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第10話 ボクの親友、トモヤくん part.Ⅱ

語り手:ネコのきなこ 挿し絵:猫野 サラ

大好きなトモヤ君が高校ってところへ合格した。それからずっと会ってなかったから寂しかったよ。彼はどこの高校でもよかったみたいだけど、県立ってところへ合格しないと、リーちゃんっていう可愛い犬のご飯のランクを下げるってお母さんに言われてたみたい。トモヤ君はリーちゃんの為に頑張ったんだ。犬のために勉強する人間って他にはいないんじゃないかなあ。

それにね、遊びの神様みたいな彼は中学の卒業式の前日に、友達と遊び過ぎて、その友達は熱が出たんだって。大切な卒業式に行けなかったらしいよ。遊び疲れるって!トモヤ君は友達にもすごい遊びをしてあげたんだろうなあ。

彼は普通の人間とは全く違うんだ!ボクがいたずらで彼の踵や手を噛んでも絶対に怒らないよ。いつもね、ごめん、ごめん、キナちゃん、許してくださ〜いって謝るんだ。だから、リーちゃんにもよく噛まれてるらしい。どんな動物にも、優しいトモヤくん。友達や先生からも人気があるんだって。よく忘れ物をするらしいけど、先生が放送で呼び出したり、電話でわざわざ翌朝に職員室へ取りにおいでって言ってくれるんだって。愛されてるなあトモヤくんは。

高校に入ってからずっと来てなかったのに、また最近来るようになってね。春からずっと遊びすぎて成績が酷いみたい。で、またマリアちゃんと一緒に勉強することになったんだって、可哀想だけどね。彼が帰る時はいつも玄関まで言ってさよならをするんだけど、ずっと一緒にいたくて仕方ないんだよ。

彼の夢はウィンブルドンへ行くことなんだって。でも、マリアちゃんが、あのねえ、プロにならないとダメだって知ってるの??ってチクチク言葉、、いつも彼女は意地悪なことを言ってしまうんだ。

でもね、トモヤ君は気にしてなかった。彼は人間に惑わされない強い心を持ってるんだ。 ウィンブルドン??彼がめざすものだから、きっとワクワクするような遊びに違いないね。がんばって、トモヤ君! ボクも応援してるからね!


この間も、すごい事があったんだ。

お勉強の途中に、マリアちゃんがちょっとゴミ捨てに行ってくるから、ちゃんとお勉強しててよ、っていなくなった。ドアが閉まる瞬間、トモヤ君は笑顔でボクのところへやって来て、

キナちゃん、X-Japanって知ってる?って聞くんだ。

?X??じゃ?パン????? 

マリアちゃんがかぶりついてるあのパンのこと?コロンバージュってお店の?、、あまりもらえないけど、一口食べたら、もうびっくりするほど美味しかったよ!

彼がMacの前に座ってパチパチってキーボードを叩くとスゴい音が出たんだ!ものすごかったよ!!

こっ、こっ、これが、、エックスのパン? 


で、トモヤ君は頭をガンガン振って、すごい声で歌い出したんだ!!もう狂ったみたいにね!で、時々ボクを見て微笑んでる。

ボクはビックリしたけど、しばらく一緒に聞いてたんだ。酷かったあ〜〜、でね、またボクに聞くんだ、

キナちゃん、Yoshiki って知ってる?カッコいいよ!

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ボクは頭がガンガン痛くて考えられなかった、、、、。


玄関のドアが開いたとき、トモヤ君はその騒音を止めて、向こうのテーブルへもどったんだ。何もなかったみたいにずっと勉強していたフリをしてね。さすがトモヤくん!

そして、ボクは思った。

トモヤ君とは唯一無二の親友だけど、Yoshiki のパンは食べられないよ!

本当にごめんね、トモヤ君。


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