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薬剤師が解説するヒルドイドとヒルマイルドの違い

いつき博士です。
アレルギー患者専門オンラインドラッグストア
を運営しております。

アトピー性皮膚炎の方にとって
保湿剤は必要不可欠な存在ですよね。

今回は個人的にも気になっていた内容について
勉強していこうと思います。

前提としてヒルドイド(マルホ株式会社)は
医師が出す処方薬
ヒルマイルド(健栄製薬)は
第2類の市販薬(ドラッグストア等で購入)
といった点を踏まえてみていきましょう。

どちらも似た名前で何が違ってくるのか。
気になるところですが…

結論から申し上げますと
ほとんど違いはありません。

では、何が違うのか?
解説していこうと思います。


1.主成分の違いはあるのか?

そもそも薬剤は
主成分(有効成分)と添加物で構成されます。

添加物によっては
アレルギー反応を示して
体に合わないといった場合もあります。

今回議題に上がった薬剤の
主成分はどちらも
ヘパリン類似物質となり
1g中に3.0㎎を含んで
違いはありません。

<ヘパリン類似物質>
多くの親水基を持ち、高い保湿能を有します。
乾燥性皮膚疾患に有用性が認められています。

親水基は水分とくっつきやすいため
ヘパリンは水分が皮膚に多くあるときに
塗るとより保湿効果を得られます


お風呂後に保湿剤を塗ると良い理由は
ここから読み取れますね。

2.添加物の違いはあるのか?

添加物の違いは1つだけでした。

ヒルドイド
添加物:グリセリン、ステアリン酸、水酸化カリウム、白色ワセリン、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール、セトステアリルアルコール・セトステアリル硫酸ナトリウム混合物、ミリスチルアルコール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、イソプロパノール

ヒルドイド
添加物:サラシミツロウ、セレシン、白色ワセリン、エデト酸ナトリウム水和物、ジブチルヒドロキシトルエン、グリセリン、軽質流動パラフィン、スクワラン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル

添加物に関してはほとんど違いはなさそうですが
ヒルマイルドではサラシミツロウが使用されています。
※サラシミツロウ:固着性(しっとり感)を高める基材

3.注意事項に差があるのか?

ヒルドイド、ヒルマイルド、ヘパリン類似物質
(1)出血性血液疾患(血友病、血小板減少症、紫斑病等)をお持ちの方
(2)わずかな出血でも重大な結果を来すことが予想される方
    (血液凝固抑制作用を有し出血を助長するおそれがあります)

上記に該当する方は医師、薬剤師に相談のもと
使用を考慮したほうが良さそうですね。

4.効能効果に違いがあるのか?

・ヒルドイド
血栓性静脈炎、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後硬結並びに注射後疼痛)、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頚(乳児期)、凍瘡

ヒルドイド添付文書

正直こんなに漢字が羅列して
何の症状に対してなのか
患者目線だとわからないですよね。

・ヒルマイルド
手指の荒れ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛。

ヒルマイルド HP

この2つの効能効果で何が違うの?
と思うかもしれませんが、ほとんど何も変わりません

ヒルドイドは市販薬のため
簡単な症状に置き換えられて、記載されています。

5.製剤ごとの塗り心地

そもそも塗り薬には
ローション/クリーム/軟膏/スプレーがあります。

ヒルドイドでは上記の4種類がありますが
ヒルマイルドには軟膏はありません。

今回はクリームタイプで
違いを見ていこうかと思います。
※あくまで個人の感想です。

①見た目
どちらも白色で全く変わりません。

②塗り心地
ヒルドイドは伸びがよく
直後は白色が目立つが数秒で肌になじみます。

ヒルマイルドは
ヒルドイド程伸びは感じず
しっとりした感じがあります。
サラシミツロウの効果ですかね。

③保湿感
1週間使用した感じ
どちらもあまり変化はない気はしました。

議題とは逸れてしまいますが
ヒルドイドソフト軟膏では
塗った際にべたつきがあります。

クリームか軟膏かは
季節や部位で使い分けると良さそうです。

使い分けについては
マルホ株式会社のホームページ
ご参照ください。

6.価格

ヒルドイドでは
処方薬となるため診療代を要します。

ヒルドイド約20.1円/g(薬価)
3割負担の場合50gで302円程度です。
(別途で診療代を要する)

ヒルマイルドはOTC医薬品で
オンラインサイトや店舗によって
値段の変動があります。
一般的にドラッグストアでは
60gのもので1500円程度で購入できます。

ヒルマイルドクリーム 30g

7.いつき博士の考察

ここまでそれぞれの成分から
使用感、価格等まで比べてみました。


成分や添加物、効能効果は
ほとんど違いのないものとなっていました。

ここまで違いがほとんどないのも気になり
メーカーの方へ問い合わせてみたところ
以下の3点が違ってくるとのことでした。

① ヘパリン類似物質の精製方法
ヒルドイドは豚から取っているが、ヒルマイルドは他の方法とのこと。

精製過程
攪拌、冷却の条件が違う。
(品質に影響が出そうな気も…)

③注意事項
ヒルマイルドは眼の周囲に塗ってはダメ
ヒルドイドは眼に入らなければOK

こうやってみると
顔面に使用するときは
ヒルドイドの方が安全そうですね。

病院でヒルマイルドの他に定期的に薬を要する方は
薬価がそこまで高くない
ヒルドイドをもらったほうが良いかもしれません。

使用感は多少個人差で
異なるかもしれませんが
病院に行く時間がなくて
今すぐほしい人には
ヒルマイルドはおすすめかもしれません。