アフガンの時の部下が俺を信頼してる理由を聞いてみた

アメリカ軍人としてアフガンにいた時の部下で、今はうちのPMSCの役員がとある業務を請け負わないかとの打診を受けて、電話で話すわけにはいかないので俺に相談しに日本へ来た。

話の結論が見えたとこで、ところでさ、お前はなんで俺を信頼してるん?って聞いてみた。

あの時を覚えてます?他の隊の兵士を救出する為に向かった尾根のことを。

あの時、こっちも兵力不足で行くにはしんどいけど、うちの部隊が敵の拠点に一番近いということと。特殊部隊だけでは無理とのことで回ってきた。

あの時、うちの部下が負傷しても戦闘が続いた。救護ヘリを呼ぼうとしたら、あなたは救護ヘリも危険だから要請はするな。応急処置はした。誰か付いて、異変があったら直ぐ俺に無線を入れろ。指示を出す。この作戦が終わったら直ぐに野戦病院には連れて行かせる。その環境作りをすると言っていた。

あなたは体力が一番ありそうな黒人の部下に、お前の命、俺に預けろ。負傷者を助けに行くぞ。私に援護しろと言って数週間前に負傷して置き去りにされた兵士の元へと消えて行った。

そこにいる確証はないのに。

負傷兵を連れて戻ってきた。負傷者は週間放置されていて傷口は塞がっていて、晴れ上がっていた。膿を出さないといけないからと医療キットから器具を出して切開したが、思うように膿が出てこない。

その時、あなたは傷口に口を付けて吸い出しては吐き出す事を繰り返した。

周りからは膿だからやめた方がいいと言ってもあなたは聞かなかった。膿を出し、注射をした後、あなたが言った。

こいつを死なせる訳にはいかないだろ。階級を見ろ下っ端だ。こいつは生きて戻れば10万ドル。死んで戻れば6千ドルのベネフィットだ。命懸けでやってんだよ。やりたくもない戦争に来てさ。俺はこの地域の住民と部下の為なら死ねる。膿を多少飲んだくらい大丈夫だ。ウイスキーを飲んで消毒すればいいって笑って言っていた。

この時はあなたのことを頭のおかしい人だと思ったが、キャンプに戻り考えてた。

この人は部下を守る為なら自分の死を惜しまないと思った。この人に付いてれば死なないで戻れるかもしれない。頼りになる上官だと。

こんな感じに言われたが、そんな事、いっぱいあったからいちいち覚えてないんだけどな(笑)てか、勝手に頼らないでもらえますか?

それでも助けられず、亡くなった部下も住民もたくさんいる。それには責任を感じるし、今でも寝れば夢に見る。ほんとごめんなさい。守れなくてごめんなさい。
守れなかった責任は俺にある。いくら反省しても足りない。いくら謝っても足りない。それはわかってる。

こんな経験はうちらだけでいいと思う。国土を守る為に軍備は必要。国土を守ることは国民を守る事にも繋がるからね。

アフガンの渓谷にいた約2年。毎日、俺死ぬんじゃん?って思ってた(笑)キャンプと言っても外から攻撃し放題だしさ(笑)ベッドで寝てる時に攻撃されて弾に当たったのもいれば、シャワー浴びてて弾に当たったのもいる。安全なとこなんかどこにもない。これが戦争。

国民が選んだ政治家に戦争を始めると決められ、それに異論を一切挟めない軍人。その国民は呑気に暮らしてるわけさ(笑)
呼び出されてキャンプを離れてアメリカに出張すると、アホな国民を目の当たりにして、こいつらの為に命をかけて戦争しとるんやでーって、いつも思ってた。
こいつらの生活の為に、うちらは犠牲になるべきなのか?って自問自答してたな(笑)

キャンプに戻り、部下を連れて近隣の村へのパトロールに向かうとその日の食べるものにも困る住民も多い。不味いレーションを配ると喜んでくれる。配りながら、こんなもんしかなくてごめんね。外国の軍隊がいてごめんね。っていつも思ってた。
グローバル化を推し進める前に、途上国や貧しい人達の底上げをするのが先やろ。
その方がグローバル化した時によっぽど儲かるやろって思ってた。

俺がオヤジから学んだ事の一つに、世の中を変えたいと思うなら政治家になったらあかん。とね。悪さばかりしてた中学生の頃、オヤジに言われた。

友達と一緒に怒られてる時にも、お前達の言ってることは、よーくわかる。そうだよな。でもな、その反発する手段は間違えてないか?よーく考えてみろよ。お前達のやってる事を周りが迷惑だと思われたら、何も成し遂げられない。
お前達が連むのは自由だ。仲間を集めるのも自由だ。ある意味でガキバージョンの結社だからな。でもな、周りを変えようとも思うな。ゴリ押しで変えれば反発を招く。お前達がゴリ押しでないと思っていても相手がどう感じているかはわからない。自分達の主張だけしていても、それは無駄な時間を過ごすことになる。ここをよーく考えろ。お前達はもう中学生だ。このくらいの事を考えられなくてどうするんだ。ってのを毎回最後に言われてた(笑)
前にも聞いたって口答えすると。お前達はバカでわからんから何度も言わせてるんだろーが。賢いなら二度同じ失敗はしないんだよ。お前達はバカだから繰り返すんだ。って言われた(笑)

高校からアメリカに戻って、色々考えてるうちにこの言葉が蘇ってきて、自分の会社が大きくなるにつれ、世の中を変える為に、貧困層の底上げの為に、自分の会社を使いまくろうって思ったわけですよ。

また、最後は話が飛んでしまったが(笑) まぁ、講演会で話してるわけではないから、メンタルモデルを作らせる必要もないしね。

何を基準にして、信頼するかも人それぞれの価値観だからわからないけど、きちんとやってれば信頼をしてもらえるのは確かだろう。

で、この案件は断る事にした。これが口火を切って戦争になりかねないからね。

で、彼は空港に向かった。空港でシャワーを浴びるとね(笑)社食を食ってけば?というと、ファーストクラスを取ったから、ファーストクラス専用ラウンジで少しのんびりしますってさ。うちの出張も遊ぶ時間なんてないからねー(笑)

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