アパレル業界で私が知ってること(データ分析篇4):プロパー消化ばっかり見てたら失敗した

 さて、お話はその3に戻る感じです。プロパー消化率が良かったので一安心ってお話でしたね。でもそういう時って落とし穴とかあったりして、思いっきりハマりました。3.5である程度書いたので、今回は短くて済むかも。でもちょっと視点が違うからなー。短く済めばいいなー。

 プロパーでの販売そのものは上手くいったのですけど、マークダウンになって問題が発生しました。端的に言ってしまえば「マークダウンで売る商品が無い」です。

 ちなみに、金額的に不足するであろう事は最初からわかっていました。なんせ前年より消化率が高くなる設定ですから、その分マークダウン商品は不足するのはわかりきっていましたから。ですので前年度の残とかも突っ込んでカバーしたり、営業にはそもそもプロパーで売れてるんだからマークダウン用商品が無いのって当たり前でしょ的な事を百貨店バイヤーに商談してもらったり、まあそういう事前準備はしていたんです。

 で、いざマークダウンが始まった1週目はまだよかったんです。全体としてはそれなりにありましたから。問題が起きたのは1週目が過ぎた時点です。

 何があったかっていいますと「売れるサイズが無くなった」っていう、後から考えれば、そういやそういう可能性あったよね的な話です。見事に売れるサイズが無くなってました。残っているのは売りにくいサイズばかりです。

 ここには一つ見逃していた視点がありまして。要するに「プロパーとマークダウンでは売れ方、特にサイズで売れ方が違う」っていう事でした。幸か不幸かここで影響が表面化したのは私が担当していたブランドだけです。小さくはあったみたいですけどね。
 サイズ展開の幅が一番広かったってのが直接の要因ですね。まあそれだけが原因でもありませんが。ちなみに婦人服とかでもこれってあるかも知れないなとは思ってたりします。ML展開だと多分それほどは見えないと思いますけどLLとか3LとかSとかを扱いだすと見えてくるかもとか思ってます。紳士カジュアルだったら多分大きめサイズが売れやすくなるんだろうなーとか思ったりもしますが、実際どうなのかはよくわかりません。このあたりのルーズさってのは平均単価なんかにもよるでしょうし、まあブランドとかで変わるんだろうなー。

 もう一つ重要な要素として、そもそものメインターゲットの年齢層と商品サイズが微妙にミスマッチだったっていう事もあります。ブランド特性とかから考えても、本来はほんの少しだけ上のサイズがメインターゲットだったんです。ライセンスとしてはそのサイズも持っていたんですけど、当時はそのサイズは作ってはいませんでした。ここにはそれはそれでいろいろ理由はありますけど、まあいろいろ過ぎますからそのうち別で書きます。端的に言えば「この段階では無理にサイズを広げる程には売れてなかった」です。

 ですから、上のサイズから順番に売れていっちゃったわけです。当時の一番大きなサイズが130cmでしたが、瞬殺されました。このサイズはプロパー段階でも売れていたサイズでしたから、他のサイズの2倍位作っていたのですけど、ことそのブランドの130cmだけを取り出した時には需要過多だったようで、プロパーでも2倍以上売れていたんですけど、まあ売れてる分にはいいか♪とか適当な風に考えてました。消化率目標が60%ですから、4割弱は残ってましたから店頭に並べた段階ではあんまり違和感がなかったんです。

 逆に苦労しまくったのは小さいサイズです。マークダウンじゃ売れませんね。苦笑。そもそも自家用の需要で、特に小さいサイズは事前に準備していたり出産祝いでもらってたりっていう状態でしょうから、マークダウンのタイミングでは需要は少ないんですよね。まあこれも後付けです。

 まあ、でも実は売れるサイズが少ないってことはそれほど気にしてなかったってのが正直なところです。プロパーで予算オーバーしたって事は言ってみればそういう事です。売上を作れるだけの商品を用意して、売上がそれを超えれば当然在庫が過少になります。怒られる事は百も承知でやってましたから。
 そっちよりも小さいサイズが残りまくった事の方がダメージは大きかったですね。どうやって捌こうかと。まあ、社販でトータルが原価割れする事だけは避けながら、まあ端的に言えば目玉商品的に売り出したわけです。社販の良いところは開催期間が短い事です。ついでに言えば今回はこれ、次回はこれ、的な感じで、目玉商品として扱う商品も毎回絞り込んでました。1回で満足させてたまるかって感じです。まあ実際には半年に一度しかやっていない社販でベビーのサイズレンジで2回とも同じサイズを買う人ってあんまりいないんですけどね。気分の問題と安売り感を少しでも抑えるための生活の知恵です。

