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ラノベからビジネスを語ろう 1:響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ(武田綾乃 宝島社文庫) 空気を読まないという空気の作り方。

 ※中身について違う視点から考察しようって話ですので、当たり前にネタバレ含みます。ネタバレとか嫌な方は読了後にどうぞ。一応書いておきますが続刊のネタバレはさせません。
 
 『響け!ユーフォニアム』は、TVアニメにもなったり、映画になったりと有名どころの作品ですから、まあご存じの方も比較的多いかと思います。吹奏楽部ですから、組織運営とかそういう話になりそうですね。あとは社員教育とかモチベーションとかですかね。
 まあ最初から構えるのもなんですので、まずは軽く読み始めて見ましょう。1巻目の『北宇治高校吹奏楽部へようこそ』が今回の主題です。

 まあ、ラノベか?って言われると微妙ではあるんですよね、この作品の場合。レーベルも宝島社文庫ですし、帯には「青春エンタメ小説」って書かれています。青春エンタメ小説とラノベとの区分けがあるのかないのかよくわかりませんし、まあ軽めなお話と言う意味では広義に勝手にラノベだと独断しておきましょう。
 作者の武田綾乃さんは同志社大学の1回生の時に『今日、きみと息をする。』で宝島社主催の新人賞の第8回日本ラブストーリー大賞で「隠し玉作品」という形でデビューした新進気鋭な感じの作家さんです。『響け!ユーフォニアム』は彼女が小中学生の頃に所属していた吹奏楽部の経験を元に、母校の嵯峨野高校やらを取材して書いた作品で、彼女のデビュー2作目にあたります。一応お約束としてはこんな感じでしょうか?

 さて、物語は主人公の黄前ちゃんと高坂麗奈が中学校の最後の京都府吹奏楽コンテストで「ダメ金」と呼ばれる、金賞なんだけど次のステージには進めない賞をもらった時のエピソードをプロローグにしながら、彼女たちが北宇治高校へ入学したところから始まります。

 入学式で校歌斉唱の時に北宇治高校の吹奏楽部の演奏が行われますが、黄前ちゃん曰く『「・・・・・・これはヒドイ」』(P11)という、端的に言えばド下手な演奏で、黄前ちゃんも『高校でも吹奏楽を続けようと思っていたが、このレベルならやめておこう。関西大会どころか京都大会で金賞ですら無理だ。』(P12)というものでした。
 まあ結局クラスで出会った葉月ちゃんとサファイア川島に思いっきり流されて吹奏楽部に入るんですけどね、黄前ちゃん。

 さて、吹奏楽っていいますか、合奏合唱どちらでも言えるんですが、優れた指導者が一人入ると一気に変わります。いやマジで。って言うとまるで私が合唱とかの経験者のようになっちゃいますから先に言っておけば、自慢じゃありませんが歌う側としては未経験者みたいなものです。とある場所で合唱は日常的に触れていましたが、これもとある理由で歌う側じゃないご用事が基本ですので歌ってる場合じゃなかったりします。まあ最近はちょっとバスの人数不足で歌うようになってきましたけど。
 まあ要するに優れた指導者が一人入ると一気に変わるって事は体感はしているわけです。言い訳終了。

 さて、北宇治高校の吹奏楽部ですが、顧問の先生の産休に伴って、滝先生と言う若い先生が新しく顧問になります。優れた指導者ってやつです。彼が顧問になったことで北宇治高校の吹奏楽部は大きく変化を始めます。

 っていうあたりが導入部ですかね。ビジネス書としてラノベを読もうってのが主旨ですから、滝先生の手腕っていうのは重要な要素の一つです。

 後から対比とかするのも面倒なので先に登場人物とそれぞれの立ち位置的なものを確認してみましょう。
 実社会では1年生から3年生に順番に立ち位置が変化しながら3年でコミュニティから外れていくみたいな事は、まああり得ませんから、まあ事業会社だったらこういう感じだよなー的な立ち位置を想定していきます。敬称や呼び方は私の内面での呼称ですので流してください。笑。

