古典文法の動詞と助動詞の仕組み

古文の基礎知識

学校の古典文法が好きな人は、そう多くいないと思います。
暗記が得意な人でも、古文の活用表を見てげんなりしてしまうでしょう。
そこで、暗記量を減らすための文法の知識を解説します。

動詞

動詞はざっくり、カ変、サ変、ナ変、ラ変、上一段、下一段活用は、
限られた言葉しかないので、どういう言葉があるのかを覚えましょう。
例)ラ変‥あり・居り、侍り、いまそかり(いますかり)
  ナ変‥死ぬ、往ぬ(去ぬ)

活用形を全部覚えるのは大変なので、下に続く言葉を覚えます。
未然形‥「ず」・「む」   打消しの「ず」と推量の「む」
連用形‥「たり」・「て」  完了の「たり」と「つ(の未然・連用)」
終止形‥「。」がついておかしくない言い切りの形
連体形‥「とき」・「こと」
已然形‥「ど」・「ども」  接続助詞の「ど」と「ども」
命令形

例えば「書く」を活用させるときに、下に続く言葉をつけると、その場で
活用させることができるのです。
「かか」「かき」「かく」「かくこと」「かけども」「かけ」
未然「か」連用「き」終止「く」連体「く」已然「け」命令「け」
これを覚えておくと、暗記量がぐっと減ります。

助動詞

たいていの古典文法の本の表紙の裏に、助動詞の一覧表がありますが、
この時、重要なのが接続になります。この接続というのが、助動詞の
直前にくる言葉の活用形が何形になっているかということです。
打消の助動詞「」の接続は、未然形となっていますので、「ず」の
前の動詞は、必ず未然形になっています。逆に言うと「ず」があるなら、
その前の動詞は未然形に決まっているのです。

だから動詞の活用で、未然形には、「ず」(打消の助動詞)をつけたの
でした。この仕組みが分かっていると、むやみに動詞の活用形を暗記
する必要がないのです。

例外は出やすい

覚えておくとよいのが、つぎの2つです。
①完了・存続の助動詞「り」
これは、接続が特殊で、サ変の未然形・四段の已然形に接続するので
「さみしい(サ未四已)」で覚えます。
②過去の助動詞「き」(せ 〇 き し しか 〇)
通常は、連用形に接続しますが、例外がカ変・サ変には、未然形にも接続
するので、「こ、こしか、き、きしか、せ、せしか、し」を覚えて
おくと便利です。

超重要な識別問題

文法の本に必ず識別問題が乗っています。文法問題を大学では、ここを
中心に出されます。
分かりやすい例が、断定の「なり」と推定の「なり」をどう見分けるかと
いうと、それは接続で見分けます。
断定の「なり」は、体言・連体形接続で、推定の「なり」は、終止形接続になります。
例)よき方の風なり。 
  直前が「風」体言なので断定の「なり」と区別する。

助動詞は、活用形は暗記するしかないので、我慢して暗記しましょう。
ただし、全部を一度に暗記するのは大変なので、頻出の打消・過去・
完了・(自発・可能・受身・尊敬)の「る・らる」あたりから、
始めるといいでしょう。
助動詞でも連体形は「こと・もの」をつけたり、已然形には「ど・ども」を
付けると活用しやすいです。

以上、お役に立てれば、幸いです。

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