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実は競馬とモータースポーツでは機材がまるで異なる話

こんにちは♪ Aliceです。
先日、富士山方面に足を伸ばして来ました。

去る12/3(日)は、静岡県小山町にある富士スピードウェイにて開催された【ニスモフェスティバル】と言う大規模なイベントに参加しました。

大好きなドライバーや監督さん達の記念撮影セッション

年間8戦のシリーズ・チャンピオンシップである【SUPERGT】は国内トップの観客動員数を誇る大人気のモータースポーツです。

私も年間8戦の半分以上、5戦から6戦は現地観戦・撮影を楽しんでいます。

幸い、競馬のGⅠレースと日程が被る日は少なく、競馬撮影とSUPERGTは両立出来ています。

ですが、撮影スタイルは全く異なるのです!

『どっちも遠い動くモノを撮るんだし、似たようなモノでしょ?』

と思った貴方に向けて、ちょっとした知識になるかも知れない思い、記事を書くことにしました。

競馬もモータースポーツも、どちらも興味が無いとおっしゃる方も、カメラ・写真がお好きでしたら何かの参考になると思いますので、最後までお読み頂けると嬉しいです。

『どっちも遠い動くモノを撮るんだし、似たようなモノでしょ?』

それが違うのです!
まず、主な被写体の質が全く別モノです。

競馬:サラブレッドと騎手
→繊細な馬の毛並みや肌・革製馬具の質感・薄手の勝負服を着用した騎手

ジャパンカップのウイニングラン
イクイノックスとクリストフ・ルメール騎手

モータースポーツ:マシンとドライバー
→カーボン(炭素繊維)製マシンは毛並みのような細かいディテールでは無い・ドライバーはコクピット内(殆ど写らない)

Niterra MOTUL Zをドライブする千代勝正選手

では、描写表現が異なる双方について、詳しく解説していきましょう。

競馬の描写は?

前述した通り、被写体が生身の馬や人物です。
馬は全身が毛で覆われています。
また、鬣や尻尾は動きに合わせて常に揺れ動きます。
ジョッキーの一瞬の表情や仕草なども写ります。

要するに一瞬の『美しい瞬間』を繊細に描き出す必要があると言う事です。

【目指す描写】
その写真が語りたい『写した真実』を、どれだけ美しく表現出来るか
が最大の焦点だと思います。

砕けた言葉で表現すると、
『感動した!』
『凄い!』
『強い!』
『美しい!』

と言った言葉が写真で蘇るような、そんなイメージだと思います。

イクイノックスの馬上で涙するルメール騎手

モータースポーツの描写は?

レーシングマシンの外装は大変硬くて軽いカーボン(炭素繊維)のパーツで主に構成されています。
そして、外装の多くが派手なカラーリングとスポンサーのロゴで埋め尽くされています。

そして、競馬とは速度域が違います。
富士スピードウェイでは最高速度300km/hに達します!
低速のコーナーを70〜80km/h位で抜けていく姿はスローモーションに感じる程、圧倒的な速さです。

ダンロップコーナー
紅葉や背景の山並みも綺麗

そんなモータースポーツの撮影表現は、基本的に『流し撮り』一択になります。

流さず止めて撮ったら、路上に静止していたマシンを撮ったのと区別がつかないです。
もちろん、背景の富士山も写したい時など、流さない撮影ポイントも多少ありますが、最低限『ホイールが回転している』ようには撮る事が殆どです。

70-200mmのワイド側で風景を広く流した例


【目指す描写】
如何に速さ(スピード感)を表現するか、そのために流れて綺麗なモノを如何に背景に当て込めるか。
だと私は思います。

言うなれば、マシンと走りがカッコいい事を、写真表現のカッコ良さで倍増させたいイメージでしょうか。

ヌケが良い背景や、光が美しくラインを描く場所など、とにかく背景選びが命だと思います。
※太陽が無いなら大雨の方が嬉しいくらいです!

では、どんな機材が向いているのか?

