アパレルで原価「率」を最大にする方法のお話。

 いやー。忙しいんですいろいろ。

 いきなり言い訳から入るのもなんなんですが、実際のところ忙しいっていうか、頭使うご用事がありまして。いや別にnoteを書いちゃいけないわけでもなんでもないんですけど、なぜか自粛モードに突入していたりします。

 まあこういうわけのわからないこだわりは日常茶飯事なので個人的にはあんまり気にしてません。気にしだしたらキリが無くなりますので。

 とは言うものの、なんとなく手が空いたので、まあいいか的な感じでnote書いてみたりしようかと。
 謎のこだわりがありますので本編的なお話じゃなくて、軽めのお話でも書こうかなーっとかって感じです。まあいつも軽いんですけど。ボリューム多め栄養少な目が基本です。ダイエットにもってこいですね。涙。

 最近といいますか、服の原価率の話題がそれなりに出てくるようになりました。アパレル業界での原価率設定ってそんなに簡単なもんじゃなくって、例えば粗利率を改善させようと単品の原価率を下げたとするじゃないですか。そうしたらどうなるかって言うと、わりかしプロパー消化率が下がって結果的にPL的な原価率は上がるんですよ。これが特殊事例でもなんでもなくって、わりと普通にあるってのがアパレルのややこしいところです。

 じゃあ原価率を上げりゃプロパー消化率が上がってPL的な原価率は下がるんじゃないか?って考えるもんなんですけど、普通に原価率は上がります。そもそも原価率を高く設定(というか売価を低く設定)したからって売れるとは限りません。マークダウンでも売れ残ってる商品とかがあるのが証拠ですね。

 じゃあ単品原価率を上げながらPL的な原価率を最小にする方法ってあるの?って話なんですけど、実はあります。ってのが今回の主旨です。

 アパレル企業の原価率に一番大きく影響するのはプロパー消化率です。プロパー消化率が100%に近づけば近づくほど、同じ単品原価率の商品でも原価率が下がります。

 要するに、単品原価率を最大にして、かつPL的な原価率を最小にするときの条件となるのはプロパー消化率100%です。簡単ですねー♪

 とは言うものの、実際問題それって無理じゃん?って話になるんですけど、実はこれ、存在してます。
 はい。オーダーメイドです。特にフルオーダー。

 生地を選択する段階から顧客に付き添って、必要な分を購入して製作に入った場合、材料費は必要なだけですし(もちろん歩留まりも大きいんですけど)、そもそも依頼を受けてから作りますからプロパー消化率はよほどのことが無い限り100%が確約されてます。
 これが理論的に考えた、単品原価「率」が最大、かつPL的な原価率が最小の場合です。

 でもこれって、ぶっちゃけ高いんですよ。

 考えりゃわかるんですけど、生地を割高で購入して、デザインはある程度決まっているとしてもパターンを個人に合わせて起こして、工場とかじゃなくて個人が縫製して、副資材も少量なので割高で購入して・・・ってなりますから当然お高くなります。

 世の中のアパレル企業で商品原価率が低い(低く見える)のは、ものすごく雑な言い方をすれば、こういうところでお金が余分にかからないようにするための手間の分が経費としてかかってくる分を上乗せしないと儲からないからなんです。
 いやー、本気で雑ですねこの言い方。でもまあ、雑ではありますけど本質的には間違ってないと思ってます。要するに製品を安く売りたければ単品原価率も下げないといけないっていう不思議現象が生じるんですね。

 ここを適当にしていいんだったら単品原価率が高い商品なんざ簡単に作れます。でもそれって需要がないんですよ。高いから。

 当然なんですけど、アパレル企業がこの部分で努力を続けるのは本当に重要です。手を抜いてはいけない所です。でも、手を掛ければ掛けるほど単品原価率を下げざるを得ないという。苦笑。
 まあ、このあたりはどこに手を掛けるかってお話で、商品のクオリティを上げたり、商品量とかを適正にしたりしてプロパー消化率を高める事で単品原価率を高く設定しても破綻しない構造にするのがアパレル企業の現時点での最重要課題じゃないのっていうのも思ってはいます。

 ま、要するに単品原価率が高けりゃお客様に認めてもらいやすいなんてのは単なる幻想というか、あまりに短絡的というか、まあそういうもんです。
 それ以前のお話として、お客様が欲しいと思うような商品を作るってのが重要なんです。ここを取り違えるとろくなことになりません。

 っていいますか、単品原価率が20%未満が普通な業界も結構あります。別にアパレル業界に限った話でもなんでもありません。必要となる経費の分を無視して原価率の話だけしても無意味だってだけです。

 もっと言っちゃうと、元々ファッションビジネスで提供すべき付加価値ってのは、商品のデザインとかスタイルとかそういう感じの無形のものなはずなんです。原価率が高いなんてのを売りにするって事は「ウチはデザインとかで付加価値つけられませんから♪」って言ってるに等しくて、要するにファッション提案放棄ですね。
 ま、購買者視点で考えたら安く買えるに越したことはありませんから無形の付加価値は低いに越したことはないんですけど、でもこういうのに付加価値をつける事が出来ないんだったらファッションビジネスじゃないんじゃないの?って思っちゃうわけですよ。

 まあ、でもそういう無形の付加価値にお金を使うのが無駄だよなーってのもよくわかります。だからユニクロとかが売れてるわけですし。でも最近のユニクロは野暮ったさが無くなってきたよなー。むしろGMSの平場とかの方が野暮ったかったりとかまであるもん。このままだとファッションビジネスの未来は暗いな♪

 でもだからこそ無形の高付加価値商品ってのはニッチになるので狙い目っちゃ狙い目ですけど。っていうかアパレルメーカーなんて元々がそういうのばっかりだからなー。だから全国展開したらわりかし潰れる。苦笑。

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