならなくて。場合によっては「○○会社です」だけでも良い事もおおいんですけど、要するに間違い電話対策程度に思っておいてくだされば充分です。ちなみにここでは相手の名前を意図的に問う事はあまり致しません。クレーム電話とかだったらお客様がお怒りですので、まあ波風を立てないようにするための生活の知恵です。

 まあ普通はここで相手が名乗りますので、相手の名前を聞いたら
「お世話になります」
と言うのが定型文です。この時にメモを忘れないようにしてください。他の人に繋ぐときに社名と名前くらいは伝えたいですから。まあ失敗しても案外なんとかなってきましたけどね。地方の方とかだと聞き取れなかったりするんですよ。苦笑。

 ここで、自分への電話だったら問題なく話題に入れるんですが、他の人の場合だと電話を転送するなりして電話を替わる必要があります。この時は
「○○ですね。少々お待ちください」で十分です。で、電話を代ります。

 B:他の社員から電話が転送されてきたときは
「おまたせしました。○○です」が基本です。よくして頂いている得意先とかだったら、ここで様々なバリエーションが生まれますが、まあ基本はこれで十分です。「おまたせしました」は、たとえ数秒でも使いましょう。相手は(大抵は)電話料金を払って電話してくれているわけですから、このあたりは重要です。まあ中が良くなったら「おー、お久しぶりです!」なんて方が受けがよかったりしますけどね。まあこのあたりの距離感はやっているうちに身に着けるものなので、普段は意識しなくてもいいと思います。 

2 電話を掛けるとき(相手の携帯に)

 実は、携帯の普及に従って多少ルールが変更になってきています。携帯へ掛けるときの基本形は、
「恐れ入ります、○○様の携帯でよろしかったでしょうか?」
から始めます。間違い電話予防ですね。いや予防になってませんけど。次に
「お世話になります。○○会社の○○と申します」です。数回程度あっただけの人であれば忘れられている事を想定して「と申します」って使いますね。

次に
「今少々お時間よろしいでしょうか?」が携帯の時の特徴です。相手がどのような状態かわかりませんからこういう風に聞いておきます。問題が無ければそのまま内容に入っていいんですが、そうじゃない時には都合がつく時とかだけでも確認しておきましょう。最低でも「あとからかけなおします」の言葉はひきだしておきたいところです。まあ当然ですね。用事があるから電話しているわけですから、用事を伝えないままでギブアップしては意味がません。まあしょせんこの程度でなんとかなります。

3:電話を終えるとき

「それでは、今後ともよろしくお願いいたします」が電話を終えるときの定型文です。内心で「二度とあわねえよ!」とか思っててもリアルに「二度とあわなさそうだな」って思っててもこれは遵守です。なにがあるかわかりませんから。
 基本的なルールとしては、電話を掛けた方が電話を切るっていうものがありますが、ぶっちゃけこのあたりは適当です。慣れないうちは相手が電話を切るのを待つ方が賢明です。自分側に用事がなくても相手側はもう少し話したいときとかを想定するわけですね。まあここも厳密ではありませんから、それなりになんとかなるものです。あんまり気にしないようにしましょう。

電話を切るときに「ガチャン!」って切るのはNGです。これは本気でNGです。受話側を手のひらでおさえて、送話側側からゆっくり置きましょう。耳元で「ガチャン!」は、人によりますが、かなり相手の神経にさわります。

4:電話を掛けるとき(会社の電話)
これは簡単です「お世話になります。○○会社の○○ですが、○○様いらっしゃいますでしょうか?」が基本です。相手がでたら「○○会社の○○です。おせわになります」でいいわけです。まあ「お世話になります」は相手も言いますから、割とかぶります。かぶっても気にする必要はありません。

5:得意先などに会うとき

 A:服装:できるだけスーツにネクタイが望ましいのですが、ぶっちゃけTPOです。ただ、それほど親密じゃない場合はスーツにネクタイの方が良いと思います。地味に相手に真面目感を与えられる可能性がありますから。っていうより、逆だとなめられます。
ここで若手であれば、アパレル企業らしく、さりげないおしゃれポイントを入れておけばいいでしょう。私は胸のフラワーホールあたりとかにアクセをぶら下げたり、細身のネクタイをしたりしていました。このあたりが難しいところでもあるんですけど、やっぱりファッションを売っている限り、どこかでファッションセンス的な物を見せておきたいわけなんです。最低でもファッションに興味があるイメージはつけておきたいところですね。上手くいけば最初の話題になってくれますのでその場合は一石二鳥です。この時に重要なのは一つだけで、相手の服装を責めない事。可能であればどこか褒めるポイントを探したいところですね。そういえば言い忘れてましたけど、リュックタイプのビジネスバッグは片手で持つようにしておきましょう。わたしは社会に出てからの大半は3way を使ってますけど。

