裏切り

裏切りは
地の果てへといずれ続く
人のいない棺
花々でいっぱいだけれど
人間が不在である
次々とメロディーを殺戮していく
華やかな波動

私は人を裏切ったことが
愛する人を裏切ったことが
そして私自身も裏切ったことが――
棺には失った愛の形だけが詰められ
強雨と海との境目に
つまりは私の流体時間の研ぎしろへ
結ばれなかった二つの愛の末尾を
別々に棺は流れる

私は人から裏切られたことが
信じていた社会から裏切られたことが
基づいていた真理から裏切られたことが――
棺はそもそも棺ですらなく
棺にすら裏切られて
私は自らを収める適当な懐疑
その新たな神のために
手製の棺を作り出し懐疑の神すら葬送した
過去の根源と現在の倫理との
命が出会う未開の地において

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