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GFX50Sⅱ×micro nikkor 55mm f2.8

写真を本格的に始めた頃、どこから聞きつけたのかニコンF3とAi micro nikkor 55mm f2.8、micro nikkor 105mm f4を譲ってくれた親戚がいた。

結果としてその時このレンズで血眼になって街中を撮り歩いたことが、今の自分の血肉となっているのだが、今回購入したGFXのレンズとして再びお世話になることになった。

中判デジタルカメラに移行する時のハードルとしてそのレンズの高価さがあるが(レンズ一本でカメラが買えることもざらである)、その抜け道としてマウントアダプター経由でオールドレンズを使用する方法がある。オールドレンズは比較的安価なものが多いため、その写りの独特さも相まって活用しているGFXユーザーも多いようだ。マニュアルフォーカスしか使えないのが不便といえば不便だが、元々F3でMFしていた身にはさほど苦には感じないだろうと思っていた。

全てのオールドレンズがデジタル中判センサーに対応しているわけではないが、偶然にもこの2本のレンズは開放で四隅が若干暗くなるだけで、ほとんど問題なく使用することができた。自分が写真を始めた頃のレンズを10年ぶりくらいに中判デジタルカメラに付けているのもなんだか不思議な気分である。

とりあえずマクロレンズでそれっぽいものを何か撮らねばと、まずは55mmを付けて秋葉原の魂NATIONS STOREに行ってきた。

キットズームにはないf2.8という明るさで、中判センサーで撮影するとどれくらいボケるのか。フィルムでf2.8を使った時よりもだいぶピントが薄く、室内なのも相まって手ブレにだいぶ苦しんだ…。

今やf2.8と言われてもそんなに明るいレンズという印象はないが、中判だとこのボケ感である。フジの純正GFレンズで最も明るいのがf1.7と言われると目がしょぼしょぼしてくる。

f4に絞ればだいぶ気軽に撮れるようになる。5000万画素の中判センサーに負けず十分シャープに写るし、この絞りでピントを合わせた箇所とそれ以外の部分でボケ感が現れるのも新鮮に感じられる。

マクロレンズだからって風景を撮っていけないことはなく、自分はこのレンズでほとんど風景しか撮っていない。そもそもこのレンズを貰った当時、マクロレンズとはなんぞやというレベルで、なんだか画角が狭いレンズだなと思いながら格闘していた。風景をこの画角で撮れと目の訓練をさせられたレンズだった。

当時写真を見てもらった先生からは、真っ当な青春を送っていない暗さがあると言われ、テーブルフォトを撮って見せたら君は撮らなくていいよとまで言い捨てられた。そんなこともあったからか、選ぶ被写体も大体こんな感じになってしまった。

中判デジタル換算だと55mmが45mmと標準レンズよりちょっと広くなり、昔の感覚からするとこんな風に撮れた覚えがないので新鮮だった。と、ここで気がついたがGFXのセンサーフォーマットは4:3なのだ。フィルムのアスペクト比3:2と比較すると縦に長くなる。昔はこの3:2が窮屈で構図が上手く作れないと思うことがよくあった。その時に同じ4:3のマイクロフォーサーズで撮影してみたら格段に構図が作りやすく、アスペクト比の差を強く感じたものだった。そういう意味でもGFXは色々と相性のいいカメラなのだろう。

それにしても昔のレンズでこれだけちゃんと写るのなら、同じ画角で30万もする純正レンズを買わなくても十分じゃないだろうか。というか1981年発売のレンズなのだからそんなにオールドだろうか。自分が生まれたのと同時期なんだからそんなにオールド呼ばわりしなくったって…、と思うがすでにコンデジがオールドコンデジ呼ばわりされる時代である。忍び寄る衰えとピント力の低下には抗えないが、解像力では引けを取らないこのレンズのようでありたい。でもAFできる標準レンズは欲しいなあ、と不惑からは程遠いまだまだブレっぱなしの年頃なのだった。

次回は目薬をさして震える手を抑えながら105mmの方を撮ってきます。

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