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やさしさに包まれたなら

Spotifyでお気に入りのプレイリストを聞いていたら、リストに入っていない曲が流れてきた。リストは2020年の曲を中心に作ったので、あれっ?と思った。

これはSpotifyの「自動再生」設定をONにしているためだ。この設定をONにしていると、

アルバム、プレイリストなど、選択した音楽が終了すると、Spotify が似ている曲を自動的に再生するので、ノンストップで音楽を楽しめます。

ということで、便利な気もするが、それならプレイリストをまた再生してくれても良いのにとも思う。これは、Spotifyの「より多くの音楽を提供する」という考え方によるものなのだろう。

さて、流れてきたのは、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」だ。

この曲を初めて聞いたのは、ジブリ映画「魔女の宅急便」。当時、中学生の自分は、いい歌だな、と何の深みもなく感想を抱いたが、その感情のまま今に至ってしまった。つまり、僕にとってこの歌は「なんとなくいい歌」のままで、Spotifyの選曲をありがたさ50、迷惑さ50で捉えてしまったのだ。

とはいえ、曲をスキップするほどでもないので、なんとなく聞き続けながら他のことをしていた。

すると、あるフレーズがすごく心に刺さって、耳から離れなくなった。

大人になっても、奇跡は起こるよ

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最近、色々とうまく行かない。

自分は何をしているのだろう、誰かの役に立っているのだろうか、必要とされているのだろうかを考えることが多くなった。それでも、やりたいこと、やるべきことを頑張ろうと心を奮い立たせる。

この歌を初めて聞いた、何も考えていなかった中学生の自分に比べて、年齢だけは大人になった。大人になってからは、継続的な努力だけが道をひらくと信じているので、何もせずに降ってくる幸福、という意味での奇跡は信じていない。ただ、努力がいつ報われるかのタイミングはわからないので、その時が来たら、突然訪れる幸福、という意味で、奇跡が起きたと思うのかもしれない。

一方で、奇跡などという言葉は冗談か物語の中でしか聞かない、脳の中でもアーカイブ領域に押し込まれた縁遠い単語になっていた。

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やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても 奇蹟はおこるよ
カーテンを開いて 静かな木洩れ陽のやさしさに包まれたなら
きっと目にうつる全てのことは メッセージ

ユーミンが、やさしく、「おとなになったあなたにも、奇蹟はいつでも起こるよ もっとよくまわりを見てごらん」と語りかけてくれているようで、心が温かくなった。

生きるということは、嬉しいこと半分、辛いこと半分で、人が幸せであることは、その人が恵まれているからではなく、ただその人が幸せであろうとしたからなんだ、という言葉を噛み締めながら、誰かのためにもっと役に立つ人間になろうと誓った。

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