子供をクライミング選手にする・2

前回は、クライミング上達のためには、クライミングばかりやるべきではない、という趣旨のことを書きました。

理由は、身体が出来あがっていない子供たちに重要なのは、とにかくいろいろ身体を動かし、身体の動かし方を身につけるためです。

もちろん、クライミングジムに通いづめ、何度も打ち込んで目標とする課題を打ち込むのもいいでしょう。でも、ジムの課題は頻繁に入れ替わりますし、あまり制限のある動きばかり繰り返すと、成長期の身体には負担が大きいです。

大事なことなので何度も書きますけど、

身体の軽さだけを武器にカチ持ちばかりしてみたり、ポケット課題でぶらさがったりしていると、故障の原因になります。

前回も書きましたが、これで選手生命を絶たれた子供たちを何人も見ていますから。

外遊びで全身をくまなく動かして、いざクライミングジムへ。
でも練習するとして、どんな練習をしたらいいのか。

これは、子供たちの体力や身体の特徴もありますから、一概には言えません。ただ、これだけは、止めた方がいい練習方法があります。

登れなかった時、親が怒ること。
他の子供と比較すること。

もし、これを真剣に読んで下さっているのが、父兄の方々だとしたら、クライミングの経験はあまりないはずです。
ということは、子供たちに指導も出来ないですよね。
言葉は悪いですが、みなさん、素人です。
素人ができることは、精一杯、応援して、褒めてあげることです。

ところが、ジムに来ている父兄のなかには、登れなかった時、ものすごく怒る人がいるのです。
「いまのホールドは右手でつかむのではなく、左手を使ってクロスで取りに行く。それから、右手を上のホールドにもっていけば、身体が安定する」

と、理詰めで教えるならいいですけど、

「何で登れないの?」「さっきから同じこと何回やってるの?」
などと声を荒げたり、ため息をつく父兄も少なからずいらっしゃいます。
他の子供が完登しているのを見て「○○君(ちゃん)は、あそこまで行ってるでしょ!?」「負けてもいいの?」とほかの子供と比べる方もいらっしゃいます。

気持ちは分からないでもないですが、叱るのと怒るのは違います。
それに、こういう言い方をすると良くないかもしれませんが、父兄の方々は素人です(なかには、コーチ資格を取って我が子を指導している方もいますけど、これを読んでいる方は違いますよね)。

素人が出来ることは、精一杯応援して、褒めてあげることです。
多少、進歩がなくても
「惜しかったね、次はもっとうまく出来るよ」
と、はげましてあげたり
「疲れてない?少し休んで気分転換しようか?」
と、カッカしてしまったハートを静めてあげることも、父兄だからこそできることです。

小学生、中学生くらいでも、大人顔負けの子供たちもいます。
なかには、ワールドカップに出場する代表選手に匹敵する技術をもっている子供たちもいます。

でも、中身は他の子供たちと同じ小学生、中学生です。
何気ないひとことに傷ついて、ふさぎこむこともあります。
逆に、ちょっとした言葉で、大いに頑張ってくれることもあります。

ほかのスポーツ同様、褒めて伸ばすのが、近道だと思います。

それから、クライミングは、ゴルフのように、巧い人も初心者でも年齢性別を問わず、同じ時間、同じ空間で楽しめる珍しいスポーツです。
登る課題は違っても、みんなで楽しめますので、もし可能なら父兄の方々も一緒に挑戦してみるといいかもしれません。

最初はお父さん、お母さんの方が体格を活かして登るかもしれませんが、子供たちは、ものすごいスピードで上達します。
身近な大人、つまりお父さんやお母さんに勝つことを目標にすると、さらにスピードがアップして、あっという間に追いつけなくなります。

なかには、子供たちが独り立ちしても、一緒に登る父兄もいます。
一生懸命頑張る姿を子供たちにみせることも、また教育だと思います。

ぜひ、親子で挑戦してみてください。

次回は、道具選びについて書いてみたいと思います。


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