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紅い花


朝、犬と散歩をします
近所をぐるぐる歩きます。

ぐるぐる歩いて家に戻ると、
玄関の前で楽しみが待っています。

それは、花びら拾いです。
寒椿の花びらたちを拾います。


お隣の椿の木から、紅い花びらが
パラパラ落ちています。
花ごとポトリではなく、
寒椿は一枚ずつ分かれて散るのです。


その花びらを手で拾います。
一枚ずつ拾います。
タイルにぺったりくっついている花びらは
指の方がとりやすいのです。


紅い花びらを一枚いちまい拾いながら
いつも思い出すものがあります。

俳句ではなく漫画です。


つげ義春の『紅い花』


わたしは、
つげ義春の漫画に出てくる女の人は苦手です。
表情やセリフでううっとなってしまうのです。
少し胸がむかむかするのです。
見たくないものを見せられてしまうのです。
目にギュッと変な力を入れて読まなければ
なりません。

じゃあ、読まなければいいのに...
読んでしまうのです。


でも、『紅い花』のキクチサヨコは
全くううっとなりません。
少女だから?

どうしてこの少女の描写ができるのだろう。
どうして他の作品の大人の女の人は
ううっとなる人ばかりなんだろう。



双葉社  つげ義春カラー作品集 
表紙の写真をお借りしました


それよりも、なぜセミが鳴く夏なのに
椿がでてくるの?
椿?実は私の勝手な思い込みかもしれない。

家の本の部屋に入って『紅い花』を探してみました。
短いお話なので、どれかの本に入っているはずです。
家にあるのはカラーではない白と黒の世界の
紅い花。

ああ。またあの最後の一コマ、あの場面で、
違うウズマキの世界に一気に投げこまれたい。



つげ義春と書かれた背表紙を探して取り出します。
パラパラめくってみます。
苦手な女の人たちが次々出てきて
ううっとなってしまい、後悔します。

結局...見つかりませんでした。

探すのをやめてハンドソープの泡をモコモコ
つけて手を洗いました。


* * *


今朝も愛犬と散歩に行きました。

珍しく、玄関先に花びらが一枚も
落ちていませんでした。

明日は落ちていますように。
できればたくさん。



散歩のあと、
足についたナゾの葉っぱや小枝を
夫にブラシでとられている愛犬。
観念中



つげ義春から一気に日常へ 笑

でも実は、自分に課題を課しています。

次に図書館に行ったら、
藤原マキ『私の絵日記』を借りるつもりです。

ううっの謎解きのために。



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