二歳

真夏の太陽の中心へ向かって、地球は重力を恩寵に変えようとしている。熱波は肯定と否定の振幅を保ったまま押し寄せ、それでも君は汗を分解しながら地誌を駆け抜ける。二歳、君は軽やかに二元的になり、あらゆる対立をそのまま食べ尽くし、端然としている。かつて一つであった君は今やあらゆる意味で二つであり、それを言語が覆い尽くしている。だが、やはり君は一つであるというところに淵源している。

君は言語で対象をとらえるとき、主体と客体を分離する、なぜなら君は二だからだ。同時に君は主体と客体が分かれる刹那を凝視し続けている、なぜなら君は一でもあるからだ。だが主体と客体を超越する何者かを君は知る由はない。なぜなら君は三ではないからだ。三になるために、君はあと一年間の熱情的な日々を登攀しなければならない。三歳になったとき、君の中には根本的に異なる何者かが出来する。

二歳である君は純粋に二人称のあなただ。そして僕も君にとって純粋に二人称のあなただ。この数の論理は無限に続いていき、君は二項対立の王女である。そして脱構築の魔女でもある。論理と感情を共に飼いならしながら、好きと嫌いを同時に歌いながら、在ると無いとの変化を楽しみながら、君は言語の旋律ですべてを謳い尽くそうとしている。いまだ到来しない第三項の不在を痛く感じながら、君は二であり続ける。

一によって獲得した完全な愛に包まれながら、二によって分裂した自己と世界との境目に立ち、やがて到来する三に向かって笑い泣き怒り楽しむ。君の日々はますます波乱に満ちて論理的になっていく。君の論理の階層は今や肯定だけではなく否定をも取り込み、君を取り巻く世界も二重の意味を持って君に迫ってくる。父も母も熱いだけでなく冷たくもあり、柔らかいだけでなく硬くもあり、その重層性を君は正しく食べることができるようになった。

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