 まあ、会社からは怒られました。当時の部長が。私は怒られてませんけど。部長との会話はこんな感じでした。
 「粗利率低すぎて怒られたわ」
 「現金化できたんやから別にいいやん」
 「そやろ?そやねん。ほっとけっちゅうねんって話やろ?ちなみに粗利額はトップやったで」
 「じゃあええやん」
 細かくは覚えてませんけど、まあこんな感じです。適当ですねー。

 ちなみに社販で(裏で粗利的な影響を考えながらこそっと)処分しちゃいましょう的なのは全体を見るようになってもやってたりしました。原価割れで販売する場合は少なくピンポイントで、計数的に見た場合には私以外が気づかないように。笑。その代わり100%売り切る事が可能な値付けってのをしてました。まあその頃になればそれなりに信用されてましたからピンポイントの値付けの事なんかで文句は言われなかったんですけど、一応、ね?下手に真似されても困るし。しかしアパレル業界の社員は知らないようでよく知ってますね。実際には店頭に並ぶ事なく社員が買い占めてました。おまえらが買うならもう少しだけ高い値段付けてたよ、とかよく思いました。苦笑。

 脱線してますね。失礼。申し訳ございません。仕様ですのであきらめてください。真面目に書くっていうとあれですけど、基本的に勝手に書きたいように書いてるだけですから。頼まれて書くならもうちょいきちんと整理して書きます。図とか入れたりするんだろうなー。案外凝り性です。すぐ飽きますけど。

 さて、ここで気づいた事がそれなりにありまして。まあ今後どうすればいいのかって話なんですけど、端的に言えば「マークダウンでさばける商品ってプロパー消化率甘くて良くね?」ってのと「マークダウンでさばけない商品はプロパー消化率高めにしておかないとヤバいんじゃね?」です。この事を上手く利用すれば、平均としてのプロパー消化率はさらに上げる事ができるよなーとか思ってました。この場合重要なのはプロパーでもマークダウンでも売れる商品のところでボリュームを大きくする事ができるっていう事です。

 プロパーで売れてマークダウンで売れない商品は希少価値にしちゃえばいいか、的な開き直りもあったりしましたし、小さいサイズ程接客力でカバーできるってのはわかってましたし。だてに販売応援していたわけじゃありません。今になってしみじみ思うんですけど、接客するのはわりと好きみたいです。

 まあ、反省することを反省したら次に生かせます。サイズ別やアイテム別のプロパー消化率を頭の中でイメージしながら発注するようにしました。マークダウンで欠品していますし、そもそもマークダウンの欠品は別に悪い事とも思いませんので、マークダウンでの販売動向は傾向だけしか見ませんでした。

 他のブランドにも指示しないといけませんでしたから(まあ、指示する立場じゃなかったんですけど、このあたりは流れでそういう感じだったもので)、まあ指示とかは出してました。マークダウンしないブランドとかもあったんですけど、そこなんかは目標消化率を80%とかでセットさせました。100%にしたかったところなんですけど、バーゲン出品はしていましたからその分の20%は後から捌ける的な考え方ですね。
 自分にも強い制約をかけていました。ごく一部だけ、ライセンサーから買い取って展開していた商品もあったんですけど、プロパー販売じゃないと利益がでませんので、当然消化率目標100%です。まあごく一部商品ですし、展開店舗もごく一部に絞り込みまくりましたから、まあ商品が切り替わりながら1年かけて売りきりゃいいか的な発想です。

 でもこういう計数的に当たり前の事を「いや消化率100%は無理っしょ」とかって常識的に考えてしまうと在庫が残ります。計数的にはプロパー+マークダウン+バーゲンで消化率100%でない限り残品は増え続けます。なのでここの考え方は基本的にという但し書きはつくものの、必須だと思っています。基本以外ではタグを切って横流しやら自社ブランドだったら海外で販売したりやら、まあブランドブランドの特性に応じて使い分けしてましたね。でも基本ルールは大切です。ブランドの価値を決めるのはブランド側じゃなくてお客様側ですから。メーカー側としてはブランド価値を高くする為の努力はいくらでもできますが、ブランド価値そのものをダイレクトに高めるのは不可能事です。まあこのあたりもメーカー側が誤解している節もあるんですけどね。

 まあ、このあたりと、もう少し先の「マークダウン原資が不足してるのなんとかしろ」的なデベロッパーとか百貨店とかサイドへの対応なんかがあったりするんですが、とりあえずは置いておきます。このnote、今の段階では縦軸で切って書いていますが、いずれ横軸的に書くことがあったらこのあたりも書くかもしれません。

 まあ、正直このnoteそのものもいつまで続くのか自分でもわかってません。一旦半年近くあけちゃってますから続ける自信なんて欠片も無いです。苦笑。

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