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第7話 ボクの親友、トモヤくん パートⅠ


語り手:ネコのきなこ 挿し絵:猫野 サラ

ボクにはすごい親友がいる。名前はトモヤ。

人間なんだけど、人間じゃないくらいすごいヤツなんだ。彼はマリアちゃんの甥っ子ってヤツ。彼女もトモヤくんのことが大好きで、ときどき一緒に勉強っていうのをやってる。あまりいいものじゃないよ。人間は意味のないことする変な動物だね、ふふふっ。

初めてトモヤくんにあったとき、もうねえ、一瞬で大好きになったよ。あのちっちゃな目。すごく笑顔がいいんだ。で、ボクを見た瞬間、四つん這いになってさ、

キナちゃん、かわいいなあ、、、。キナちゃん、オレと遊ぼ!

そっと指でボクを撫でてくれたんだ。でね、触った瞬間、もう最高の笑い声を出すんだよ。ボクは彼の笑い声が大好きになったんだ。人間でも心から笑えるんだね。

なのに、横に立ってたマリアちゃんたら、

ダメ〜〜〜!すぐに勉強始めないと!早く用意しなさい!!って邪魔をする。彼女は勉強を教えるのが好きみたいだけど、トモヤくんは嫌いみたい。当たり前だよ。よくマリアちゃんが、ぎゃあぎゃあ怒ってるんだ。彼は全然気にしてないけどね。いいヤツだよ。でね、ときどき反撃に出るんだ。この間もね、

お姉ちゃん、そういうチクチク言葉は辞めた方がいいよ。それ、心にヅキヅキくるからな!

って一言。しかも笑いながらね。さすがトモヤくん!かっこいい!

彼には別の作戦もある。マリアちゃんが怒る瞬間に、低い声で言うんだよ。

お姉ちゃん、そんなに怒るとシワが増えるよ!

ってね、ふふふっ。この効き目は速攻だよ。彼女がほっぺに手をあてて静かになるんだから。シワっていうのはネコの神様みたいに偉いヤツなんだろうね。彼女をおとなしくさせる力をもってるんだ。会ってみたいよ。

トモヤくんがすごいもう一つの理由はね、短い時間でも遊ぼうって努力することなんだ。マリアちゃんがお部屋からいなくなると、すぐにボクの方を見て、きなちゃん、これ見て!って、カバンから小さなボールを出すんだ。ボクが楽しめるように、誘ってくれるんだよ。彼も四つん這いになって、ボールの取り合いっこをするんだ。最高に楽しいよ。ボクは興奮して鼻がフンフン鳴るんだ。ずっと彼はあの笑い声を出してる。なんて楽しんだろう!ボクの胸がドキドキ、体がぴょんぴょん跳ねるんだ!すごいスピードで走り回るからコロコロ転んでしまうんだけど。彼は小さな遊びを発明する天才だね。

マリアちゃんがもどってくる瞬間、これがまたまたすごいんだよ。トモヤくんは一瞬で椅子に戻って勉強をしてたフリをする。ボクはどうしていいか分らなくて、走り回ってたんだよね。すると、ピンときた彼女が彼のノートをみながら、またあの悲鳴!!

なんで〜〜〜、なんで〜〜????、全然出来てないじゃん!! 

でも、カッコいいトモヤくんは、今、考え事をしてたんよ、オレは、って説言い訳をする、ふふふっ。これに飽きれたマリアちゃん、トモヤくんのお母さんにメールを打とうとする、、『お迎えお願いします』なんてね。

ダメ〜〜ダメ〜〜〜許してくださ〜〜〜〜い。オレ頑張るから〜〜〜〜〜〜

こんなことを繰り返して二人の勉強会はいつも先に進まない。意味ないことするね、人間って、ふふふっ。

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