アパレルで私が思ってる事。 主観に基づいた現在の見解。3:じゃあ私はどんなこと考えてるのよ?

 まあぶっちゃけアパレルから離れているにも関わらずこういう事を書くのってどうなんよ?って思う気分もあるんですけど、やっぱりファッションアパレル好きなんですよね。思えば母は洋裁の仕事(婦人服のオーダーメイドや直し)を私が子供の頃にやっていましたし、ミシンを玩具にしていた幼児時代がありますから。まあ「センスは良いけど趣味が悪い」とかって大学時代に言われていたのでデザインには進まなくてよかったと一安心してたりする立場で偉そうな事も言えないんですけど。一応今現在で思っていることを。

 まあ、端的に言ってしまえば洋服が氾濫しすぎてるってのが個人的な感想その1で、その割に同じようなモノばっかりってのが個人的な感想その2なんです。多様化多様化と言いながら、売場に並んでいるのは同じようなテイストのモノばかり。多様化してないじゃんってのが本音だったりします。
 まあこのあたり、ちょっと私の行動領域が現役時代と比較して狭くなっているだけかもしれませんので一概には言えません。でもスーツはみんな黒かグレー、おしゃれポイントを探してもどうも見つからない、婦人服はそれなりに賑やかですけど、でもわりと単色ものが多かったり。まあいいんですけどね。要するに個人的な話として「これかっけー!」って思うような服が少ないんですよ。似たような服からどれがマシかをセレクトしてる感があって、これってどうなの?って感じです。

 これがもし他の人も同じように感じているんだったら、それってPOSの弊害だと思うんですよ。POSを素直に読解したら、どうしても売れ筋集中型になっちゃいます。昔はそういうのを避けるために「好きなようにしていい枠」とか作ってましたけどね。もう笑うしかないような商品ができてきたりしました。平均1万5千円のコートの価格レンジなのにある日突然4万円のコートとか出来上がってきやがりました。原価率聞いて即採用しましたけどね。プロパーでは売れませんでした。苦笑。

 まあ、生地ロットっていうかなり強い制約の下でしか服を作れないってのが日本のアパレルの現状ですから、わかっていても余分に作るしかないっていうのも納得はしませんが理解はします。納得しなかったのでロットが大きくて売れなさそうな商品は片っ端から中止しましたからね。苦笑。でも理解はしています。

 個人的に強く思っているのは「アパレルって既成概念にとらわれすぎてないか?」ってところだったりするわけですよ。そもそも生地ロットが大きいのって紡績の都合でしかなくて、紡績って比較的大きな会社が多いのであんまり誰も何も言わない的なところがあるんですけど、ちょっと小ロット対応考えてくれよ的な事はたまに思います。
 まあそこんところは難しいとしても、見た目上のテキスタイルを変更するだけなら小ロット対応は可能なんですよね、今って。典型的なのはいわゆる「痛Tシャツ」とかですね。あれってインクジェットプリントだと思うんですけど、ぶっちゃけ小ロットです。しかもかなり細かい絵柄も印刷できます。インクジェットプリントの商品は一度か二度採用したことがあるんですが、当時ですら「すげー!」って思うようなものでした。ちょっとお高かったのも事実ですけどね。でも今の技術とか大量発注とか生地段階で流すとかそういう事を検討すれば値段が下がる気もしてるんですよ。そうなったら同素材で見た目が違うテキスタイルを小ロットでいろいろ作れるようになるので、多品種少量生産とかに対応できる気がしてたりします。

 まあ、一旦締めておけば、日本のアパレルは多品種大量生産気味になっているけど、それって本当にそれしか手が無いの?って話です。Tシャツなんかでよくやったのは、同パターン同色、プリントのデザインだけ変えるってのをやってました。縫製までのロットは大きくてもプリントを後回しにすることで(転写プリントかなんかだったかな?)、同デザインとしては少量で作成できたんですよね。このあたりの技術をもしシャツなんかに生かすことができたら、シャツの色柄は一気に多品種化できそうです。まあ技術的な課題が山積みになりそうでもありますけど。要するに多品種少量生産の方法論はまだまだあるんじゃないかな、って事を今考えてます。