私の望遠ラインナップ

【競馬に適した機材】
サラブレッドの繊細な毛並みや皮膚、吐く息、馬体から立ち昇る湯気、その場の空気感などを写し撮るには、やはり大口径単焦点レンズが欲しいところでしょう。

具体的には下記の焦点距離・開放F値のレンズです。
300mm F2.8
400mm F2.8
500mm F4
600mm F4


もちろんNikkor Z180-600mm F/5.6-6.3 VRのような、優れた描写力のズームレンズでも、ハマった時はその場の空気感まで描写してくれる場合もあります。

ですが、特に『蛍石ガラス(フローライト)』を採用したレンズは、当たり前のように魔法がかかったかのような写真をいつも描き出してくれます。

被写体を繊細に柔らかく、しかし解像感高く描写するだけでなく、美しく蕩けるようなボケまで一貫して最高の性能を発揮してくれる大口径単焦点レンズこそが、最も競馬の撮影に向いているレンズだと言えるでしょう。

開放F値が暗くなるズームレンズだと、前述のような高い解像感・繊細かつ柔らかい描写・美しいボケを両立する事が困難なのは、物理的に仕方がない事でしょう。

これはポートレート撮影をされている方にも共感して頂けると思います。
『単焦点並み』の描写を謳うズームレンズはあっても、『単焦点を超えた』と謳う商品を見た事はありません。

ではズームレンズは駄目なのか⁈と言うと、全くそんな事はありません!
得意不得意が違うのです。

【モータースポーツに適した機材】

足場が不安定かつ金網越しの撮影
軽い機材でないと厳しいです!


とにかくカッコイイ流し撮りを求めてサーキット中を歩き回り、時間帯の微妙な光の当たり具合を表現したり、グッとマシンにクローズアップして迫力を強調したりと、色々な事に比較的長い時間挑戦したり試行錯誤したり出来るのがモータースポーツ撮影の醍醐味だと思います。

よって、比較的軽量でズームレンジの広いレンズが適していると思います。

ズームレンズでバリエーション豊富に撮影

沢山ありますが、具体的には下記のような焦点距離です(カッコ内はフィルター径)。

各社_70-200mm(77mm径)
各社_70-300mm(67mm径)
各社_100-400mm(77mm径)
TAMRON_150-500mm(82mm径)
SIGMA・TAMRON_150-600mm(95mm径)
SONY E_200-600mm(95mm径)
NIKON Z_180-600mm(95mm径)など

推し並べて各社が重量1.4kg〜2.2kgくらいの望遠ズームレンズをラインナップしています。

1日中サーキットを歩き回り、様々な構図で撮影するスタイルには、前述の通り軽量なズームレンズが適しています。
また、同じ撮影ポイントでもズームをワイド側で背景をしっかり入れたり、テレ側でマシンをクローズアップしたりと、バリエーションが楽しめます。

※軽い方がレンズを振り易いので、低速の流し撮りが成功し易い点もあります。

金網越しの低速シャッタースピードの流し撮り
NDフィルターが必須

※余談【NDフィルター】

流し撮りにはNDフィルターが必要になる(詳細は別の記事にします)ので、フィルター径も肝になって来ます。

NDフィルターも揃えるとなると、なかなかの出費になります。
特に95mm径のNDフィルターは、まず10,000円以下は見当たりません。
よって、フィルター径の異なる望遠レンズを複数所有すると出費が嵩む事になるので、やや脱線しますが記載した次第です。

しかし最近では、フィルター径を可変させる事ができる商品があります。
H&YのREVORINGです。

また、マグネットのフィルター枠を装着し、NDフィルターの脱着をワンタッチ化した商品もあります。
これは便利!!

『何故NDフィルターが必要なのか』については、別の記事で詳しく解説しています。

NDフィルターがあれば撮れる世界が
まるで変わって来ます!

最後に

競馬とモータースポーツ、どちらもドラマチックなスポーツですが、写真表現については似て非なるものだと言うことが伝わりましたでしょうか?

因みに『人馬一体』とは、人と馬だけではなく、レーシングマシンとドライバーでも使う表現ですが、写真表現の世界においては、カメラと撮り手も人馬一体になれる存在だと私は思います。

私にとってカメラやレンズは『家電』や『ガジェット』と言ったワードで表現することを憚かれる程、大切な相棒です。

だからこそ、適材適所=誰でも・何でも良い訳ではない、という事をお伝えしたくて記事にしました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
また次の記事でお会いできますように。

もっと撮影技術を磨きたくなるモータースポーツ

各種NDフィルターをリーズナブルに価格で取り扱っている【K&F Concept】の商品ページを貼っておきます。

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https://note.com/alice_photolog/n/n3dc1cfc9bb14

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