 小笠原晴香ちゃん 3年生でおどおど自信が無さげな吹奏楽部部長さんです。立ち位置イメージとしては前任者が急に辞めてスライド式に支店長を任されたって感じですかね。
 田中あすか先輩 3年生の副部長で、まあすっごくできる人ですけど、マイペースです。なんでもできる人ですので部員からの信頼も厚く、実質部長じゃね?みたいな感じの人です。でも本人はひたすらマイペースですね。空気読みながらでもその空気に合わせずに自分のしたい事をできちゃうタイプです。普段は目立たないけど、何かがあったらみんなが頼りにいくようなベテラン社員みたいな感じですか?
 中世古香織ちゃん 3年生のトランペット奏者で、それなりに実力は高くて後輩たちからの信頼も厚いんですが、それほど前にでるタイプじゃない大人しい性格です。祭り上げられちゃうタイプですし実際祭り上げられます。
 中川夏紀ちゃん 2年生のユーフォニアム奏者で、高校生になってから吹奏楽を始めた先輩です。「ポニテ先輩」として有名です。
 吉川優子ちゃん 2年生のトランペット奏者で、中世古先輩の熱心な支持者です。悪い子じゃないんですけどね。盲信しちゃってた感はあります。

 まあ、2年生は社員その1、社員その2って感じですかね、とりあえず。それぞれ違うタイプです。

 では1年生。
 黄前久美子ちゃん 主人公っていうか小説の語り部的な?三人称小説ですから読者視点にいる存在です。周りに流されやすいけど実は仕事はできる新入社員ですかね?ちょっと毒があるあたりが可愛いところです。まあ個人的な趣味ですが。小学校の頃からユーフォニアムをやってる、実はベテラン奏者です。
 高坂麗奈 ヒロイン枠?笑。盲目的なまでに滝先生ラヴな娘です。超エリートな新入社員って感じですかね?強豪校の推薦を蹴ってまで滝先生を追いかけて北宇治高校に入学してきた強者です。トランペット奏者です。
 川島緑輝 緑ちゃんです。緑に輝くと書いて「サファイア」と名付けられた不幸な生い立ちの少女です。いや子供の名前は本当に大事ですよね。彼女は彼女で強豪校からの新入生です。コントラバス奏者です。
 加藤葉月 高校に入ってチューバを始めた新人さんです。とりあえず元気。
 塚本秀一 黄前ちゃんの幼馴染。中学まではホルンだったが、高校に入ってトロンボーンに変えた。

 で、滝 昇先生。 新しく吹奏楽部の顧問になった先生です。指導者としては優秀なんですが、ちょっと人間関係構築に難があるといいますか、良い意味でも悪い意味でも裏表がありません。空気読めないって言えばいいんですかね?まあ本社から出向してきた部長クラス的な感じですかね?
 ちなみに今回は滝先生の行動というかそういうのを中心に追いかけていく事になる気がします。全体構想とか考えずに書いてるものでわかりませんけど。苦笑。
 でも、まあ、滝先生が「・・・・・・これはヒドイ」(by黄前ちゃん)吹奏楽部をどうやって立て直していくかって話ですから、滝先生が中心にはなる事でしょう。

 さて、滝先生ですが、最初に吹奏楽部の目標を部員全員に聞きます。二択です。「全国大会出場」or「のんびり大会に出る」かです。
 これ、滝先生にはそういう意思は無さそうなんですが、実はズルい方法ですね。黄前ちゃんも言ってます。
『こういうとき、じつは何を選ぶべきかはすでに決まっているのだ。大人がいるなかで提示される選択肢、子供はそのなかでもっとも正しいものを選ばなくてはならない。世間的に正しいもの、社会的に正しいもの。それらは自然に淘汰され、各々の胸のなかで選ぶべき答えは絞られる。』(55P)

 まあ実際そうなんですけどね。それでもこういう風に考えちゃうあたりに黄前ちゃんの毒物的なところが見えて、個人的には親近感がわくわけですが。
 企業でも同じですね。面と向かって正面から「会社を伸ばしたいか、このままのんびりやりたいか」って本社から出向してきている部長さんに聞かれて「いやのんびりやりたいです」って答えられる根性がある人は中々いません。っていうよりそう答えられる人ってのは大抵の場合は「言われなくても結果を出せる自信がある」人です。
 実は田中あすか先輩はこのタイプっていうか「言われなくても結果を出せる自信がある人」だったりします。ですので彼女一人だけはこの後に起きる喧噪の外側に居続けられるんです。

