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目指せ!プロパン屋~窯入編~

均等に入れる

窯入というのは意外とおろそかにしがちです。
ホイロで満足のいく仕上がりだったとしても、焼きあがったらあれ?
なんてこともよくあります。(昔はね)

昔、パン屋を始める前、自宅で1斤×3個焼いていたことがありました。
大きめのオーブンレンジしか家にはないので、
いかにうまく焼くかが勝負でした。

 奥
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■ ■
 ◇
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  手前

のような感じで入れていたわけなのですが、
まぁ手前が焼けない。
後ろはこんがり。

食パンを焼くのには家の温度だと40分はかかる。。。

この40分をしっかり利用して、1斤型をくるくると10分おきに回し、
火の当たらないところがないようにするしかありませんでした。

そのくらいしないときれいには焼けないんですね。。。

お店だと2斤型を8本、1.5斤型なら10本1段に入れられます。
とはいっても型と型をぎちぎちにすると美味しいパンは焼けません。

家の時みたいにぎちぎちでも、入れ替えを繰り返しやることで何とかなりますが、庫温が下がり、水分は飛ぶし、焼き目も薄くなる。

それではプロパン屋ではないので、
壁及び隣の型とは5cmくらいは開けるようにし、前後は10cmくらい開けるようにしています。

そうすることで、安定した焼き色で焼きあがることがある程度可能となります。

とはいっても、焼き本数、気温、湿度、窯の機嫌で大きく左右されるので
100%いつも同じとは言えませんが、そこがまたパンの個性ともいえます。

窯のクセ

前話で窯の機嫌といいましたが、それとは別に
「クセ」というものがあります。

基本的には熱源がどこにあるのかが一番のポイントとなります。
家のオーブンでは後ろにしかなかった熱源ですが、
お店のオーブンでは、上と下にあります。

さらにそれぞれ、温度とは別にタップという火力のようなものを調節できる機能もあります。

クセというのは、例えば、左側がやや弱いとか、入り口側が弱いとか(これはどの機械も)がありますが、それを気に掛けるだけできれいなパンは焼きやすくなります。

窯が3段などあると、熱気は上にいく性質があるので、1段目と3段目では大きく火の入りが異なります。そのため、そのあたりはタップや温度を10℃変化させるなど調節が必要となります。

逆に、1段目の下と3段目の上の火力・温度は強めにした方が正解です。
周りに熱源がないため、調整が必要です。
ただし、3段目の上は熱がこもるため、思ったよりは弱くありませんのでご注意を。

さらに、窯の前後でも色付きが大きく異なる程度に変わります。というのも、手前は出口なので熱が逃げやすいんですね。

焼き時間と焼き温度

焼き時間はアルテの食パンにおいて非常に考え抜いたところです。
どういったパンにするか、イメージに合わせていく必要があります。

アルテの食パンの場合、
物にもよりますが、ざっくりと
・耳は薄すぎず、厚すぎず
・なかには水分をしっかり保持させて
ということが焼き時間のポイントとなります。

この2点をかなえるために
水分保持の観点から短時間焼成をすることとなります。
単純に短時間だと、耳がペラペラで美味しさ・水分が失われるので、
さらに超高温で焼くことにしました。

一般的には食パンは
210℃40分くらいが目安とされています。

これ以上は企業秘密なので細かく言えませんが
2分ずれたら色が付きすぎと感じるくらい高温で焼いています。

べーパーアクションともいわれる方法に似た方法ではありますが、
さすがに300℃では美味しく焼けないかなって思いますので、
もう少しまともな温度で焼いていたりします。

パンのサイズによって、形によって異なりますので、
水分や耳の厚みに注目して求めるパンを焼きましょう!

スチーム

フランスパンの醍醐味の2つのうちの1つ
「スチーム」です!もう一つはクープなわけですが・・・。

アルテの食パンでもスチームは大活躍しています。
なんといってもサクサク感とつや感

つやを出して耳薄く仕上げるなら溶き卵がいいのですが、
卵はアレルギーの方も多く、耳も薄くちゃ美味しさが伝わらない。

ということで、
アルテの食パンではつや出し担当は「スチーム」に
しています。

お家ではなかなか難しいですが、
水蒸気を充てることで、生地が濡れ、乾燥を防ぎ
その分焼きあがるのが遅くなり、ちょうどいい加減で焼きがります。
これがつやにつながるわけです。

ただ、スチームをしっかり充てると水分で表面が柔らかい分
思ったよりオーブンスプリングが進みます。

なので、しっかりスチームの力を使いたいときは
ホイロを少し若めに出すことをお忘れなく。

フランスパンのクープがしっかり立ちがるのも柔らかさのおかげですね。

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