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ダーウィン賞の壊し方

「おざーす」「おはようございまーす」「おひゃーす」
優生保護局情報周知第三課の朝に緊張感はない。

「最近ウチの部署、ヒット作出してないっすよねー」
後輩の遠藤がPCを立ち上げながら話しかけてくるのを、おれは曖昧にあしらう。

『傷口には土と人糞を塗るのがベスト!微生物のパワーで時短治療!』

アレは良かった。

俺たちは厚労省の立派な一部署だが、世間的には知られていない。官報には存在だって告知されてる。誰が官報なんて読む?

『しつこい汚れには酸素系洗剤と塩素系洗剤を併用!塩素ガスのミックスパワーで汚れ退治!』

アレは局長賞物だった。もう5年前になる。

世の中は馬鹿が増えすぎた。まともなやつが家族計画なんてやってる内に馬鹿は10人の大家族になる。俺たちの仕事は、試してみるほどの馬鹿がキッチリと死んでくれる情報を世に流すこと。

要するに、ヤバイ遺伝子をカットする剪定屋だ。


(続く)

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