岡山戦スタメン

J2第8節 vsファジアーノ岡山 強い気持ちで  |アルビレビュー

お久しぶりです!マッチレビューのお時間です。前回が開幕戦なので一カ月半も空いてしまいました。いや、マッチレビューって結構労力使うんですよ。それなのに今回なんか動画編集に手を出しちゃったもんだから労力が2倍!2倍! 毎節プレビューもレビューも書いている人は僕からすれば神です。神の子です。毎試合書けるなんてほんトーレス⁉

そんな素晴らしき方々の末席に加えていただきました。polestarさんのJリーグ戦術ブログ・レビューまとめ!(リンク↓) まだまだひよっこの僕を入れてくれるなんて本当にありがたい限りです。これを機にさらに頑張ろうと強く思いました。(その結果動画編集に手を出してしまってしんどい…)ほどほどの力加減で続けようと思った次第です。

他の方の卓越した戦術ブログ・レビューを見ると、世界が広がります。本当です。僕も学ばせてもらっているので、ぜひご覧になってください!

J1まとめ

J2・J3まとめ


1.試合結果

岡山 3-3 新潟

得点者 岡山 7' 仲間 46' 49' イ  ヨンジェ
    新潟 2' 大武 73' 90+5' フランシス

詳細はJリーグ公式サイトアルビレックス新潟公式サイトへ。

Football LABさんのデータも面白いですよ。


2.マッチレビュー紹介

ファジスキーさん

J2のマッチレビューも盛り上げていきたい! 新戦力募集中です!(クラブ問わず)


3.マッチレビュー(前半)

スタメンはこちら。

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中三日の連戦ということで、両者前節から2人代えてきました。新潟は2トップを、岡山はSBとFWを1枚ずつ。宗は初スタメン。これまでメンバー入りすらなかっただけにサプライズでした


開始直後、ボールが落ち着かない中で新潟が得たフリーキック。一度ははね返されるものの、こぼれ球を繋ぎ、泰基の左からのクロスをファーで達也が折り返し、詰めたのは大武。あっちゅうまに新潟が先制。開始早々のセットプレーから新潟のCBが得点。うん、これ去年も見ました。まさにアウェイ岡山戦。

大武はこれがJ初得点らしい。おめでとう、大武!


…なんて言ってたらその2分後に彼がPKを与えるってんだから、サッカーの神様も残酷ですね。まあ彼のエンターテイナー気質がサッカーの神の祝福に勝っちゃったのかもしれませんが。

PKは大谷が止めるも、こぼれ球を押し込まれ同点。仲間隼人の同点弾。うん、これ去年も見ました。(2度目)


そんなこんなでボールが落ち着かないうちにタイスコアに戻る。ボールが落ち着いてくると、ミラーゲームらしく両者の狙いは似たものとなります。

守備:コンパクトに4-4-2を保ちつつ、プレスをかける時は一気に。攻撃:CB+ボランチ中心に組み立てつつ、シンプルに裏やFWの高さを使う。

その中でも両チームの差はありました。守備では、岡山はプレスをかけ始めるラインが少し高く、ボランチの位置が少し高めなのに対し、新潟はまずコンパクトブロックを作る意識。ボランチの位置も少し低め。

また、攻撃も異なりました。岡山は徹底的にイ ヨンジェが裏のスペースを使ってきます。ボールホルダーがフリーになれば、CB-SB間から、CB間からどんどん飛び出してパスを受けます。(下図)何より速い、高い、巧い。しっかりサイドでパスを収めるので、この試合を通じて苦しめられました。PKのシーンも、彼のCB間の抜け出しに対し大武がスピードで負け、一歩遅く足を出したことによるものでした。

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上田のパス、イ ヨンジェを生かすレオ ミネイロの動きも見事でした。シンプルだけど嫌なヤーツです。

さて一方の新潟の攻撃。こちらも長いボールが多かったのですが、狙いは平松宗。空中戦の強い彼に当てて、ポストプレーやフリックを狙っていました。(下図)特に達也は、宗のフリックや、ポストプレーからのスルーパスを常に狙っていて、何度もうまくつながっていました。間違いなくこの2人の連携は脅威になっていました。

