カフェ修行日記〜訪れるひとが、自分らしくのびのび過ごす片鱗に触れていたい

カフェをやってみたい、という人は多いのではないだろうか。
グーグルさんに「カフェをやってみたい」と言ったら、
検索結果、なんと、8,000万件。

先日、いちにち、カフェのお手伝いをさせていただく機会に恵まれたので、
記録を残してみる試み。

カフェをやってみたい方の参考になれば、と思いつつ、おおむね、自分のためのフィールドノート。

構成は、以下のような流れ。

徒然なので、好きなところ、気になるところから読んでいただければっ

背景編も実務編も思索編もすべて注入してしまってますが、ご勘弁くださいまし。


[1]そもそも、カフェをやってみたい、カフェではたらいてみたいのは、自分はどんな暮らしが心地よいと思っているからなのか?
[2]どんなカフェをやってみたいのか?
[3]カフェではたらいてみるご縁に恵まれた経緯~もろもろ、たまたま。
[4]いざ、カフェ修行⁉ まったりカフェのキッチンは、ぐるぐる回る
[5]基本的な流れ~心地よく過ごしてもらえるように
[6]開店前にオーナーが一緒に確認してくださったこと/確認したらよかったこと
[7]大事なこと~丁寧さも大切だけど、それ以前に、できるだけ早く注文したものが出てきたほうが嬉しい
[8]メニューのこと
[9]オーナーのコミュニケーションの取り方、指示出しで、素敵だなー!と思ったこと
[10]何が楽しいと感じたか?~来てくださった“ひとの片鱗”にふれること~

[1]そもそも、カフェをやってみたい、カフェではたらいてみたいのは、自分はどんな暮らしが心地よいと思っているからなのか?

私はたぶん、週5(以上)ひとつの組織でガッツリ仕事!みたいなのが性に合っていないのではないか、という感覚がある。今までのところ、組織で、フルタイムで、働いてはいるんですが。学生の時も、働き始めてからも、学校だったり勤め先だったりという、一応メインの所属はありつつ、そのほかの活動や遊びにも首を突っ込んで、バランスをとっている感じ。働き始めてからの社外活動は、英語サークル、ヒンディ語を習う、介護施設でハンドやフットのトリートメントする(好きなセラピストさんに引っ付いていってボランティア)、合唱、ベリーダンス(公民館でやってた講座)、ヨガ、ボリウッド(インド映画ダンス、囓ろうとしはじめている)、、、など、心の赴くまま。

ひょんなことから、そういう種が次のしごとや、なんやにつながることもあるから、不思議。

ということで、週2~3日くらいは組織とつながって、調査とか相談系の仕事に携わりつつ、もう半分の週2~3くらいで、カフェで働きつつ、週1+くらいで、ボディケアやら言語学習サポート(ヒンディやら、にほんごやら、英語やら)できたら面白そう。そして、年に2,3回、ゆったりと海外に旅しに行くのだ~というのが、妄想。(ん、一週間が7日では足りない?)

「できなくはないから、フルで働いてるけど、ほんとは、ちょっと息しづらい」、って人、他にもいるんじゃないか、と思ったりもしている。

[2]どんなカフェをやってみたいのか?
カフェ一本!ではなくて組み合わせ型な暮らしがいいなぁと思っているので、
シェアカフェか、間借りするか、カフェ兼仕事場にして、カフェ営業日を限定するか、あたりが選択肢になってくるかと思う。
ゆったりして、五感が研ぎ澄まされて、羽を休めて、自由な気持ちで自分に立ち返れるような場所がいいなぁ。

インドの優しいおうちごはんで。インド料理、辛いだけではないのだー。バターチキンとナンだけじゃないのだー。
なかなか、"怖い、危ない、汚い"、なイメージが先行しがちなインドですが、"優しい、やわらか"なインドや、"カッコいい"インドに触れるきっかけもあるといいな、と思う。

インド、2年住んで、40か所ほど(インド)国内旅行して。おせっかいなほどの人のあたたかさや、地域による、ごはん、装い、宗教、人々のキャラクターなどの多様性に、心惹かれる国である。

ごはん以外にも、実験できるスペースだとおもしろい。ヨガ、ボディケア、瞑想、シンギングボウル、音楽…親指ピアノを、ぽろんぽろん鳴らしてもいいし、旅先の軒先みたく、弦楽器を鳴らして、ゆるりと歌う人がいてもおもしろいし。

[3]カフェではたらいてみるご縁に恵まれた経緯~もろもろ、たまたま。
とまぁ、妄想はいろいろあるんですが、実は飲食店で働いたことはなかった。(!)

