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子育てを通じて、母親の愛情の深さを知るということ。

 上記のバズフィードさんが紹介している記事ですが、祖母が孫を一生懸命世話してくれている姿を通じて母親である自分が受けてきた愛を知る。とっても良い漫画ですね♪

 子どもは生まれたその時から、親の愛情を一身に受け”基本的信頼感”を形成する。このことの大切さはいま誰もが知るところとなっています。

 しかし、この”基本的信頼感”というものは小さい頃に一回獲得すれば永続的に存在するものとは限りません。

たとえば、乳児期の「基本的信頼」と「基本的不信」の葛藤をとおして形成される「希望」という「基本的な徳」は、発達のプロセスのなかで「一回限りのこととして獲得される達成事項」ではなく、その後の人生の状況において問い直され練り上げられるものなのであり、青年期、成人期においてもその葛藤がなくなるわけではないということである。
『自己形成・他者承認・承認文化の形成』中村麻由子・岩川直樹(埼玉大学紀要 教育学部 2010)
各段階で、善良であることが達成されると、それは新しい内面的葛藤や変動する外的諸条件に侵されることはないという仮説は、成功主義のイデオロギーを子どもの発達の上に投影したものである。・・人格は生存という冒険に絶えず挑戦しているのであって、身体の代謝作用が衰えに対処している時でさえ、それを止めることはない。
『幼児期と社会Ⅰ』E.H.エリクソン (みすず書房 P352)

 上記の通り、乳幼児期に獲得した”基本的信頼感”というものは、一回獲得すれば永続的に存在するものではありません。その後の人生におけるあらゆる場面(具体的には、日常生活をはじめ、入学、友人関係の形成、恋愛、就職、結婚、出産等々に至るまで)で経験する内面的葛藤や、人間関係や社会環境などの外的諸条件から常にその存在を揺るがされるものです。だからこそ、その都度において他者からの信頼や愛情を必要とする存在なんだ、ということをエリクソンはここで指摘しているのだと思うのです。

 このことは、人というものはいくら年齢を積み重ねたとしても”基本的信頼感”を培っていくことが必要であることを示しているし、平たく言うのであれば、人は一生において”他者の支えを必要とする”存在なんだということに他なりません。

 この漫画が示していること。それは、子育て中のお母さんにとって必要なのは物理的な支援だけではないということであり、そしてときに子育て中にその大変さゆえに”孤独”を感じてしまいがちな現代の母親に対して、”私はひとりじゃない””自分も愛されている”という基本的信頼感を改めて培うことができ、”愛情”を注いでくれる他者の存在が必要なのだ、ということなのかもしれませんね。

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