第11節 vs水戸 逆算、してますか?

吉永アルビになって初のレビューです。なんか違うチームになってきたなーと思いつつ、今回も長くなってしまったので前置きはシュレッダーへ。

0.マッチレビューの前に

今回から「5レーン&4レイヤー理論」を取り入れていきます。


これはせんだいしろーさんの提唱する理論で、端的に言えば「静的な縦の5レーン動的な横の4レイヤーによってピッチと守備ブロックを分割し、ピッチ上の事象をより正確に理解するためのツール」(僕なりの解釈)です。図解は以下の通りです。こちらもせんだいしろーさんのブログからお借りしました。ありがとうございますm(__)m

ゴールに近いレイヤーでボールを持つことで、ゴールチャンスが生み出せるようになります。

僕もこの理論について理解が深まっているとは言えませんが、書きながら、皆さんとともに少しずつ深いところへと進んでいきたいと思っています。


1.試合結果

水戸 0-0 新潟

得点者 なし

詳細はJリーグ公式サイトへ。
Football Labでデータもチェック!

ハイライト動画もどうぞ。


2.マッチレビュー紹介

今回はマッチレビューを書いている方を見つけられませんでした。水戸さんは良いサッカーをしていると思うので、レビュワーの出現に期待しています!


3.マッチレビュー(前半)

スタメンはこちら。両者前節と変わらずの陣容。

立ち上がりから水戸は攻撃的プレッシング。後方から繋ぐビルドアップを志向する吉永アルビにとっては厄介です。パスコースがなくなり、前線へ逃げるようにロングボールを蹴るしかありません。しかし、水戸のCBはともに高さがある上、新潟のロングボールはCBの手前に落ちるボールのため、両CBが簡単に跳ね返します。結果、新潟はボール保持時にミドルサードへ侵入することにも苦労します。セカンドボール回収も序盤は水戸が上回り、水戸のペースで進みます。

ただ、水戸のハイプレス大作戦を新潟は想定していたようで。吉永監督は試合後インタビューでこう語っています。

ゲームについては、水戸さんは首位にいるチームで非常にスキがなく、特に立ち上がりにちょっと(プレスを)ハメられかけたんですけど、それも想定内で
--前半、少し長いボールを使ったのは意図的か。    
意図的ですね。

Jリーグ公式サイトより

考えなしにやったと思って見るのと、意図的だと分かった上で見るのとでは全然違ってきますね。「ハイプレスに真っ向から立ち向かう必要はない。プレスが落ち着いたらこちらのターンだ!」といったところでしょうか。


ゲーム序盤を支配した水戸は、攻撃では縦に急ぎすぎず、ボールを回しながら新潟のブロックの穴を探します。ここで積極的に絡んできたのが左SB志知。ちなみに背番号も七。元々中盤の選手である志知は攻撃時に時折左サイド高くへと位置。白井、木村と絡みつつ、左から作り出すゴールへの道。示した価値。追い求めた勝ち。でもゴール奪えるかどうかは未知。year

水戸は上図のように2列目に枚数を増やします。ハーフスペースに度々侵入する木村との絡みから何度か志知が左サイド深くまで侵入し、クロスを上げてきました。新潟はクロスからの失点が多い(下図)ことから、ここが狙い所とばかりに狙ってきますが、シュートまではつながらず。

Football Labより)

サイドを中心に攻める水戸ですが、中央はなかなか使えずじまい。なぜなら新潟は第3レイヤー(DF-MF間)を圧縮しているため、スペースがないからです。これは片渕アルビの遺産ともいえます。事実、前半終了時点のアタッキングサイドは下のようにサイド偏重となっています。

ペースを握りながら攻めきれなかった水戸。彼らとしてはビルドアップでミスを誘い、高い位置でのショートカウンターからゴールを陥れようと目論んだのでしょう。しかし、新潟が後方のつなぎで大きなミスをせず、無理せずプレス回避のロングボールも使ったことで、水戸の攻撃のスタート地点が下がり、ショートカウンターは不発となりました。互いに相手の狙いをつぶし合う、拮抗した時間が続きます。


前半15分過ぎからは試合開始時の強烈なプレスが弱まり始め、セカンドボール回収も新潟が優勢となり、少しずつ新潟が前進し始めます。

それまでビルドアップに関わる機会の少なかったボランチが顔を出し、少しずつプレーエリアを広げることで、ミドルサードまでは容易に運ぶことができるようになりました。また、サイドチェンジを使うことで、水戸のブロックを揺さぶる場面もありました。

ミドルサードまで運ぶと、下図のように両ワイドが中に入り、SBが幅を取るようになりました。効果的なプレーをしていたのが両ワイドの凌磨と高木。新潟のボランチがボールを持った時、水戸のボランチは積極的にプレスをかけに出ていくため、そこでできたスペースにタイミングよく入り込み、第3レイヤーでボールを受けることを狙っていました。そこから決定機を作れてはいませんでしたが、相手の嫌なところは突けていました。

こうなると中を閉じたくなる水戸。ならばと大外を使う新潟。右から左からクロスを入れ、ゴールに迫りました。ただ、先述の通り前線にターゲットのいない新潟が何度も同じタイミングでクロスを上げても、相手には読まれてしまいます。ドリブルを挟むなど少し変化を加えてもいいのでは?

