人生の命

大学で留年が決まったとき
人生は終わったと
少年時代の甘い夢は砕けたと
一度ピリオドが打たれた
終わりのあとの生活で
私は生きていく強さを養った

研究者の道をあきらめたとき
人生は終わったと
自分の目標は達成不能になったと
もう一度ピリオドが打たれた
再びの終わりの後の生活で
私は創造する力を養った

二度もピリオドが打たれた私は
終わりの後の人生で
就職が決まり
結婚し
子どもを授かった
人生は三度新しく生まれ変わり
そのたびに私はいいえぬ寂寥に襲われるのだった

人生は二度死に三度よみがえった
人生の持つ命は
私の命よりも柔軟で
私が死ぬ代わりに人生が死んでくれて
人生が生まれ変わるときは私も生まれ変わる

すべてが終わった後の焦土に
新たな建物が立ち道路が敷かれ
その復活を指揮しているのは
誰でもないのかもしれない

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