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「ユーザー価値にこだわるエンジニアたちと、次世代のチャットボットを生みだしたい」——CTOが語るプロダクトの未来

2018年に設立したりらいあデジタルでは、チャットボットプラットフォーム「バーチャルエージェント」を提供し、顧客が抱えるカスタマーサポートの顧客体験とコストの課題を解決してきました。技術革新や社会環境の変化により、チャットボットに求められる役割が多様化する昨今。「チャットボットのあり方を再定義し、顧客体験中心のDX基盤に転換させていきたい」と話すのは、りらいあデジタルCTOの中村雅之です。中村に、開発組織としての方向性やプロダクトに対するビジョンについて聞きました。

「継続性」と「発展性」。りらいあデジタルには自社プロダクトを作る条件がそろっていた

——中村さんがりらいあデジタルに入社したきっかけを教えてください。

現在りらいあデジタルが手がけるチャットボット事業は、以前は親会社であるアルティウスリンク(旧:りらいあコミュニケーションズ)の新規事業として立ち上がっていました。このチャットボットのシステム開発を請け負っていたのが、私が前職で運営していた会社だったんです。

それが2018年、アルティウスリンク(旧:りらいあコミュニケーションズ)のいち事業だったこのチャットボット事業を分社化して、りあいあデジタルを設立することになりました。そこで、りらいあデジタルにCTOとしてジョインすることになったんです。

りらいあデジタルに入社する以前、スタートアップを起業した経験から、自社でよいプロダクトを作ろうと思ったら、必要な条件が2つあると気づきました。

1つが、そのプロダクトが解決する本質的な課題があるかどうか。そして、その課題に向き合い続けられるか。「継続性」ですね。スタートアップで失敗をして学んだことの1つに、課題がないところに提案をしがちである点が挙げられます。顕在化していない課題に向けて、「きっとこうだろう」と考えてモノを作りがちなのです。そうではなく、いまある課題を解決するプロダクトでなければいけません。

スタートアップには資金が少ないので、落ち着いて課題に向き合える時間はわずかです。事業を始めて1年くらいでなんとかしなければ、だんだん苦しくなってしまう。継続的に課題に向き合うことはとても難しいのです。りらいあデジタルは親会社という大きな母体があって、かつ、すでに顧客基盤ができあがっています。余計な心配をせずにプロダクト開発に向き合える環境があると思いました。

もう1つの条件が、「発展性」です。りらいあデジタルの扱っている事業領域はとても魅力的です。コールセンターなどカスタマーサポート領域の課題を、機械学習やAI、自然言語処理など、先進的な技術を用いて解決する。ここに伸びしろを感じました。

「ユーザーの価値にこだわるエンジニア組織」を作りたい

——現在、中村さんはCTOとしてどういった業務に取り組んでいますか?

りらいあデジタルのCTOとして、役割は3つあると思っています。

1つ目が、技術部門における技術選定やアーキテクチャ設計など、開発にかかわる大きい判断をすることです。

2つ目が、一般的にいうプロダクトマネージャーの役割です。りらいあデジタルの主要プロダクトである「バーチャルエージェント」を育てる役割ですね。現在は、この役割がメインとなっています。

3つ目として、今期からテクニカルサポート部門において、マネージャーとしてカスタマーサポートや品質管理の仕組み化を推進しています。

——そうした業務に取り組む中、今後CTOとしてりらいあデジタルの開発組織をどうしていきたいか、ビジョンを聞かせてください。

抽象的な表現になってしまいますが、「ユーザーの価値にこだわるエンジニア」が事業をリードする組織にしたいと考えています。

ユーザーの価値にこだわるエンジニアというのは、ただプロダクトを作って、仕組みとして動いた・動かなかったで終わりとするのではなく、その先まで考えられる人だと考えています。

作った仕組みがどんな意味を持ったか、それを作ったことで何が起こったか、できあがったプロダクトがユーザーにどんな価値をもたらしているか。そういった先のことまで考えられる人が集まって事業を推進していくことが理想ですね。

——ビジョンを実現するために、どういった開発組織を目指していますか?