強いて言えば、お祭りの屋台で焼き鳥を売ったとか、デリーのフードフェスでインド人にお寿司売るの手伝ったとか、デパ地下のケーキ屋さんでのアルバイト、などは経験したのだけど、そのスペースにお客さんがとどまって過ごす、というのは、やってみたことがなかった。

今回カフェではたらいてみる機会をいただけたのは、なんだか素敵なご縁で。

たまたま、西インドの写真展を開かれていたのがきっかけで行くようになったカフェ。
たまたま、自分の空いている日に、オーナーさんが、手伝える人を募集されているのを発見。
「これは、行くしかっ」
と思って、連絡したのでした。

[4]いざ、カフェ修行⁉ まったりカフェのキッチンは、ぐるぐる回る
お世話になったカフェは、旅をコンセプトにされていて、いろんな写真家さんの展示が代わるがわる、開かれている。旅先で出会った安宿のロビーをイメージされていて、古民家をリノベした空間。お客さんとして来ると、一日中、時間を忘れて”ぬぼーっ”としてしまいそうな、ゆったりまったりな旅カフェ。

なのですが!穏やかな雰囲気のオーナーさんの、動き・頭の回転は、とっても俊敏だった。6つのテーブルをオーナーさん+1人(この日は、私)で回してゆく。私は回すっていうより、回し車に乗ったハムスターみたいに、なんとか付いていく、という感じで始まった。3、4席埋まってオーダーが積み重なってくると、いとも簡単にてんぱる。。

事前に、当日伺う時間の確認などしていた際に、「まかないは出ますか?」などと、きわめて自己中心的でのんびりした質問をしてしまったのが、後で恥ずかしくなったのでした。こっちがごはんを食べる暇はない…(言い訳をしておくと、それだけこのカフェのカレーが好きなんである)

[5]基本的な流れ~心地よく過ごしてもらえるように
飲食を経験されている方には当たり前のことかもしれないですが、自分の備忘のため、一連の流れをメモ。
・「いらっしゃいませ :) 何名さまでしょうか?/〇名さまでよろしいですか?」
→適切なテーブルに案内(テーブルによって座れる人数が違うので) 
★1名は"1名"。”おひとりさま”、というと、ニュアンスが違って受け取られる危険性…

・「お食事のご利用ですか?(カフェのご利用でしょうか?)」
→選択に応じてメニューの紹介
★混んでいるときは、その旨を伝えて、「少々お時間いただいてしまいますが、よろしいでしょうか?」と一声かけておく! (3,4席埋まってくると、私はもう、何分くらいお待たせしてしまっているのかすら、分からなくなってしまった…もともと、まったりしたカフェなので、急いでいるお客さんがいらっしゃらないことが救いな気はしましたが。。) 

・お水をお持ちしつつ、オーダーを伺う
・オーダーをオーナーに伝達(口頭+キッチン内の所定の場所に、書き取った伝票を貼る)
・食器や副菜をセット。ごはんは冷めないように、カレーの完成を見計らって準備。
・テーブルにお持ちする。(余裕があったら、)そのメニューの説明。
・様子を見てお水をついだり、さし湯できるお茶を頼んだ方の、お湯追加希望伺いをしたり。
・お会計

・手が空いているとき:テーブル片付け、洗い物(しかし、とろかったので⁉、ほとんどオーナーがやってくださった…)、副菜小皿の盛付:予備をつくっておく、減ってきた料理の準備のための調理補助、など

[6]開店前にオーナーが一緒に確認してくださったこと/確認したらよかったこと
・テーブル番号のわりふり
・お客さんが来られる~お帰りになるまでの一連の流れ
・オーナーと自分の役割分担
・各フェーズでの伝票の置き場所(オーダー済提供前→提供後会計前→会計後)
・伝票の書き方
・レジの使い方(しかし、2,3回なぜか間違って、てんぱった)
・台ふき、食器ふき、食器、お水、氷、食材、準備済副菜 などなどの定位置

[7]大事なこと~丁寧さも大切だけど、それ以前に、できるだけ早く注文したものが出てきたほうが嬉しい
開店して最初のほうにいただいた指示が、「テーブル一つにかける時間を、今の半分くらいにして。丁寧なのはいいことだけど、それより注文したものが早く出たほうが、お客さんは嬉しいはずだから」

"はんぶん!どんなけゆっくりなんワタシ!(;・∀・)"と思っちゃいましたが、ほんと確かにそうで。

カフェやってみたい人って、来る人にゆっくり過ごしてほしいな、と願っている人が多いと想像するのだが、ゆったりカフェは、ゆったりカフェである前に、“飲食サービス業”なんやわ、と当たり前のようなことに気づかされたのでした。

居酒屋やら焼き肉屋やら、いくつか飲食バイトを経験していた妹に、事前にアドバイスをもらったとき、「居酒屋は時間勝負。とりあえずビールとつまみ!」と言われたけど、通底するものはそんなに変わらなくて、ひとまずメニューとお水!“あなたをウェルカムして気にかけている”、ということを行動で表現するのって大事だ。そして、前述したけれど、お時間いただく可能性があるときは、あらかじめ伝えておくこと。

[8]メニューのこと
現在のごはんメニューは、カレーのセット一択。
メインのカレーが4種類からひとつ選べて、ごはんが玄米またはジャスミンライスから選べる。
小皿が4つ、アチャール(インドの漬物)、さっぱりしたデザートがついてくる。(仕組みは某スープ屋さんと似てるかも?)