水戸から新潟へとペースが移り行く中で、互いに押しこまれても簡単にはやらせない守備を披露していました。言い換えれば、双方ファイナルサードでの質、フィニッシュの手前の部分に課題を抱えた前半でした。


4.マッチレビュー(後半)

さあ後半。ペースを握るのは前半途中から引き続き新潟。前半よりもボランチの動きが良くなり、片方が落ちて3バック化したり、縦関係になったり、あるいは二人とも同サイドに寄ったり。大、カウエともに相手を外す技術、パスを繋ぐ技術は高いので、この2人の関わりが増えるとボールが回るようになります。片渕アルビの頃より生き生きしているように見えるのは気のせいではないでしょう。

57分にはこんなシーンも。CB+カウエで水戸2トップのプレスをかわし、CBが持ち上がってからチャンスに。凌磨のハーフスペースで受ける動き、ゴールを狙う姿勢。凌磨がどんどん欠かせない存在になっています。この時を待っていたんだ!(サイト~さんのツイートをお借りしました。ありがとうございますm(__)m)

一方の水戸はどうだったのか。長谷部監督のハーフタイムコメント通り、セカンドボールの回収率を上げることに成功しました。また、守備で重心が下がった中で、ボールを奪った後は簡単にロングボールを入れることが多くなりました。ターゲットは清水。このボールを跳ね返せれば新潟は楽に戦えたんでしょうが、清水と競り合った広瀬はことごとく負けてしまい、セカンドボール回収されてしまいました。この試合、広瀬はとても不安定で、一歩間違えれば退場しかねないほどでした。まだケガから完全復活とはいかないのか、それともヴェルディ戦のミスを引きずっているのか。いずれにせよ、どうにかしてほしい部分です。

前半で一つの起点ともなっていた志知ですが、前半の終盤以降の攻撃における存在感は今一つ。なぜなら、この男が上手いポジショニングで志知を監視し、いい形でボールを渡さなかったからなのです!

彼、最近ケイスケホンダみが増している気がしませんか? 私だけでしょうか?


両者決め手を欠く展開の中、仲良しこよしでほぼ同時に交代。58分に新潟はレオナルド→貴章、59分に水戸は木村→浅野。

ちなみに浅野は元広島で現ハノーファーの浅野琢磨の弟。さらに言えば右SB岸田は山口所属でかつてのJ3得点王岸田和人の双子の弟。2人とも兄似だから、一瞬見ただけじゃ間違えちゃいますね。僕も浅野琢磨が投入されたのかと思いました。

※コラじゃありません

貴章は高さ、強さ、前プレ要員。浅野は速さ、ドリブル要員。わかりやすいスーパーサブ投入で、ともに得点への意欲を見せます。互いのスーパーサブを生かすにはロングボールだ!スペースだ!裏へのボールだ! ってちょっと強引だったですか~


というわけで、試合は徐々にオープンに。各レイヤーが広がり、両者間延びの状態となります。

水戸は清水、交代出場のジョー、村田が強さを生かしてボールを落とし、浅野、黒川が仕掛け役に。中でも黒川はうまいだけでなく力強く、アディショナルタイムでもペナルティエリア内をゴリゴリ進みました。来シーズンは水戸に、いやJ2にいないだろうなと思いつつ見ていました。

新潟は貴章をターゲットにシャドーの3人が絡み、途中出場のフランシスが独特な間合いで仕掛け。80分には良いシュートを放つもGK松井に阻まれる。


慌ただしい展開の最終盤で目立ったのは、水戸の走力です。水戸のコーナーから新潟がカウンターに移行する際、最初の一歩、動き出しが速かったのはいつも水戸でした。逆に水戸のカウンターでは、新潟は最初の一歩が遅れ、水戸のミスに助けられて失点は免れました。首位にいるチームと、中位にいるチーム。結果を残せるか否か。その差がわかったような気がしました。


5.まとめ

良かった点

・相手をしっかり見て、簡単には術中にはまらなかった
・時間とともに自分たちのペースに引き込み、ミドルサードまではうまく運べた。
・ボランチが攻撃でうまく関われた(途中から)

悪かった点

・全体的に空中戦で負け
・ファイナルサードでの質、工夫が物足りない
・またもペース握りつつ仕留めきれず

4試合連続引き分け。この2試合は主導権を握る時間が結構あったにもかかわらず勝てない。点が取れない。

昇格のために監督を変えたこのチーム。昇格から逆算すれば勝ち点3はできる限り取っておきたい。勝利から逆算すれば、ゴールが必要。ゴールから逆算すれば、ゴールを生み出すための動きが求められる。

逆算から始まったチームなので、逆算を止めればすなわち死です。ゴールからの逆算をチームで意思統一して取り組んでほしいと思います。個人的にキーマンは凌磨、高木だと思っています。ここにFWが絡み、次節こそ得点を!


最後に一つ。終盤のカウンターの場面だけでなく、水戸は序盤のプレスにおいても、何をすべきか、どこに走るべきかが整理されていた印象を受けました。規律、一体感。首位は伊達ではありません。そして、それがアルビには足りていないのではないかと感じました。逆に言えば、それが備われば勢いに乗れるかもしれないということです。

次はホームゲーム。サポーターと一体になってチーム一丸で戦う姿を、勝つ姿を届けてほしいです。


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あるけん

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