「ユーザーの価値にこだわるエンジニア組織」であるためには、メンバーそれぞれがユーザーと接する部分を持つ必要があると考えています。

ユーザーと接点を持つには、従来のように組織を水平に分割して「仕様を作る人」「テストをする人」「デザインを描く人」というように、役割分担をしすぎてしまってもいけないと思っています。そうではなく、「この部分に関しては最初から最後まで同じ人がやりきる」というふうに組織を垂直に分割して、その中にユーザーとの接点を作っていく。それを拡大していくことが必要なのだと思います。

そのためには、技術的なスキルを持っているだけでなく、事業のドメイン知識も身につけなければなりません。インプットするべき知識が多いので、1人ひとりが垂直の役割を担えるようになるには時間がかかるでしょう。じっくりと組織転換していきたいですね。

また、チャットボットはお客様によってさまざまな使われ方をします。そこで、お客様別、業界別、ユースケース別などに領域を分割して、それぞれの領域に強い人を軸に据え、その周りにメンバーを配置して組織を形作っていけたらと考えています。

「人の力を最大化するプロダクト」にするために、チャットボットを再定義する

——プロダクトについての思いも聞かせてください。今後、このプロダクトをどうしていきたいと考えていますか? 

10年ほど前は、チャットボットはエンターテインメント領域で使われることが多いツールでした。キャンペーンコンテンツでアニメのキャラクターと会話ができるといったような使われ方です。それがここ5〜10年で使い方が大きく変化しました。LINEやメッセンジャーなど、メッセージングのコミュニケーションが普及し、初めてボットの会話と人間の会話を一緒に扱えるようになったのです。

それを、親会社であるアルティウスリンク(旧:りらいあコミュニケーションズ)がいち早くカスタマーサポート領域に取り入れ、新規事業として取り組み始めました。現在のプロダクト「バーチャルエージェント」はまさにその時代に生まれたサービスです。

こうしたサービスは、コールセンターで電話対応をする人(=エージェント)の仕事を効率化するために生まれました。ともすれば、チャットボットは現場の無人化を目指すためのツールと考えられがちですが、りらいあデジタルはそうは考えていません。

むしろ、チャットボットを導入することで、いかに人の仕事の質を高めるかといったことに主眼を置いています。私たちは、バーチャルエージェントを「人の力を最大化するプロダクト」にしていきたいんです。

——そうしたプロダクトのビジョンに向けて、どんな展開をしていく予定でしょうか。

現行のプロダクトは「チャットボットプラットフォーム」です。お客様が抱える「カスタマーサポートの顧客体験とコスト」の課題を解決する「ユーザーの自己解決促進ツール」という位置付けです。

しかし、ここ5年ほどで技術や社会環境が変化し、チャットボットの期待役割やユースケースは大きく広がりました。チャットボットは従来のような、単なるFAQ検索ツールではなく、あらゆる非対面サービスの顧客体験作りを担う存在になっています。

このように、「チャットボットプラットフォーム」に求められるものは大きく変わってきています。りらいあデジタルでは、これまで「ユーザーの自己解決促進ツール」と定義されていたチャットボットを、「顧客体験中心のDX基盤」に再定義しようとしています。

再定義したチャットボットは、次世代版プロダクトとして開発していきます。次世代版プロダクトでは、これまでのお客様課題に加えて、「顧客体験と業務の改善スピード」の課題に向き合う考えです。

これは、「カスタマーサポート」だけでなく、「カスタマーサクセスからマーケティング」までの領域を視野に入れること、そして、お客様企業が「変化の激しい昨今の社会と経済へ事業を適応させていく」ことを、顧客体験と業務改善の観点から支援をすることを意味します。