 出会ったら、初対面の場合、一礼して「○○会社の○○です。おせわになります」が基本形です。電話の場合とお世話になりますの位置が逆ですね。なぜそうなのかって言われるとちょっと困るのですが、ここからは自分を売り込みに入るわけですから、名まえ→お世話になりますで「私がおせわになりますのでよろ♪」的な意味がでてきます。
名刺がすぐに出せるようであれば、同時に名刺を出しましょう。かばんとかで手がふさがっていれば後からでも問題ありません。名刺を出す基本ルールは下位から出すのが通例ですが、ぶっちゃけ大抵同時に出します。まあ、先に出す分には失礼ではありませんから、できるだけすぐに出せるように準備しておきましょう。ここで相手が名刺を用意しているようでしたら、即その場にかばんを置いてでも名刺を出しましょう。ちなみに名刺を出したりしまうときにはズボンのポケットはNGです。上着のポケットかスーツの裏ポケットに入れておくか、かばんの中とかに入れておきましょう。手帳があったら手帳からでもOKです。基本形は腰から上の場所です。かばんの中の場合は例外♪
ちなみに名刺が切れている時は素直に「ちょっと名刺を切らしちゃいまして」って素直に言ってしまいましょう。「後日郵送します」ってつけときゃその場なんかはなんとかなります。実際に郵送しないといけないのは当然ですが。この時は簡単でいいので一筆添えておくのが良いでしょう。名刺だけが封筒に入ってたらちょっとビビりますから。文面は「先日はありがとうございました。その折お渡しそびれた名刺を同送致します」で十分です。

 商談室に入ったら
 とりあえず、仲が良ければ別ですが、そうじゃなければ席を進められるまでは椅子にすわらないようにしましょう。また、空いている席にかばんをおくのもできたら控えた方が好感度です。足元におきましょう。ここからは商談ですから、まあその時の内容云々ですね。自力でなんとかするところです。
あ、頂いた名刺は商談中は名刺入れの上か、複数枚だったら机の上に置いておきましょう。一応ルールでもありますし、ぶっちゃけ名前をど忘れしたときに便利です♪一応置く順番としては、役職が上の人から順に上から下へが基本です。わけがわからなかったらどうでもいいです。横並べっていう技もあります。邪魔になりますけど。笑。

 商談が終ったら
 相手の都合にもよりますが、大抵の場合出口まで送ってくださいます。それに従うようにしてれば無難です。最後はエレベータ前か、扉の前とかで分かれますが、その時には、基本としては相手が見えなくなるまで頭を下げ続けます。私はこの時に基本形として「それでは、よろしくお願いします」って言いながら間を下げるようにしていますが、まあ、要するに無言で頭を下げるのってなんとなく変だからそうしているだけで「ありがとうございました」でもなんでもいいです。

 商談中にトイレに行きたくなったら
 話が一段落した時に「申し訳ございませんがおトイレお借り出来ませんでしょうか?」って素直にお願いしましょう。弱みにならない弱みを見せておくのも技術のうちだと割り切って、無理せずに遠慮なく頼めばいいと思います。よっぽど話がこじれていない限りは普通に教えてくれますから。この時に重要なのは、話を途切れさせてはいけないっていう程度ですかね。むしろ帰ってきたときの方に意識を向けておきましょう。「ありがとうございました」でも「お時間を取らせてしまい申し訳ございません」でもなんでもいいです。しょうもない話ですが、ここから話が弾んだりすることもありますし。

まあ、ざっくりとはこんな感じですが、端的に言えば「わざわざ時間を取っていただいている」という感謝の気持ちがあれば、まあ大抵は上手くいきます。特に若いうちは多少のミスはあるあるでしかありませんから、少しくらいやらかしちゃうくらいでもいいと思います。上司とか一緒だったら教えてくれますしね。

*大阪ローカルルール
「お世話になります」の代わりに「毎度です」とか「まいどおせわになります」を多用します。そこそこ仲が良くなったら「毎度!」で済みます。でも、特に相手が年上だったら、相手が「毎度!」を使わないうちは「毎度です!」くらいの軽い敬語感はあった方がいいと思いますが、この「毎度!」って、親近感の現れなので「毎度っす!」とかでもいい場合が多いんです。このあたりは応用編になりそうですけど重要です。なれたらどうってことありませんけど。

 とりあえずは一旦この程度で。

最後に重要な事を書いておきます。マナーってのがなぜ存在しているのかっていいますと
「相手を不快にさせない為」
 これに尽きるんです。ですからそこさえ守ってさえいれば、ぶっちゃけどう崩してもいいっちゃいいんですよ。むしろ距離感を量りながら、少しずつ馴れ馴れしく、とはちょっと違うんですけど、例えば仲がよい取引先からの電話だったら「まいどどうも。どうですか調子は?」の方がうけいれられますし、むしろ相手が親近感を持ってくれているときにあまりに定型句に縛られると「なんか距離感あるなー」とか相手側に思われちゃいます。
まあ、このあたりはどうしても経験ですので、多少の失敗を恐れずにいろいろチャレンジしてみて欲しいなってのがアパレル的かな?って思ってたりします。アパレルの業界人ってわりとそういうところ適当ですから、こういうところで重箱の隅は突きません(っていうか、一部の人を除いて突けません。みんなわりと適当ですから)。よっぽどひどい場合じゃない限りは流してくれますから大丈夫かと。まあ人にもよりますけど、正直そういう人は滅多にいません。仮にそういう人に出会ったら「申し訳ございません、なにか失礼がございましたでしょうか?」で、まあ何が問題か教えてくれます。反省すりゃいいだけです。余裕ですね。 

このあたり「ビジネスマナー」で調べりゃいくらでも出てきますが、特に若いうちは多少は大目にみてもらいましょう。特権です。私くらいの年齢になると逆にマナーがなってないと困るんですが、マナーの本質は「相手を不快にさせない為」ってことさえ押さえておけば、最悪な行動は起こさないでしょう。いずれは経験でどうとでもできますから、それはそれで。

っていう感じで気楽に考えて置いたらいいんじゃないでしょうかね?緊張して固くなるより良いお話ができると個人的には勝手に思っています。

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