シコルスキ

ラノベからビジネスを語ろう 3:賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~ しょーもないと思っていても活用できる事は山ほどある

 さて、電撃文庫から発売されました「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~」という本がございまして。ぶっちゃけ「ヒドイ」作品です。どう「ヒドイ」かって言うと、裏表紙ではヒロインが「本書をお買い上げいただいた皆さんに深くお詫び申し上げます」とおっしゃっておりますし、煽り文のスタートは「ところでコレ、本当に出版するの?」です。

 一応言っておきますが、文章とかそういう意味で言えば上手いです。具体的には笑えますし、丁寧に読めば隅々まで手が行き届いた良文だと思っています。っていうか手が行き届きすぎてて読み返した時にはじめて気が付いたりすることも多いのでなんかお得感があります。

 とは言え、出てくるキャラクターは変態ばかりだし、ガンガンにメタネタ突っ込んできてますし、わりかし全方位に喧嘩を売りにかかるスタンスで笑いを取りにきてますしヒロインはドンドン汚れていきますし。

 さすがにギャグ小説でギャグな部分のネタバレはよろしくありませんからさらっと流す感じで行きますが、端的に言えば巨悪っぽい某キャラクターによって危機に陥ったサヨナが、まあ要するに途中で知り合ってた変態どもの助けを借りながら、しょーもない流れの中で教えられたしょーもない魔法によって復讐を果たす的な話です。

 まあ何でもありというかそれやっちゃいけないやつ的な事を片っ端からやらかしてる小説ではあります(ある意味では逐一丁寧にいちいちやらかしています)が、しょーもない出来事が伏線となっていて、まあわりかし綺麗に流れていきます。

 ビジネス的な観点で見た場合、しょーもないスキルでも生かせる場があれば生きてくるよねって話だと思います。いや本当にしょーもないスキルで戦ってますね。スキルそのものよりも学んだ来歴のしょーもなさが秀逸なんですが。

 けど、実際しょーもないスキルが生かせる場面って案外多いのも事実です。来歴がしょーもなければしょーもない程、なんとなく勝った気がしたりします。いや実際は知識とかスキルとかの来歴なんざどうでもいいんですけどね。要するに少しでも楽しく学ぼうじゃないか的な?

 まあ個人的には学びの多い本でしたので、簡単ですけど意地でも紹介しておきたかったわけです。

 なぜならですね。この賢勇者シコルスキ・ジーライフの自覚している役目ってのが「誰かを救う側の者を救う」ってものなんです。折角なので引用します。

『「いわゆる『誰かを救う側の者を救う』のが僕の役目だと思っています。宮廷魔術師、王国の騎士団長、伝説の傭兵、王族貴族・・・・・・割と居るんですよ。救いの手を差し伸べる側にもかかわらず、伸ばされたいと思っている方って。なので、そういった方々の力になることが、賢勇者と呼ばれる僕の役目ではないかと考えた次第ですね。まあ、場合によっては誰でもお救いしますが」』

 このあたり、個人的には非常に感銘を受けたといいますか、究極的には私が目指している場所なのかなーと思ってたりもします。まあ企業の社長なんて方は、ある意味「誰かを救う側の者」ですし、できたらもっと広く誰かを救えるようなのになりたいなと思ってみたりしています。


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