[香水]女だけであることを辞めた日
こんにちは、あるとです。
私の半身とも言える香水が2つあります。
1つ目は トムフォードのネロリポルトフィーノ
2つ目は ビュリーのヴァルパンソンの浴女(現:イリス・ドゥ・マルト)
です。
今回は、トムフォードのネロリポルトフィーノを買う経緯について話します。
※自問自答ファッションに出会う前の話です。
若干胸糞悪いかもしれないので注意が必要です。
数年前、私には当時お付き合いをしていた男性がいました。振り返ってみると、いい人かと言われるとクソだね。友人に対してはいい人だしクラスメイトだったからやばい人だと思わなかったんだよな。来世は他人がいい。
私は持病の関係で卒業後すぐに就職できなかったために、学校に身を置きながら生活していました。無職で貯金を崩し、ご縁が見つからないと焦る中就活スケジュールの間をぬって会いに行くほどには恋か何かがあったのだと思います。
とある日、
その日こそはパンケーキを食べに出かけようと計画していた日です。
私が甘いものが苦手なこともありなかなかの好みが合わないのですが、インスタに流れてきた写真をみて意気投合したので行くことになりました。かなりの人気店で電車に乗り、並ぶ必要がありました。
私がスキンケアを始めてもその男性は起きない。ベースメイクまで終えてやっと起きたらYouTube見始めました。
メイクを終えて、「私もう出かけられるけど、待つから準備して!!」
それに対し、だるそうに顔を私の方に向けて携帯でゲームしながら
「俺は行かない、仕事があるから」
と言ってきました。説得力がなさすぎです。
前月の水族館の前にパンケーキ食べに行こうって言ったのに行きたくない駄々こねたその夜に「パンケーキ行けばよかったね」じゃないよ。水族館さえ行ってねーぞ。リベンジしようって言ったお前じゃん。
ぐっと飲み込んで「楽しみにしてたんだし、出かけようよ」
「嫌だ、仕事がある」の一点張り。
「もう、それなら私出かけちゃうよ」と玄関に向かい靴を履きました。
その男性は追いかけますが、何も言いません。
「本当に出かけちゃうよ、いいの?」
「だから、仕事あるんだって!!行かねーよ」
扉を開けたら一歩踏み出したら、
扉はすぐに閉じられ、ガチャリと鍵が閉まりました。
エレベーターは1人、涙が止まりませんでした。
何のために頑張ってきたのだろう。デートを断り、連絡は全然返ってこない人に尽くす必要があったのだろうか。5年も!!!気がつくの遅いよ。可愛い服で会いたいからとおめかしをしその男性に好かれようと必死になった私はもう必要ない。
私は私であればいい。
女の子は可愛い方がいいって言う彼の前では女性ファッション誌を見て「こんな服可愛いかな、どうかな?」って言ったけど、メンズライクな服も好きだよ私。好きなもの好きって言うの諦めなくていいの!!!
お出かけや家に帰ることなんて考えられず、最寄駅からすぐ出る電車に駆け込んで涙を隠すように息をとめる。
ずっと電車が行くままに揺られていた。
ふと、人が通り過ぎた。
フローラルの華やかさもありながら、一筋縄でいかないどこか奥深い香りが
私を起こした。
そういえば前に、香水気になっていたね。
昔はつけ間違いして人に迷惑かけたことがあったからそれ以来つけるのやめたんだっけ。昔より知識はあるし、家で香りを楽しめばいい。
やっと気がついた記念。自戒を込めて。
めっちゃいい香水買ってやる!!!
いい香水ってどこ?
検索してもいいけど、違う。私自身の知ってる中で見つけたい。
だって、私を取り戻すのだから。
どんな香りなんだろうと思いを寄せた香水がたくさんある中で、一つだけメンズ用の香水がありました。
それが、トムフォードの香水です。
こっそり読んだ男性ファッション誌で、
海のように透き通る青いボトルに、堂々たる金色のラベル。文章にはバカンスを連想するような爽やかな香りについて書かれていました。
メンズ用だし、何よりも無職には手を出しづらい値段。読んだその時は心のどこかで諦めていました。
とにかく行ってみて、その憧れを嗅いでみよう。
そう思ったら、なぜか銀座にいました。初めての銀座です。
百貨店に入ったら何故かすぐにお店が見えた。まっすぐ向かう。
「私、香水欲しいんです!!!」
本格的な香水をつけるのも、トムフォード自体も初めてであること、
男性よりの香りがいいと伝えたら、色々試させてもらえました。
大きく広がる海、駆け抜ける木々の風。
鮮明に浮かぶその世界に、赤く腫れた目をそっと閉じた。
私に必要な新しい風景は、ここにあった。
50ml瓶の香水を買って、家に帰りました。
ここぞの勝負どき、私が私であるための必要な場面の時につけてます。
お会計の時まで値段を聞かずに買った、自分の感性と行動で決めた香り。
一回、深呼吸して。思い出して。
あの時の決断は自分を変えた。
大丈夫。私は私でいいのだから。
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