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似ているようにも見える両者のロングボールには、実は大きな違いがありました。それは、相手を見ているかどうかということです。

イ ヨンジェは右FWでありながら、左サイド、すなわち新潟の右サイドを執拗についてきました。イ ヨンジェは184cm、新潟の右SB川口は177cm、右CB新井は173cm。空中戦では優勢でした。さらに彼はスピードがあり、CB間を抜ければ足の速くない左CB大武と対峙することとなるため、ここでも分があります。相手のウィークポイントを見て、自らの強みとぶつけてきたのです。

新潟はどうか。右FW平松は岡山の左CBチェ ジョンウォンと幾度となく競り合いましたが、平松183cmに対しチェ ジョンウォンは186cm。競り勝つ場面は何度もありましたが、わざわざDFラインで一番高身長の選手と競るのは、茨の道を行くようなもの。ちなみに岡山の右SB廣木は168cm。ここにぶつけたほうが楽なんでないの (。´・ω・)?


試合が進むにつれ、両チームボールを持つようになります。このとき、デフォルトのフォーメーションでは容易にプレスを掛けられるため、両チームビルドアップを工夫します。そう、3バック化です。

まずは岡山の3バック化。上田がCB脇、特に左サイドに落ちることでフリーとなり、何度か裏への良いボールを出していました。

ただ、3バック化したところから繋いで崩しにかかるというよりも、開いた左右のCBからマークのずれや空いた裏のスペースを突くパスが多く、それまでと大きく狙いは変わりませんでした。

次の動画は岡山の3バック化でのビルドアップ。この場面では新潟のプレスにより奪われます。


この場面に限らず、岡山は3バック化してもそれほどいい展開ができていたとは言えません。形を変えても狙いが変わらないうえ、3バック化しても中盤の選手があまり効果的なポジション取りをあまりできていなかった印象があります。

一方の新潟。こちらはカウエがCB間に下りる、いわゆる「サリーダ・ラボルピアーナ」の形を頻繁にとりました。そして、多かった形が「左で作り、もう一人のボランチ・加藤大を経由しての右サイド展開」。次の動画では、まさにその形からシュートまで至りました。

凌磨の味方を生かす動き、大の絶妙なタイミングでのパス回しへの参加が光ります。宗のポストプレー、動き出しも見事。いい攻撃でした。

また、これ以外にも左右のCBが持ち出し、高い位置取りをするSBにパスしたところから始まる攻撃もあり、ミドルサードまでは繋ぎながら持ち込めるシーンがいくつかありました。開幕当初に比べれば、遅攻の質は上がってきたように思います。ですが、ファイナルサードでの質が低く、シュートまで持ち込めない、シュートが枠にいかない場面ばかりでした。


こんな感じで互いに狙いを持って戦っていた前半でしたが、後半は一気にカオスへ・・・


4.マッチレビュー(後半)

後半のキックオフ直前、なぜだか僕は嫌な予感がしました。根拠はない。ふわふわとした感じ。

そして、悪い予感に限って当たってしまうものです。

まずキックオフのボール。岡山は高く上げ、新潟のボランチとCBの間でワンバウンド。DFやボランチ経験者なら言われる、絶対にバウンドさせてはいけないヤツです。試合後のコメントで、キャプテンもこう言っています。

この試合は本当に反省しないといけないと思います。後半の試合の入り方っていうところで、集中して入ろうって全員で声をかけ合っている中で、キックオフの最初の1つ目を誰も競りにいかないところでまずないと思います。

こういう「気持ち」の部分って意外とサッカーでは重要なんですよね…


まず、相手のスローインからの流れで全体が下がりすぎたためにペナルティエリア前でフリーになった選手がクロス、全体がボールウォッチャーとなりマークが緩んだところ、イ ヨンジェが反転シュートを叩き込む。岡山逆転

トラップからシュートまでの流れは褒めるべきとしても、その前でプレスがかからない、人はいるのに対応が遅れているのはまずいでしょ。


さらに嫌な展開は続き、新潟はさらなる得点を許します。次の動画は3失点目です。


雑なディフェンス、いつもと違う対応に加え、全体が下がりすぎるという以前から発生している問題が重なったことで、いつもは強固な新潟の守備陣があれだけ崩れてしまいました。

