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【アトピー性皮膚炎】サイバインコVSデュピクセント

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

近年はアトピー性皮膚炎における
新薬ラッシュが続いていますね。

今回はアトピー性皮膚炎治療薬の
サイバインコとデュピクセントを
直接比較した試験について勉強しました。

ファイザー株式会社で
行われた治験データを基にしています。

そもそもの薬の説明をしてから
試験について見ていきましょう。

<サイバインコとは>
<デュピクセントとは>

1.サイバインコ、デュピクセント

サイバインコ(アブロシチニブ)は
経口JAK阻害薬
デュピクセント(デュピリマブ)は
IL-4/13受容体モノクローナル抗体注射薬
としてアトピー性皮膚炎治療では用いられています。

どちらの薬も12歳から使用でき
サイバインコは毎日1錠服用
デュピクセントは2週に1回の注射となっています。

過去の記事から見ても
それぞれメリットもデメリットも
ありそうな薬ですね。

2.JADE DARE試験

JADE DARE試験では
サイバインコの安全性、有効性を
デュピクセントと比較評価した試験です。

2-1.試験デザイン

ファイザーメディカルインフォメーション

今回の試験はサイバインコ200mgです。

対象は
基礎治療をすでに行っている
18歳以上の中等から重症のアトピー性皮膚炎患者727例

<試験デザイン>
無作為化二重盲検ダブルダミー実薬対照

今までの試験同様
症例数も多く、試験デザインからも
信頼度が高いと言えそうですね。


2-2. 有効性

有効性では
2週目時点でのPP-NRS4のスコアを
4週目、16週目時点でのEASI-90達成率を
評価した試験でした。

<評価項目について>

PP-NRS4改善率

評価時点(2週目)においては
サイバインコ群で約2倍近くの患者さんに
痒みの減少が認められた結果となっています。

EASI-90達成率

湿疹面積の減少率は
評価時にはサイバインコが
上回っている結果となっています。


2-3. JADE DARE試験結果-2(安全性)

サイバインコ200mg n=362
悪心19%頭痛13%ざ瘡13% 結膜炎3%
死亡例1例COVID-19 1例心肺停止及び頭蓋内出血

デュピクセント300mg n=365
悪心2% 頭痛7% ざ瘡3% 結膜炎11%

やはり
サイバインコでは悪心
デュピクセントでは結膜炎
発現率が高そうですね。

サイバインコでは200㎎とはいえ
5人に1人が気持ち悪くなってしまうんですね。

3.いつき博士の考察

有効性について短期的に見ると
サイバインコの方が早く効き
中長期で見ると
そこまで差がないという結果になりました。

ただ、そもそも今回の試験について
サイバインコは通常100㎎で
治療を行う例が多いため
200㎎で比較した際は
有効性・安全性も含め
判断しかねますね。
あと、ファイザー主導の臨床試験ですからね。

用量の不一致から本試験だけでは
一概にどちらが優れた薬であるかは
判断できなさそう
ですね。

また、実際の現場でサイバインコは
リンヴォックやオルミエントに変わって使用される
ネオーラルでコントロール不良な際に追加検討など
内服での調整をする使い方もされているそうです。

リスク・ベネフィットを考えながら
注射の痛みが嫌ならサイバインコ
気持ち悪くなるならデュピクセント
といったところでしょうか。

治療薬は合う合わないの
個人差もあるため、
医師と相談したうえで
適した治療薬を使用することがベストですね。

《参考文献》
ファイザーメディカルインフォメーション
https://www.pfizermedicalinformation.jp/ja-jp/document/a0r68000000aJuhAAE