 まあ、実際思うところはどうであれ、多数決的な数の暴力で「全国大会出場」という目標が決まっちゃいました。さて、個人的にはここからの滝先生の行動が中々ツボだったりします。端的に言えば、

 「宣言した限りは全力を尽くさせる」

 という姿勢です。

 まあ多数決の時に数の暴力的な決め方とか答えは決まってるとかそういう事を書いちゃってますので、なんか悪い事をしているかのように見えますが、実際のところ、建前ってのは成し遂げてしまえば建前でもなんでもありません。それであれば建前だろうがなんだろうがやってやればいいんです。
「できない目標を立てるな」っていうのもあるかもしれませんが「目標を立てたらとにかくそれを目指す」ってのの方は大前提です。しかも建前とか流れに流されてであろうとも自分たちで立てた目標ですから。いや他人が勝手に立てた目標は「ちょいまてそれ無理」ってのは普通にあるのでそこまでは求めません。相互矛盾する要素を内包していて論理的に不可能な目標とか立てられたことありますから。まああの時は別の着地点に(勝手に)置き換えて裏目標的な感じで全社周知しましたけど。苦笑。
 実際、滝先生はこの目標は「できる」と信じて行動していきます。
 全力を尽くした方が楽しいのが普通なんですよね実際。まあ価値観ってのはいろいろではあるんですが、吹奏楽ってのは団体競技です。
 ここ重要なんですけど、チームで何かをやろうとしている時って、チーム全体として実力向上しないと楽しくなりません。
 もう少し細かく言えば、例えば誰かが足を引っ張っている状況だとしたら、その誰かも周りのみんなも楽しくありませんよね?じゃあどうするかって言えば、足を引っ張っている人の力の底上げっていうかギリギリついていける実力の獲得と、周りは足を引っ張っている人の分のカバーをできる力をつけるっていう両方のアプローチがあると思うんですが、まあこのアプローチ、両方やればいいじゃんってもんですからね。コンフリクトしません。

 さて、滝先生は「パート練習して、合奏できるレベルになったら呼んで下さい」的な事を言って、一旦は部の自主性に任せます。でも、まあ「・・・・・・これはヒドイ」になるにはそれなりの理由があるわけでして、特に3年生の名前が出てこない先輩方は練習とかしないわけです。それが原因で1年前に今の2年生と揉めた結果、2年生が大量に辞めるという状態になった過去まであります。小笠原部長が自信なさげなのはこういう背景があったからですね。ちなみに小笠原部長やあすか先輩、中世古先輩あたりは普通に実力者で練習もしっかりやってる側です。
 『「ほんま腹立つねんけど、三年ってみんな全然れんしゅうしよらんねん!へったくそのくせに!そのくせ後輩にサボんなってうっさいし!・・・・・・なんかそういう性格の悪さが原因で、二年生が——まあそのときはまだ一年やけど、先輩とすごい揉めたらしい」』(P74)
 って秀一君はブチ切れたりしてます。ちなみに低音パートはあすか先輩が仕切りまくっているのでそういう事がなく、まだこの段階ではむしろ夏紀ちゃん(ポニテ先輩)の方がサボってたりします。

 さて、合奏の日です。練習していないのだから上手く演奏できるわけありません。


 『「なんですか? コレ」
 滝先生は笑顔を崩さないまま首を傾げた。その声にいつもの丸みはなく、どこか刺々しい響きを持っている。教室の空気がしんと冷え込んだのがわかった。』(P83)

 バッサリです。空気読まないとかそういうのとはちょっと次元が違うわけなんですが。
 まあわからんでもないです。滝先生はパート練習の時外から様子を見ていた事も告げます。このあたりちょっと長いですが引用します。

