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街なかリノベーション実践セミナーに参加してみよう!


じめじめとした梅雨が明け、鹿児島の夏がズドンと本気を出し始めてきた8月5日。東シナ海では台風6号が「いつ鹿児島へ向かって行こうか」と足踏みをしていて、どことなく世間が騒つくなか、僕は鹿児島市名山町にある〈markMEIZAN〉へと向かった。

この日は鹿児島市が主催している「街なかリノベーション実践セミナー」略して〈街リノ〉のキックオフイベントで、京都で不動産プランナーをしている株式会社アッドスパイスの岸本千佳さんの話が聴けるという、滅多にない機会だったので、台風の進路など正直気にならないくらい心躍っていた。

“街なかリノベーション実践セミナー”とは?
鹿児島市が2019年から実施している”鹿児島市内のエリアで事業やまちづくり活動を行う意欲がある方を対象に、受講者が空き店舗等を活用して実践したい事業を持ち寄り、講師の支援を受けながら事業計画を作成するセミナー”である。これまでにセミナー受講生が事業化した物件は8か所ほど。


「建物と街のプロデュースでつくるこれからの暮らし」

逸る気持ちからか少し早く着いたのでmarkMEIZAN1Fのコワーキングスペースで少し作業をすることにした。

エアコンが効いている快適な作業スペースで、さも出来る男を演出しながらパタパタとキーボードを叩く。ぶっちゃけこれがスマートフォンからでも可能な作業をしているとは誰も思うまい。そしてこのオアシスが会員登録のみで無料で利用できるということにも驚きだ。

一通りの作業が片付いた頃にはちらほらと知った顔が入ってきたので軽く挨拶を交わして会場である2階までの階段を登った。

用意された席は既にほとんど埋まっていて、ざっと30人くらいはいるように思えた。久しぶりの再会をしていた人や、オンラインではお会いしていたけど実際は初めましてですね、みたいな会話をしている人もいて、会場内は和やかな空気が漂っていた。

そして淡々と会が進み、いよいよ本日のメインである岸本さんが登場。「喋ることよりも書くことの方が得意」と言っていたが、喋る話もわかりやすく時間はあっという間だった。

岸本さんが手がけた事例を挙げながら、物件をリノベーションするだけではない、とても本質的で、日常生活と隣り合わせの大切な考え方をたくさん教えてくれた。

場(空間資源)・街(環境資源)・人(人的資源)を徹底的に観察し、どんな人がどんな関わり方をするのかを考え、アフターのアフター(施工後の使われ方)から逆算して企画を立てていく。そのエリアの空気感や風景、人々の生活感までとことん観察し「まちの兆し」を探し当て、「ローカル喫茶店でのまちの人々の会話も重要」と家政婦は見た!ばりの情報収集をしていることに驚いた。エリアに足繁く通い、物件オーナーとも幾度となく対話を重ね、息の長い関係性を築くことによって、そのまちの課題を不動産というツールを使って解決している話には驚きと尊敬の感情しか出てこなかった。

そして岸本さんの著書「不動産プランナー流建築リノベーション」を読もうと思った。

「ネガティブをポジティブに変換して、まちを楽しむ姿勢が重要」という言葉にはとても共感し、数年前の自分を少し思い出していた。

〈まちとひとを伝えるもっとも最寄りな場所へ〉


「城山にいい家があるらしいから見に行かない?」そう電話をかけてきたのは鹿児島市役所の職員で当時の〈街リノ〉担当者だった。とても軽い口ぶりだったので恐らく仕事というよりも一人の友人としての誘いだったのだろう。
〈街リノ〉の参加者として拠点となる空き家に渇望していた僕は食い気味に「面白そうですね!行きましょう!」と返答した。後日、紹介してもらった不動産屋さんも一緒に城山のその場所へ行くのだが、「なるほど、”いい家”という解釈には色々あるものだな」と一周回って理解した。

決して利便性がいい立地とは言えない、近くに駐車場がない、まあまあな坂道を登る、などなど、商売を始めるにはマイナスしか感じられない物件だったが(実際、街リノ参加者で視察巡りをした時、みんな苦い顔をしていた笑)、僕はこの少しクセのある立地、車の音も聞こえない静けさ、窓から桜島が見える物件が気に入った。

街リノの期間中に話はなかなか進まなかったが、その後無事にその”いい家”をリノベーションし、カフェ兼、事務所を構えることができた。店の名前は悩み抜いた挙句「”まちとひとを伝える、みんなにとってもっとも最寄りな場所”になりますように」という願いを込めて〈momoyori (ももより)〉と名付けた。

改修作業にも色々な人に関わってもらえるように時間をかけて進めたのだが、その時に先陣きって手伝いに来てくれたのはこの〈街リノ〉に参加したメンバーだった。物件を見に来た時は苦い顔をしていたメンバーたちも、僕の覚悟を自然と理解してくれて近くに駐車場もない坂の上の改修作業を手伝いに来てくれた。当時一緒に参加していた人たちとは今でもちょいちょい交流があることは、今の僕の財産となっている。


街なかリノベーション実践セミナーに参加してみよう!

8月から半年かけて走るこのセミナーが、どんな人に特にオススメできるかというと、
「自分でお店やビジネスを始めたい人」
「空き家や空き店舗、空きビルなどを所有していて何かに活用したい人」

だろう。

自分で何か始めたい人にとっては、物件の探し方から、リノベーションのノウハウ、事業計画の作り方、地域との関わり方まで、RPGだったら魔王を倒しに行けるくらいの経験値を持っている先人たちにアドバイスをもらい、そして一緒にレベル上げできる仲間と共に学ぶことができる。物件を所有している人にとっては、自分の物件を利活用する方法が学べ、あわよくばマッチングするかもしれない。

「何か始めたい!でも、、」と考えあぐねている人にとってはまたとないチャンスだ。

そう、全ては「すき」から始まる

「街なかリノベーション実践セミナー」への参加がきっかけとなりお店を始めた身としては、僕のように一歩を踏み出す人が周りで増えてくれると嬉しい。もちろん覚悟を決め、責任を負うのは自分自身だし、実際にお店が動き出してからの方が大変なことも多いけれど、充実感はそれ以上に大きい。まるで物件のリノベーションと一緒に、自分の人生をもリノベーションしているかのようだ(大袈裟)。

頼れる心強い仲間と、背中を押してくれる先輩たちに出会う、その一歩を〈街リノ〉で踏み出してみてはどうだろうか?


街なかリノベーション実践セミナー2023概要

開催日時・会場
[第1回]令和5年8月19日(土曜日)ソーホーかごしま(易居町1-2)
[第2回]令和5年9月16日(土曜日)mark MEIZAN(名山町9-15)
[第3回]令和5年10月14日(土曜日)霧島市(視察)
[第4回]令和5年11月25日(土曜日)mark MEIZAN
[第5回]令和5年12月9日(土曜日)鹿児島市国際交流センター(加治屋町19-18)
[第6回]令和6年1月20日(土曜日)鹿児島市国際交流センター

参加費:10,000円
定員:20人(応募多数の場合は抽選)

申し込み
参加申込フォームから申し込み。
申し込み期限:令和5年8月13日(日曜日)まで


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