2、3失点目はともに新潟の集中の切れた時間帯に起きてしまっただけに、非常に勿体なかったです。


岡山は3得点目の後は少し重心を下げ、守ってからのカウンターを狙う形になりました。終了間際で勝ち点を落とすということを今シーズン何度か経験したため、安全策を採ったのです。

その岡山に対し、新潟はフランシス、シルビーニョを投入。4-2-3-1に近い形になります。

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フランシスは左サイドで開く場面が多く、あまり中には入ってきません。それにより少し岡山の右SBも少し開き、トップ下のように位置取るシルビーニョの使うスペースが広がりました。

シルビーニョ、フランシスの動きは次の動画でよくわかります。


ただ、やはり崩しからフィニッシュまで持ち込める場面は少なく、結局はロングボールとセットプレーが頼みの綱に。

73分、シルビーニョのCKをフランシスが押し込み一点差に。高木と大はふわっとしたボールが多いのに対し、シルビーニョが低めの鋭い球を入れたことで、守備陣はうまくクリアできませんでした。

そしてアディショナルタイムの同点弾のシーン。この試合10本目(筆者調べ)のロングスローで執拗に狙ってきた「ニアへのボール→すらせて中へ」の形がようやくできたことが、執念の同点ゴールにつながりました。途中出場の新潟のブラジル人FWが終了間際にゴール。うん、これ去年も見ました。(3回目)

フランシスの神通力に感謝です。


5.まとめ

新潟について気になったことをいくつか箇条書きで。(個人的感想込み)

良かった点
・3バック化からのビルドアップで4回ほどチャンスにつながり、遅攻の改善が見られた。
・宗は初スタメンながら悪くないプレーだった。動き出しの良さは高木塾のおかげ?
・スーパーサブフランシス爆誕。持っている男がいるのは心強い。

改善点
・アタッキングサードまでは良くても、フィニッシュに持ち込めない。南無三セットプレーだけじゃ勝てません。
・奪ってからカウンターの形が見えない。守備時にカウンターを狙えるようなポジショニングを取れていないように感じる。
・チームを「締める」選手の不在。


僕自身、サッカーをメンタルばかりで語るのは好きではありません。ただ、明らかのこの試合の後半開始直後の新潟には「気持ち」が入っていませんでした。それが後手後手の対応につながっていました。そんな緩んだ空気を引き締める存在がいないということが浮き彫りになった試合でした。

一方で、3失点目の後には、同点へ向けた諦めない姿勢も感じました。特にシルビーニョ。いつも以上に球際に厳しく、味方へ強く要求する場面もありました。彼を中心としたチーム全体の強い気持ちが同点劇につながったことは間違いないでしょう。

岡山は、後半早々で優位に立ったため、徐々に試合をクローズさせたいと思ったのでしょう。しかし、二失点目の後も「同点にはされたくない」とズルズルと全体を下げてしまう場面が多く、新潟の攻撃を真に受けてしまいました。また、審判の判定に不必要にフラストレーションをためてしまっているようにも感じました。そういった「悪い空気」をひきずったことで、悪夢の結果となったのではないかと思います。

まさにメンタルが試合を動かした試合というような試合でした。「強い気持ち」、これ大事。


最後に一つ。この試合、審判団は円滑に試合を進めていたとは言いがたかったです。ファールの基準が曖昧なように感じましたし、新潟の最後の交代時には交代選手の表示を間違えるというミスもありました。両チームのサポーターもフラストレーションをためている状況でした。

もちろん、審判団にさらなる実力をつけてほしい、というのはあります。ただ、審判は選手とともに一つの試合を作り上げる仲間でもあります。主張すべきところはあれど、審判を敵対視してしまえば、不必要にエネルギーを使い、自ら試合を難しくしてしまいます。今日の岡山にはそんな印象を受けました。

審判とコミュニケーションをとること、それを通して審判の判定基準をつかみ、無駄なファールを未然に防ぐこと。こうすることで、自らが戦いやすい状況に持ち込めます。一年ほど前に「コミュニケーション」が問題となった日本サッカーですが、審判とコミュニケーションをとることの重要性も忘れてはならないと思います。


今回はここまでです。次はいつになるかわかりませんがお楽しみに!

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