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ハナチョーチン



我が家には13年間飼っているカメがいる。
ミシシッピアカミミガメで名前はコウタロウだ。

昨日、コウタロウのハナチョーチンを見た。



現在コウタロウは冬眠中で、ベランダに水槽を置いて毎日様子をチェックしている。
“水槽”と書いたが、実は衣装ケース。(笑)
どんどん大きくなって、水替えなどが大変で
衣装ケースがちょうど良いのだ。


毎年この時期はじーーっと動かなくなり、
春が近づき始めるとゴソゴソ動き始める。

サラッと書いているが、実は毎年不安だ。
コウちゃんが無事に冬眠から目覚めてくれるか
ほんとうはドキドキして冬を過ごしている。

春が近づき、暖かい日が続き始めると、2粒ほどエサを入れてみる。

しばらくはそのまま食べずに水面に浮かぶエサを取り除くことになるが、ある日やっと食べ始める。

それが冬眠明けの合図。

「ああ、今年も無事に冬眠から目覚めてくれた」
と嬉しくなる瞬間だ。

最近、私が住む関西は例年より暖かい日が続き、
冬眠中のコウタロウが微妙に動いているときがある。

昨日、寝ている向きが変わっていたので、
「コウちゃん? 」と水槽の蓋をとって
覗いてみると、コウちゃんの鼻からハナチョーチンの大きなあぶくが出ていた。

「わあ、コウちゃん(笑) ハナチョーチン!」

ぷっくり可愛いあぶくが鼻からぷぅーっと出ていて、スマホのカメラで撮りたかったけど間に合わなかった。


* * *


コウタロウは、現在社会人の息子が小6のときに出会ったカメだ。 

小学校の校門の前に、虫かごに入れられた小さなカメが「家で飼えないので小学校で飼ってください」という身勝手な手紙と共に置き去りにされていたのだ。

先生方は仕方なく、
「教室で飼育しませんか?」と6年のクラスから順に回していくことに決められ、まず最初に息子のクラスに回ってきた。

「このカメ、クラスで飼いますか?」と先生が皆が見えるように虫かごを高く上げられたとき、
怯えた顔をしたカメを可哀想と思った息子が
「うちのクラスで飼おう!」と声を上げた。

仲間たちがすぐに賛成をしてくれて、即決で飼うことになった。

まず、置き去りにされた時のままの小さな虫かごから水槽に移してあげないといけない。

「水槽...どうする?」

すると”社長”というあだ名のおおらかな友達の
「家に余ってるのがあるから!」の声。

みんなが「おぉー!さすが社長!」となり、
翌日彼は立派なガラスの水槽を持って来てくれた。



その後コウタロウは元気に育ち、
とうとう6年生が卒業する日が近づいてきた。


結局コウタロウは次の新6年生に引き続き飼ってもらうことに決まり、卒業式の後は新学期まで
担任の先生が職員室でお世話をしてくださることになった。

卒業式の日、優しかった担任の先生と涙を流しながら一緒にたくさん写真を撮り別れを惜しんだ。

家に帰り、もう明日から小学校には行くことがないことを実感した息子は、「やっぱりコウタロウを家で飼いたい!」と言ってきた。
きっと飼っているうちに名付け親として愛着がわいてきたからだろう。

反対する理由も無いので先生に連絡をして、
次の日、前日にあんなに涙で別れた先生に普通に即再会し(笑)、職員室でコウタロウを受け取った。
他の先生方もニコニコ笑われていた。



こうして、コウタロウが我が家の一員となったのである。


* * *

その後13年が経ち、
その間に、実はコウタロウはメスだったことや(笑) 水槽からの脱出劇などそれなりに事件はあったが、変わらず元気に一緒に暮らしている。

息子は大学の時から家を出て、結局は私がコウタロウのお世話をしている。 


今の冬の時期は、毎日そーっとコウちゃんを見守る時期だ。

飼い始めた数年間は、冬眠のリスクを回避するためヒーターで水温を高くして冬でも冬眠をしないようにしていた。

でもコウちゃんはヤンチャで、ヒーターのコードを噛んだり、保護カバーを外して踏み台にして
脱走したりと暴れ放題になり...
それならばと、思い切ってヒーター無しで冬眠をさせてみると大丈夫だったのが始まりだ。


今年は暖かい日が多いので、コウちゃんの冬眠リズムも崩れ気味かもしれない。

何とか無事に冬を越してほしい。



それにしても、動物のハナチョーチンはすごく
愛らしい。

うちのワンコ(ビションフリーゼ)のハナチョーチンの場面にも今まで数回出会えたが、いつか奇跡的に写真に撮ってみたい。


大好きなしりあがり寿さんの昔の漫画
「虹色の一小説」に素敵なハナチョーチンのお話がある。


しりあがり寿 『虹色の一小説』



写真は私が持っている本「おらあロココだ!」
のページを
撮影したものです。
何と約35年前に購入,


装幀は祖父江慎さん✨
やっぱり素晴らしい。


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