——新しく再定義されるチャットボットをどのように開発していくか、開発組織としての展望を聞かせてください。

りらいあデジタルはチャットボット事業を主軸とする会社です。そのため、プロダクトの再定義をするということは、事業を再定義することにつながります。

プロダクトや技術部門のメンバーだけでなく、社長など経営層を巻き込んで、我々の5年後、10年後の事業がどうあるものであるべきか整理する。それを要件に落とし込むという企画のプロセスは、2020〜2021年にかけて進めてきました。この2022年4月からはいよいよ、来期の完成、リリースを目指して次世代版プロダクトを開発していこうという段階です。

この次世代版プロダクト開発は、現行の開発メンバーで取り組んでいきます。そのために、開発組織のメンバーを強化していきたいと考えています。

プロダクトの「質」を追求しながら、事業の「グロース」をさせる。成長できる環境がある

——開発部門として現在抱えている課題と、その課題を解決するにあたって新しく入社される方にどんなことをお任せしたいと考えていますか?

これから実現したいことは3つあります。プロダクトを「価値あるサービスにする」「柔軟なサービスにする」「安心なサービスにする」。そのうえで、今後入社された方には次のようなことをお任せしたいと考えています。

「価値あるサービス」という点では、チャットボットのUXとAIを含めた精度の向上です。チャットボットの利用者がどう感じるかというユーザー体験のよさと精度の高さは重要な要素なので、この改善に取り組んでいただきたいですね。

そこでは、仮説検証型開発をお任せしたいと思っています。上から仕様を渡されてその通りに作って納品するのではなく、どんなプロダクトを作ればいいか探索をしながら作る。作るものの「正解」を探す活動と開発を、同時に進めていきます。現在も仮説検証型開発を取り入れてはいますが、今後はよりこうした動きが増えていくでしょう。

「柔軟なサービス」という点では、保守性が高いコードの開発です。プログラムを再利用しやすい、直しやすい、デバッグしやすい。そういった保守性の高さを保ったコードの開発と、拡張性の高いAPIの開発をお任せしたいですね。

「安心なサービス」という点では、設計の段階からセキュリティについて考慮するセキュアな設計と、テスト運用の自動化に取り組んでいただけたらと思います。

——これからエンジニアとして入社する方には、どんなキャリア機会があるでしょうか。

りらいあデジタルはいま、プロダクトを作って事業を仕組み化している1→10のフェーズの途上にあるといえます。今後は仕組み化した事業を拡大する10→100のフェーズを見据えた動きがしたいと考えています。

1→10のフェーズでは、プロダクトの「質」を追求する経験を積むことができます。「顧客と向き合って改善サイクルを回し、ユーザー体験の質を高める」「事業の属人性を排除して、組織としての仕組みの質を高める」「事業拡大に耐えうる設計に見直して、ソフトウェアの質を高める」。こういった観点からプロダクトの質を高め、事業の型を作っていく必要があります。

このフェーズを経験することで、エンジニアとしての専門性を大いに活かせるとともに、さまざまなチャレンジをすることで、自分自身も組織も大きく成長を感じられるでしょう。

一方で、私たちは親会社のコンタクトセンター事業から始まっているため、エンタープライズのステークホルダーが多くいます。りらいあデジタル自体は1→10フェーズであっても、そうしたステークホルダーを対象に事業機会を広げていくことは、早くから意識しておく必要があります。その意味では、10→100フェーズはもう始まっていると考えています。

10→100では、1→10で作った仕組みを使って「グロース」させる経験ができるでしょう。また、組織が拡大することで、将来的にマネジメントを経験したい方にはそうした機会が提供できると考えます。

——今後、どんな方と一緒に働きたいですか?

りらいあデジタルでは、個々で開発に取り組むよりは、チームで開発することを重視しています。そうした点で、先ほど言ったようなコードの保守性に関心が高い方に参画していただきたいというのが1つ。

もう1つが、ユーザー価値を出すことに関心が高い方ですね。自分が作ったプロダクトがユーザーにどう使われているか、どういう効果をもたらしているか。プロダクトのどんな部分にユーザーが喜んでいるか。そうした、自分が生みだした「結果」に関心を持って開発に取り組める方に、ぜひ入社いただけたらと思っています。




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