上半期好きなアルバム(2022)

ごきげんよう。
今月聴いた音楽の投稿を4ヶ月ほどサボってしまいましたが上半期ベストをやっていこうと思います。
個人的に今年の上半期は病気で入院したり勝ち馬投票券を買って負け犬になったり部屋探ししたりと人並みにいろいろありました。
下半期もいろいろあると思います。

さて、今年の上半期ベストアルバムは13枚選びました。
早速13番目から紹介していきます。

13. 't Geruis - Bain D'Étoiles

フランスはブルターニュの要注目レーベルlaapsからは今年はTaylor Deupreeのアルバムも出ていましたが、個人的にはこの作品が面白かったです。
The Caretaker的な古びた音がループする感じの曲で構成されており、そういうのが好きな人は一聴の価値ありかと思います。
ただし、全体的な雰囲気としてあまり暗さはないのでそこは好みが分かれるかもしれません。

12. Patricia Wolf - See​-​Through

去年始動したスペインはバルセロナのレーベルBalmatから、懐かしい感じのシンセサイザー・アンビエントです。
このPatricia Wolfという人の過去作はどちらかといえばフィールドレコーディング系の作品が主なようですが、今作では電子音と環境音がうまく組み合わされています。

11. CTM - Babygirl

Posh Isolationから、薄暗く乾いた感じのチェンバー・ポップ的作品です。
ヴォーカルを中心とした音楽ながら、ドラムマシーンの電子音楽的なリズムパターンとクラシカルな弦楽器による独特なトラックが面白く、ありそうで無い音楽になっています。
Cocteau Twins とかTirzahとか好きな人におすすめできるかもしれません。

10. otomoni - super u

フットワーク+初音ミクという独特すぎるスタイルの日本のアーティストotomoniの新作がなんとJana Rushの作品も出しているポーランドのレーベルoutlinesから。
今作では初音ミク要素は控えめに感じたものの、奇妙で楽しげな世界観は健在で、レフトフィールドなフットワークとしてより間口の広がった(矛盾っぽい表現ですが)作品だと思いました。
食品まつりの去年のアルバム『YASURAGI LAND』が好きな人におすすめできるかもです。

9. Kelly Lee Owens - LP.8

Smalltown Supersoundから。
これまでのKelly Lee Owensの作品は本格的なテクノのトラックに歌を乗せたエレクトロニック・ポップという感じでしたが、今作ではインダストリアル・テクノ色が一気に強くなった重めのトラック+ほとんど歌なし(トラックの一部として声を使用したり、スポークンワードはある)でかなり面白い化け方をしています。

8. Batu - Opal

自身のレーベルTimedanceから。
クラブシーンから台頭してきたアーティストながら、本作ではリズムパターンが無いシンセの曲もあり、去年のEP『I Own Your Energy』と比べるとアルバムという一つの作品としての流れがかなり意識されているように感じました。
あと単純にかっこいい電子音楽で良いです。

7. Pontiac Streator - Sone Glo

アンビエント・ダブ界隈では今年もHuerco S.やexael等面白い作品が出ていましたが、個人的にはこのPontiac StreatorのWest Mineralからの新作が良かったです。
今作ではヴォーカルとテクノのリズムパターンが靄のような音の層と上手く組み合わされており、また少しアンビエント・ダブの領域を押し広げた作品なのではないかと思います。

6. Perfume Genius -  Ugly Season

話題作。
正直なところまだあまり聴きこんでませんが異質さと凄みを感じました。
Arcaが『KiCk i』で手に入れたアバンギャルドとポップのバランスに真逆のルートから到達してちょっと行き過ぎたみたいな。

5. claire rousay - everything perfect is already here

去年の『a softer focus』ほど象徴的な作品ではないとは思いますが、フィールドレコーディングやストリングスで空間の空気そのものを表現するような音楽性がやはり私の好みに合っているなと感じました。
去年から今年にかけての作品群からclaire rousay流アンビエントの感覚がわかってきたようにも思います。

4. Eric Lanham - Objet Dirt

去年はexaelのアルバムも出していたSODA GONGから。
Autechreみたいな音色でLee Gambleみたいに暴れ回るヤバ電子音楽です。

3. William Basinski & Janek Schaefer - “ . . . on reflection "

"For Harold Budd"とするのも納得の、耽美的なピアノ・アンビエントです。
ご存知William Basinskiと12k等からアルバムを出しているイギリスのアーティストJanek Schaeferによる合作で、薄い音の層に美しいピアノの音が散りばめられています。
良い意味でBasinskiっぽくない作品だと思いました。

2. Jameszoo - Blind

説明不可。
異能集団Brainfeederの中でも一際異彩を放つJameszoo、2016年の前作『Fool』も相当な作品でしたが、今作はさらにスケールもわからなさもパワーアップしているように感じました。
アルバム全体として、音楽のもつ感情的な部分を損なわずにどれだけ音楽の定型的な構造を逸脱できるかに挑戦しているような印象を受けました。

1. Diatom Deli - Time~lapse Nature

ニューメキシコを拠点とするアーティストDiatom Deliによる、RVNG Intl.からの作品です。
アンビエント・フォークな作品として紹介されているのをよく見ますが、メロディーや音のバランス的に歌が結構強く、どちらかというとSSWとしての魅力がよく出ている作品だと思います(アンビエントを期待して聴くとちょっと違うなとなるかもしれません)。
Floristの2019年のアルバム『Emily Alone』と近い音楽性を感じましたが、こちらは歌い方がちょっとR&Bっぽい点も面白いです。
個人的に歌がバッチリ好みにハマってしまったので現時点ではこの作品がベストです。

来月からまた今月聴いた音楽のやつを投稿していこうかなと思います。
今のところ下半期で一番楽しみにしているアルバムはRachika Nayarの『Heaven Come Crashing』です。
以上です。




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