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水滴というお道具

文房四宝、筆、硯、紙、墨。子供の頃からずっと通い続けた道場。子供には静かすぎる世界だった。何が良くて続けられたのかわからない。先生とそのお話が大好きだったこと、墨の匂いのする道場も好きだった。特に中学から草書を始め、その線の美しさと平安の文化に魅了された。中学、高校時代は展覧会に沢山の作品を出品した。決して上手ではなかったが、書くことが好きだった。母の援助のお陰で、高価な料紙をいろいろ使わせてもらえた。筆も墨も作品に合わせて一つ一つを堪能できた。贅沢なお稽古だ。特に古今和歌集の臨書は、一度に5、6時間を費やす大作で、15枚の料紙に書き上げる。家族が寝静まってから始めるので、夜明けまでかかった。集中力を必要とし、途中で辞めたくなるのだが、高価な紙を無駄にできないという思いで最後まで頑張れた。あらゆる意味で良い勉強となった。贅沢な勉強をさせてもらったと思う。バブルな時代が懐かしい。

が、いつの頃からか、多分先生の影響でそのお道具に興味が湧いてしまい、いろいろ買い集めるのが楽しくてたまらないのだ。書くよりも面白い。

そして、特に一目惚れしてしまうのが水滴。昔、先生のお道具箱の辺りにある水滴や人が持っている水滴が気になって仕方がなかった。子供のお小遣いでは買えないし、普段のお稽古になくても良いもの。


かわいいものに出会ってしまう。もう書道は辞めてしまったのに、水滴という響きは特別だ。で、気になる。

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李朝の水滴  4cmほどの大きさの可愛いやつ。色も形も可愛い。李朝の時代の焼き物はとても好きだ。手のひらに乗せて眺めているだけでほっこりとする。

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これこれ! もう一目惚れ、、、今年、あるギャラリーで購入。値段がビックリするほど可愛い。唐三彩の馬は買えないけれど、この織部は色がなんとも言えない。そして、乗ってる人もオリエントの世界からやってきたような不思議な存在感を放っている。このおじさんを抜いて水を入れ、馬の口から出す、、、。可愛すぎる!

こんなお道具たちを側に置いて、

墨の匂いの漂う場で、和紙に埋もれるほど、没頭したい、、、

いつかね。


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