この日は爽やかに青空が広がっていて、開店前にお店に入った瞬間、ジャスミンライスのいい香りがすでに満ちていた。

デザートは4種類+その日のケーキで5種類。売り切れ御免!

飲み物の種類はめっちゃ多い。何種類あったんだろう……
スパイスチャイはもちろん、手淹れブレンドコーヒー、カフェラテ、ジャスミンティ、各国のお茶、フルーツジュース、各国ビール、地元のクラフトビールなどなど。
値段を覚えられてなくて、伝票に書くのにちょっと戸惑った。
途中から、オーダー復唱するときにメニューを指さして確認する技(?)を身に着けた。

そして、まじめに測るのは大事なんだな、と思った。
【① 提供するとき】
ごはん(米)を入れる時は決まったグラム数で計って。
おかずを入れるときは、お皿のどの辺までいれるのかの目安に沿って。
→お客さんに公平に出すためと、原価率をちゃんと把握するため、かな、と思った。

【② 料理を作るとき】

野菜や油、調味料の分量も、計りや小さじ・大さじで計量。
→安定した味を守る&準備するのに分量の目安が分かるようするためかな、と想像した。

[9]オーナーのコミュニケーションの取り方、指示出しで、素敵だなー!と思ったこと
・(慣れない始めの時間帯はとくに)次、何をすべきか、順序立てて、こまめに指示してくださった。
 焦ると、どれからやったらいいか分からなくなる。(ほんとに分からなくなってしまい、「今いちばん先に手を付けることが何か分からなくなりました><」と、そのまま言ってしまいました><!)
・「分からないこと出てきたらすぐ言って」、と声かけてくださった。
・注意、改善を要する点はその場で、すぐに、言ってくださった。
・合間にコーヒーやアイスをくださった!(沁みた…)
・小さなことでも、よくできたことがあったら、ほめてくださった。(励みになる…!)
・忙しいタイミングで、「焦らないで大丈夫だから、ひとつひとつやりましょう」、と言ってくださった(落ち着く…)

[10]何が楽しいと感じたか?~来てくださった“ひとの片鱗”にふれること~
・すべてが新鮮で、おもしろくて、時間が経つのが、あっという間だった。
・お客さんの人柄や、やっていることが垣間見える瞬間
 なかなかゆっくりお話しする余裕はなかったけど、、
 印象的だったお客さんのことを、少し回想してみる。
 *穏やかで物腰やわらかな雰囲気の30代くらいのお兄さん
 お水やメニューをお出しした時にも、ゆったりとしたトーンで「ありがとうございます」と言って受け取ってくださり、慣れなくてぎこちないこちらが、むしろ落ち着かせてもらえたような気持ちに。
 食されている途中、いったん目を閉じて、しみじみ味わってくださっている感じで、なんだか嬉しかった。
 食べ終わられた後の食器もきれいに寄せられていて、片付けやすかったし、この空間を大事にしてくださっているんだなぁ、という感じが伝わってきた。
*ビール一本のオーダー。作品をつくる、おねえさん
 お昼だったんだけど、ビール一本!カッコ良かった。PCを持参で、マンガを描いていらっしゃるようだった。ゆっくり、一人で周りを気にせずにいられる雰囲気だから、何かを創るのに向いている空間なのかもしれない。ときおり、カフェにおいている本も手に取って見られていた。息抜きやアイデアを得るのにいいのかも、と感じた。
*絵を描き続けるカップル
 こちらもタブレットを持ってこられていて、ごはん→デザートとゆったり過ごしながら、おしゃべりするというより、それぞれがそれぞれの作品を描いている感じだった。テーブルに伺ったとき、「一日中いるお客さんとかいるんですか?いくらでも居られそうな雰囲気ですね~」と聞かれた。その気持ち、めっちゃ分かるわ~!

と、いうわけで、
わたしはどうやら、カフェ訪れるひとが、自分らしく、のびのび過ごす時間、その姿の片鱗に触れるのが好きみたい。
そして、そんな場を作っている裏方の厨房は、実はめまぐるしい、というのが今回の学びなのでした。

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