 『「私はこの一週間、皆さんがパート練習をしている教室を見て回りました。皆さん、じつに楽しそうでした。雑談する声が廊下まで響いていましたよ。楽器の音が一切聞こえない部屋もありました」
 図星なのか、周りのパートの生徒が居心地悪そうな表情を浮かべている。久美子は不意に先日の秀一との会話を思い出した。やはりこの学校の吹奏楽部は、練習熱心ではないらしい。
「私はね、べつに練習を無理強いしたいわけではないんです。ただ、皆さん最初に決めましたよね、全国に行きたいって。それなのにこれでは困ります。最低基準の演奏はパート練習のあいだにできるようになってもらわないと」
 苛々するんですよね、彼は笑顔のまま、そう吐き捨てた。
「何を勘違いしているのか知りませんが、私は別に皆さんと戯れるために休日にわざわざ学校へ来ているわけではありません。指導をするために来たのです。なのにどうですか? この演奏では指導以前の問題です。私の貴重な休日を無駄にしないでいただきたい」』(P86~P87)

 ってな感じです。いやキツいですね。でも、まあ、表立って言い返せません。正論ですから。

 ここで重要なのは「自分たちで全国に行きたいって決めた」ってところです。悪い言い方をすれば言質を取ったとも言えますが、自分たちで目標を立てるってのは要するにそういう事です。責任を持たないといけません。

 もう一つ重要なのは、滝先生は生徒の「全国に行きたい」という目標に対してやることをやっているって所です。部活に出てきていないのではなく、練習を見まわっています。休日に出勤もしてきています。ここが実は重要でして「目標に向けて行動してもらう限り自分も目標に向けて行動を惜しまない」っていう姿勢が無いと、まあ人なんかついてきません。このあたりの滝先生の熱心な面があるからこそ破綻せずに進むわけです。

 滝先生が次の合奏日を指示して出て行ったあと、生徒たちは荒れまくります。まあ正論だろうが何だろうが言われたら腹立ちますよね。
 ここで実はあすか先輩が地味にいい仕事しています。

『「はいはいはい! 愚痴はええから、とっととみんなパート連の部屋に戻ってー。練習や練習」
 教室の中央で、あすかが指示を出している。すっかり委縮したのか、小笠原はその足元で丸く縮こまっていた。これではどっちが部長かわからない』

 相変わらず黄前ちゃんは辛辣ですが、こういうのは私的には役割分担だと思うんですよね、実のところ。
 「組織には嫌われ役が必要」とかよく言いますが、実は私的には疑問符だったりします。嫌われるような事を嫌われずに言えれば良いんですから。っていうか滝先生っていう嫌われ役が生まれている時に更に嫌われるような人が増えたら組織ってさすがに破綻します。ですからここでのあすか先輩は地味ですけど重要な因子だと思います。空気を読んだ上で空気を読まない行動ができる人は貴重です。まあここを掘り下げたら進まないので流します。

 さて、きつい事を言いまくった滝先生ですが、アフターケアはきっちりと行っています。
 パート練習に来た滝先生は、低音パートで3種の楽器をB♭音で演奏させます。倍音のF音が聞こえるという経験をさせる事で、音をきっちり合わせる重要性を感じさせます。ハーモニーって綺麗に合わせられたら本当に快感なんですよね、実際。いや私には難しいんですが。そもそも人が集まる機会には歌えませんからねー、理論上。トホホ。

 まあ想像はつくと思いますが、滝先生は全部のパートを順番に回っていったわけです。こういうマメさってのは重要ですね。
 ちなみに夏紀先輩、雰囲気に流されて練習をサボっていたところが、この頃にはみんなが真面目にやるようになってきたので、自分もその気になってきています。彼女の場合は3年生への反発で練習しても無駄っていう気持ちがあった感じですかね?初心者で1年間軋轢というか真面目に練習しない上級生を見せられたらまあそうもなります。根は真面目な子ほどひねくれちゃいますけど、根が真面目なので全体がまともになれば素直にまともになります。

 二回目の合奏で、音を合わせる事の楽しさを感じた部員たちですが、それでも『「まあ、及第点といったところですかね」』(P105)という滝先生の評価を下されます。キツイですね。
 まあ、これもわかります。安易な妥協って良くないんですよ。上を見続けるってのは重要です。特に組織とかってのは常に上を目指さないと、まあわりかし地盤沈下しますからねー。でも言い方ってあると思いますけどね。その証拠に『あすかの眉間に皺が寄る』わけですし。