 他にっていいますか、ちょっと根っこに戻るんですけど、ユニクロが爆発的に売れた背景には、一つは当然バブル崩壊によるデフレに乗っかったっていうのもあるんですけど、もう一つ大きな要因として、ファッション疲れしている人たちが「ユニクロでいいや」的な流れに乗ったってのもあるとおもうんですよ。ですからファッションっていうかモード的なファッションっていうか、まあそういうところを盛り上げる為には、今の比較的大人しいデザインっていう流れでは満足できない、端的に言えばファッションが好きな層とか個性を出したいっていう層にアプローチすべきだと思うんですけど、普通に売っている商品だと無難すぎて対応できないんですよね、多分。
 でもそういった層は一定以上は存在していて、じゃあ彼ら彼女らはどこへ行ったのかっていえば、一つはコスプレ、もう一つはなんちゃって制服、この2つははっきりとそういう層だと言えそうなんです。であればファッションに関わる人たちは今後、例えばラノベの挿絵やアニメの設定画なんかを勉強する必要があるんじゃないか、とか、アイドルのステージ衣装なんかももっと本気で見ないといけないんじゃないかとか思ったりしてます。要するにもっと幅広くいろんなものを見て、デザインとかそういう感性の幅を広げる必要があるんじゃないかな、って思うわけです。

 それとはまったく別なんですけど、オーダーメイドっていうのをもう一度見直すべきだと個人的には思っています。ZOZOSUIT的な発想ですね。目の付け所は本当に良かったと思ってます。下手くそなりに自分で服を作ってる私からすれば、ZOZOSUITの測定クオリティとかコンセプトを考えた時には「あ、これは多分失敗する」って思ってましたし、NPのコメントでもそういう感じの事を書いてたと思います。そもそもジャストフィット=着心地が良いじゃないんですよ。ましてやスタイリッシュにしようと思えば。オーダーメイドの良いところは多分大きく2つあって、一つは着心地が良いって事で、もう一つは個人に合わせたかっこよさを出せるってところだと思ってるんです。ZOZOSUITではその2点ともクリアできそうにないなって思ってはいたんですが、その前段階からオーダーメイドっていうか、カスタム化ってのはかなり念頭にあって、ひょっとしたらZOZOSUIT以前の段階でNPでコメントしてるかも知れませんけど忘れたからどうでもいいんですが、少なくとも型紙を作るっていう、自分で服を作るときに一番面倒なところがコンピュータに任せられそうな気がしていたんですよ。型紙作成・裁断まで自動でできれば、仮縫い用のミシンとか(あるかどうか知らんけど、まあ作れるっていうか縫い幅調節してミシン糸を専用のモノにすりゃできるだろ多分)で仮縫いして、テーラーで微調整してもらって、その情報をもとに本縫いを行うって言う流れはありかなって思ってたりしてたんです。テーラーのネットワークとか作ることが出来れば比較的容易かなーって。手間がかかる分価格は上がるかもしれませんが、消化率100%を前提に金額設定できるので、意外と安くあがるんじゃないかなってちょっと思ってたりします。まあ生地の残や生地在庫は必要になるので原価計算上では消化率100%ダイレクトってわけにはいきませんけどね。でもそれを踏まえても安くならないかなーって。この方法だったらカジュアルとかでも作成可能ですし、ちゃんと洋裁を習っていた方々なら直しだけならそれほど面倒でもないでしょうし。私にゃまだ無理だけど。ちゃんと洋裁習ってないからなー。トホホ。
 
このあたり、要するに仮縫い→合わせ→調整っていう工程を挟めば現実化できそうな気がしてます。っていうか仮縫い→合わせ→調整っていう工程を挟まない限りきちんとしたものはできないだろうなって思ってるってのが本音ですけどね。ここを現実化させようと思えばテーラーとかのネットワークを作る必要がありますね。でも逆を言えばテーラーとかのネットワークさえできれば現実化しそうな気もしてます。

 まあ、まとめちゃうと、少量多品種生産のための工夫をしていけばどうだろうか、ってのと、オーダーメイドってきちんと考えてやればこれからにマッチしていくし、みんなで協力したら案外安くなるんじゃないかな、カジュアルでも作れるんじゃないかな(カジュアルの方が動きが激しい可能性が高いので、オーダーメイドする価値があると個人的に思ってたりもします)っていう2つの方法論と、その根元にあるのは「要するにやっぱり少量多品種じゃね?そうじゃないと個性が出せないよね?」ってところです。このあたりがうまく回れば現在の極端な供給過多の状態から脱出できないかなーって思ってたりします。

まあそんな事をぼやーっと考えながら生きてます。あとはついでに新しいECプラットフォームとかのいろいろもぼーっと考えてたりしたりして。

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