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「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」ドン4話「おにぎりのおに」評価:★★+

評価は、基本的に以下の10段階です。
・★★★★★…最高。大傑作。愛する。面白い超えて芸術の域(5点)。
・★★★★…大満足。傑作。大好き。凄く面白い(4点)
・★★★+…満足。名作。好き。かなり面白い(3.5点)
・★★★…平均より上。秀作。好感。中々面白い(3点)
・★★+…及第点。佳作。どちらかと云えば好き。まぁ面白い(2.5点)
・★★…普通。凡作。特に可もなく不可もなく(2点)
・★+微妙。凡作未満。カス。どちらかと云えば嫌い。つまらない(1.5点)
・★…難あり。駄作。カス以下。嫌悪感。かなりつまらない(1点)
・+…最低。大駄作。クズ。嫌い。マジでつまらない(0点)
・×…最悪。超駄作。ゴミ。大嫌い。つまらない以前の問題(-1点)

<放送データ及び評価>

脚本:井上敏樹
監督:中澤祥次郎
アクション監督:福沢博文
特撮監督:佛田 洋(特撮研究所)
評価:★★+(2.5点)

オニシスター、俳人教授の正体を知って……

 前回、ドンモモタロウの正体が桃井タロウだと知った鬼頭はるかは、謎のサングラスを使って桃井陣の下を訪れるが、面会時間の終了で肝心なことは何も知ることが出来ずに終わる。

 まぁ、肝心なことはどうせ語られないことは視聴者としても分かり切っているので、大した情報が第4話の段階で得られるとも考えていない。

『ウルトラマンネクサス』でもそうだったが、ちゃんと視聴者側が知りたい情報を説明してしまうと物語の謎がなくなってしまうので、中途半端に情報を出し惜しみしながらじゃないと話を進めることが出来ないのが『謎で引っ張る病』のテレビドラマの限界である。

 すると、交通事故に遭いそうだった親子を救おうとした結果、互いにドンブラザーズのメンバーだったと俳人教授と鬼頭はるかは確認する。
 さらに喫茶どんぶらに一緒に出向いて、二人は意気投合。

 ここで大事なのは、はるかからの情報で俳人教授が桃井タロウの正体を初めて知る展開だ。
 互いの正体が誰なのか、まだメンバー同士の情報には誤差がある。

・はるかはイヌブラザー以外の正体は知っている状態だが、キジブラザーの変身前の雉野の顔は見たが、交流が無く、まだ赤の他人状態。
・サルブラザーは、イヌブラザーとキジブラザーの正体を知らない。
・キジブラザーは、他の4人全員の正体を知らない様子。
・イヌブラザーも、他の4人全員の正体を知らない様子。
・そしてドンモモタロウは何も考えていない。

 ところで、彼らはまだ5人で『ドンブラザーズ』と名乗っていないので、自分達のチームを『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』と認識していない。

 また、番組のOPでもチーム名のタイトルコールが行われていない。

 恐らく、彼ら5人が互いの正体を知った上で自分達のチーム名を『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』と決めるプロセスが今後の話で出てくるだろう。
 そしたらOPも5人でタイトルコールを行う演出に変わるかもしれない。

ドンブラザーズはアマチュア戦隊の系譜

 鬼頭はるかと俳人教授は、ドンモモタロウが自分達に攻撃してきた理由は自分達を鍛えるためだろうと勝手に解釈する。何故ならば自分達が戦闘に関しては完全にアマチュアであることを認識しているからだ。

『スーパー戦隊シリーズ』は大別すると、「プロフェッショナル戦隊」と「アマチュア戦隊」がある。

 例えば現在配信中の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』や『轟轟戦隊ボウケンジャー』は「プロフェッショナル戦隊」である。自分達の戦隊が何のために結成されているのかをメンバー全員がよく分かっているからだ。

 また、井上敏樹先生が書いた『鳥人戦隊ジェットマン』はレッドホークの天堂竜はプロフェッショナルだが、他の4人は素人だったので「プロ&アマの混成戦隊」と云える。

 その意味でドンブラザーズは「アマチュア戦隊」に属していると云える。 

 完全に自分達が戦闘に関しては素人であると認識している戦隊は、『激走戦隊カーレンジャー』があった。彼らは「アマチュア戦隊」である。クルマジックパワーを失った彼らはただの一般人でしかない。
 だからこそ、変身出来なくなった彼らが生身名乗りをするシーンは、弱いからこそ輝いて見えた。

 他に素人戦隊と云ったら『電磁戦隊メガレンジャー』が居るが、彼らの場合は高校生であったため、社会人のカーレンジャーよりも確実に弱い。
 恐らくは歴代最弱だが、この弱さこそメガレンジャーの魅力でもある。

 高校生戦隊と云ったら『高速戦隊ターボレンジャー』もそうだが、後半はレッドが異常に強くなったため、あまり弱いイメージは無い。
 レッドは歴代最強とも言われるが、この強さがターボレンジャーの魅力に全くなっていないことが作品としては痛い

 しかし別の解釈も成り立つ。
 ドンブラザーズは自分達を戦闘に関して素人と自覚しているため、その意味では「アマチュア戦隊」だが、ドンモモタロウだけは戦いの事情を他のメンバーよりは遥かに知っていると思われる。
 その意味では『ジェットマン』のようなレッドがプロフェッショナルで、他のメンバーがアマチュアと云った「プロ&アマの混成戦隊」にも近いかもしれない。脚本家も一緒だし、共通点は多い。

 好意的に解釈すれば『ドンブラザーズ』は『ジェットマン』の変形だが、レッドだけ無用に強い点は『ターボレンジャー』っぽいとも言える。

もう井上先生の食べ物ネタは飽きました

 井上敏樹先生は脚本家としての実績は十分だが、逆に言えば、他の業界や職場での就労経験は無きに等しく、井上先生より遥かに年下である筆者でも井上先生やプロデューサー達の社会人経験の無さを作品から感じた。

 まず、おにぎりの味一つごときで盛り返せるほど飲食店経営は甘くない。

 例えば「おにぎりの価格が高くないか?」とか「コンビニとの差別化点は何処にあるのか?」などを冷静に分析する方がコンサル会社らしい。

 それに恐らくアルバイト(非正規雇用)として入社してきた桃井タロウがクライアントであるはずのおにぎり屋のバイトをしごける立場には無い。

 例えば『ハル 総合商社の女(テレビ東京)』と云うテレビドラマがある。ラーメン屋からコンビニまで、さまざまな商売をする日本独自の総合商社を舞台にしたテレビドラマがあったが、雉野の務める会社が「コンサル会社」ではなく総合商社だったら、グループ会社のおにぎり専門店の業績を上げるように雉野が指令を受けて、出向してきたおにぎり屋のアルバイトに桃井が参加するような話になっていただろう。

 会社員を題材にするなら、民放のゴールデンタイムで放送されている職業ドラマなんかも研究して、もっと参考にすべきだと思う。

<総評>

 評価は★★+。
 はるかを主体にしてドンブラザーズの設定周りを考察するのは面白いが、雉野が勤めるコンサル会社がおにぎり屋を盛り返そうとする話は、いま一つの出来に感じた。
 井上敏樹先生はよく料理を出してくるが、『平成ライダー』を知っていると出涸らし感が否めなかった。

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