ふつうの日の日記

月末にかけてが忙しく、この時期は遅くまで残ることが多い。

割と個人作業で進む部分の多い仕事なので、ふと顔を上げたら自分以外の人が全員先に帰っていることがおおい。職場の奥にある棚の隅に置かれているアフラックのあひるのぬいぐるみ(何年か前の粗品と思われる)をこっそり自分の机まで移動させて、ふわふわのあひるに見守られながら仕事をした。ぬいぐるみは偉大だ。


人の弱さを知ることが多い。ミスをした時、それが自分一人に起因するものではないと必死で喚き、私を巻き込もうとする人。私の口からとった言質を後出しジャンケンで状況証拠に仕立て上げる人。 わたしも私で、ふとした挨拶ひとつ笑顔で返せなかったり、遠回しに自分が置かれている慌ただしさを口調から滲ませてしまうことが最近多いと感じる。 毎日毎日同じ人と同じ場所で同じ時間過ごしていると、優しさとはかくも容易く失われてしまうのか、と怖くなる。


真正面からイライラするだけのエネルギーがもう無く、最近はコスメのことを考えて思考を宇宙へ飛ばすことにしている。このところ私の欲は「スキンケアの見直し・新しいコンシーラーのこと・春に向けてキラキラグロスが欲しい」この辺りを並行して走っていて忙しい。

仕事が終わったら駅ナカのBiople(余談だけどずっと、ビオプル と読んでいた。正しくはビープル であることを今日知った。)でオンリーミネラルの最近出た赤いラメのグロスを買うと決めていた。

仕事を終えてたどり着いた閉店間際のビープルで私は気づいた。オンリーミネラルの取り扱いがない。 ビープルにいけばこの手のブランドはなんでもあると思っていた。だけど私はどうしても今日、グロスが欲しかった。明日新しい色のキラキラしたツヤツヤで唇をぬってから外に出たい。「今日の夜グロスを買うこと」に心の再生を懸けていた。なぜか。

それでオンリーミネラルの代わりに目に飛び込んできたのが、

https://toonecosmetics.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=4589784677029&vid=&bid=TO01&cat=CTY502&swrd=

to/oneのペダルエッセンスグロスの12番だった。ぶどうジュースを煮詰めたような濃い紫だけど質感はごく軽く、カジュアルに透ける。このギャップに惹かれた。 例えば夏に、黒いリネンの袖なしのラフなマキシワンピースを着て、肩にポシェットをかけて、唇だけこの濃く透ける紫をつけたらそのアンバランスな感じがとても色っぽいだろうな、と。 それがしてみたくて、この色を購入した。


同様に閉店間際のスープストックで夜ご飯を食べた。ここでいま一人でご飯を食べている3,4人の人たちは皆、私と同じかそれ以上に疲れているのだろうと思うと、やけに静かな気持ちになった。

なんというオーエルらしき一日だろう、と自分で自分がおかしくなりながら地下鉄のホームまで歩いた。人生の長さに目眩がして危うくエスカレーターから落ちかけた。日数にしてみればほんの数日しかないこの忙しい日々をどう乗り切るかで私の1ヶ月が終始している。忙しくないうちにできる事。体調の維持。平日の夜や週末にわたしと会ってくれる人に、この疲れからくるイライラをぶつけずに済む方法。一人分の洗濯物を洗濯してそれを取り込んで畳んだだけで、自分を、偉い!と褒めなきゃ乗り切れない平日の夜。

わたしは2月、何をしただろう。ひとつふたつ映画をみて、はまりかけているジャンルのDVDを何本か見た。舞台もコンサートもいかず、本は1.5冊ほどしか読んでいない。チョコレートにはまった。香水をたくさんかいで目星をつけた。部屋の模様替えをした。ひとりで粗大ゴミを運んでソファを組み立てた。いったことのない喫茶店へ沢山行った。疎遠になっていた友人と何人も会った。友達と電話をした。これが人生か。恐ろしい。


地下鉄に乗り込むと同時に空いている座席へ向かって歩いた。 降りて行った人たちが空けた座席が3,4席あり、その中の一つに座った。

途端、頭上から舌打ちが降ってきた。

わたしに舌打ちをしたその女性は、 どうやらわたしが座った席を狙っていたらしい。同じ方向に向かっていた事に気がつかず、わたしが先にその座席に座ったが、その人にとっては目星をつけていた座席が他の人に奪われた…といったところだろうか。その車両の座席は全て埋まったため、その女性はすごいスピードでドアの前まで歩いて行き、わたしに背を向ける形で立っていた。 わたしはそんなことをされてまでその座席に居続ける気がどうしても起きなかったので、隣の車両へ移動した。 わたしが移動したことによりできた空席にその女性は気づき、座るのかどうか。連結部のガラス戸から観察することにした。

その女性はすぐに私が立った後の空席に気づき、座ると、腕を組んで寝始めた。

その一連を遠巻きになぜかじっと見つめてしまい、わたしは、舌打ちされたことと、その女性に対して多少なり意地悪な気持ちを持ってわざと席を立って隣の車両に移動したこと、両方がバカバカしくてすごく腹が立ってきた。

気を紛らわせたくてiPhoneをポケットから出して、充電が切れていることに気づいた。モバイルバッテリーも充電切れ。 こんな日は帰り道くらいボーッとすればいいじゃないか、と切り替えようとしたものの、 なぜか頭の中に次々といろんなことが浮かんできてしまい、苦しくなって電車の中で少し涙が出た。

はやくこのさまざまな考えを脳から取り出したいのに、iPhoneが使えなければ今日はあいにく手帳も何もない。打ち込む先がないとわかった途端、脳を飛び交う信号の量が途端に増える。


帰宅して充電をためたiPhoneで、一息でこの日記を打ち込んだ。 やっと脳が空っぽになった。

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alice

夢は一軒家を買うことです。アイドルの神性と青春を夢見てます。ワインで悪酔いするタイプです。
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