 まあ、滝先生もそのあたりは考えていたようで、次の目標を明確化します。サンライズフェスティバルです。これそのものは以前からわかっていたものですが、滝先生は生徒に自信のほどを聞きながら、こう断言します。

『「私はありますよ、自信」』(P106)

 こういう未来の可能性を認められるのって、現在の能力を認めてもらうよりも遥かに響きます。若ければ特にそうです。しかも達成感よりも激しく上達への欲求を掻き立ててくれます。

 まあ、厳しい練習の日々があってサンフェス当日なんですが、ここは小説版ではあっさりしていますが、アニメ版では滝先生がなかなか熱い言葉を吐いてくれていますのでそちらを紹介しますか。

「本来、音楽とは、ライバルに己の実力を見せつける為に、あるものではありません。
 ですが、今ここにいる多くの他校の生徒や観客は、北宇治の力を未だ知りません。ですから今日は、それを知ってもらういい機会だと先生は思います。

 さあ、北宇治の実力、見せつけてきなさい」(5話)

 自信になりますよね。本番前の声かけとしては、まあ、かなり良い部類に入るかと思います。

 まあ、そういう感じで北宇治高校は全国に向けて、まあ正しいであろう方向に一致団結して進むような体制ができたわけです。

 さて、滝先生が具体的に何をやったのかってのを整理してみときましょう。

 1:強烈なダメ出しによる散漫な空気感の破壊
 2:フォローを兼ねたプチ成功体験を得させる
 3:全体での成功体験と、ポテンシャルへの期待の表明
 4:本番(全国を目指す意味では練習なんですけどね)での成功体験

 的な感じですかね?空気が悪い時は一気に換気するってのは、失敗すれば大惨事になりますが、上手くいけば一気に社風とかそういうのを変革できます。

 ここんところはポニテ先輩っていうか夏紀ちゃんがP246からP248で発言してくれてます。全部は参照しませんが、まあ下のような感じです。

『「そもそも初めの合奏のときとか、あんな風に合奏を途中でやめんでも、きっちり指導したらよかったと思わん?そしたら皆、滝先生の指導に逆らったりはしいひんかったはずや。あの人、腕はあるんやし」』(P248)

『「でも、滝先生はそうしいひんかった。多分、あの人は最初に見せつけたかったんやと思う」
 「見せつけるって、何をですか?」
 夏紀の言葉に、久美子は無意識のうちに眉根を寄せる。彼女の口端が意地悪く吊り上がった。
 「そりゃもちろん、うちらがいかに下手かってことをやろ」』

 『「先生の戦略は上手いわ。二回目の合奏で、うちらは一気に上手なった。滝先生の指導のおかげや。あの合奏でうちらは先生の実力を認めざるをえんくなった。あの先生はわかってるんや、空気の作り方を」』

 うん、まあ・・・。ちょっと天然っぽい気もしますけどね、滝先生。でもまあ意識してようが無意識だろうが関係ありません。要は再現できれば同じような感じにはできるってことです。まあフィクションだって言われたらそれまでなんですが。
 まあ、空気が気に入らないのであれば、そんな空気は下手に読もうとせずに換気して作り替えちゃえばいいんです。乱暴なんですけど、実際そういうものです。ただし中途半端な覚悟でやっちゃうと一年前の、当時の1年と2年との揉め事のような大惨事になります。

 個人的にはこれを実践するには、最後まで横について走る覚悟(実際は行ったり来たりするので余分に走ることになる)と、妥協しない意思と、教導して実際にやり切れるだけの手腕と自信と相手への信頼ってのが必要になると感じてますけどね。

 さて、物語はオーディションの導入による年功序列の崩壊とそれによる葛藤や、中世古派vs高坂麗奈のぶつかり合いなんかもあったり、見どころはいっぱいあるんですが、まあとりあえずラノベでビジネスを語ってはいるかなー?と。語ってるか?まあいいか。


Intro
https://note.mu/alex_t_m/n/nf75578a3acd0

 

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