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わかっていく読書のススメ

コンニチハ、@alumican_net の奥田です。上記のようなことをつぶやいていたにもかかわらず、まさか来るとは予想外でしたね...。とはいえ、THE GUILDメイトの安藤さん(@goando)からの読書バトンでもあり、社会的な生命体である人類のメンバーでもあるので、久しぶりに文字列を生成してみました。意識Fly High。

学びの構造 / 佐伯 胖

おぼえることと、わかることは明確に違います。私たちは覚えたことは忘れますが、一度わかったことは忘れません。もちろん新たに獲得した情報によってこれまでわかっていたことに矛盾や穴を生じることはありますが、新しい情報とともに新しくわかり直すことができます。この本では、わかるということをいくつかのパターンに分類しながら、私たちが学んでいくとは一体どういうことなのかを解き明かしていきます。本を読んでそれを知識として蓄えていくことが大切なのではなく、新しい知識から新しい問いを立て続け、道筋を明らかにし続けていくこと、つまりわかりつづけていくことが大切なのだと、この本から学びました。30年以上前に出版された本なので文章は硬いところもありますが、どうせ本を読むのであれば、読書とは一体何なのかを考えるところから始められてもよいのではないでしょうか。

デザインの輪郭 / 深澤 直人

デザインについて少し興味を持ち始めた頃、「デザインってなんてズルいんだ」と思っていました。人々の行動や印象を誘導しておきながら、デザインそれ自体は透明であることが美しいとされるからです。何だその綺麗事は、デザインの目的が人を幸せにすることだからギリギリ成立しているだけではないのかと。

著者の深澤直人さんのアプローチは「ものが本来もっているあるべき姿を見い出す」というものです。冒頭の私の考えが「デザイナーは何かを作らなければならない」という先入観から生まれているのに対し、「デザインはすでにそこにある、デザイナーはそれを見つける人なのだ」という考え方は衝撃的で、私はデザインを少しわかることができました。

それでも私は聖人君子ではないので、意匠において選択を迫られ、考え抜いたうえで迷ったときは、「どっちが存在する世界に自分が居たいか」で決めるようにしています。たまには自分の幸せを基準にしてもいいじゃないかと開き直ると、それはそれで素直なかたちができあがったりします。

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話 / 森川 幸人

AIってなんなの?どういう風に動いているの?おもしろいの?

著者の森川幸人さんは「がんばれ森川君2号」「アストロノーカ」など、AIを使ったゲームのクリエイターだったりします。その裏側を紐解きながら基本的なAIのアルゴリズムについて広く解説したAIの入門本です。20年近く前の本なので、深層学習のような流行りのAI手法についての知見は得られませんが、専門用語だらけの分野をどうすれば誰にでもおもしろくわかってもらえるのだろうか、という視点でとてもよく作り込まれています。専門的な言葉は極力排除されていて、マッチ箱を使って手元でAIのアルゴリズムを体験することができたりと、AIへの入門書としてはもちろん、難しいことを本質を外さず且つわかりやすく伝える参考事例としてデザイナーの方々にもおすすめです。

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 / 渡邊恵太

人はカナヅチで釘を打つとき、意識はカナヅチではなくその先の釘に向いている。そのとき、道具は透明となり、カナヅチは身体を拡張する。

著者の渡邊恵太さんは、インターフェースについて様々なアプローチで実験をされている研究者の方です(私は研究のひとつである VisualHaptics で知ってからファンなのです)。この本は「自己帰属感」をキーワードに、道具と身体の関係性、人間の認知について論じています。こういったテーマの本としては抜群に読みやすく、実践的で、普段私たちが無意識下で処理していた環境との対話をどんどんわかっていく楽しさがあります。

私は「キビキビした感じ」とか「モッサリした感じ」「柔らかい感じ」「重たい感じ」「静かな感じ」のような、物質化される前の「感じ」にとても興味があり、ユーザーインターフェースのデザインやプログラミングにおいてもそういった直感にも近い感覚を重要視しているのですが、そういった感覚がどのように発生するのかについても考察されており、とても学びがありました。

〈インターネット〉の次に来るもの / ケヴィン・ケリー

いや、この本、絶対におもしろいんですけど、まだ読めてないんです。未来を決めていく12の法則について論じられているのですが、私は第3法則くらいで止まってます。ひとつひとつ丁寧に解説されているのですが、それぞれかなり抽象度が高く、難易度も高めです。発売当初に買った本であり、今なら読み進められるかもしれないので、これは私自身への課題図書として、読書バトンを締めさせていただきます。


久しぶりにまともな文章を書いて疲れました。行動経済学とかは、今更私が紹介するまでもないので以下のバトンとか本を読んでおくと良いんじゃないでしょうか。

- 行動経済学まんが ヘンテコノミクス / 佐藤 雅彦,‎ 菅 俊一,‎ 高橋 秀明
「年末に読むオススメ」読書バトンをはじめてみた by @fladdict
UXから脳を掘り下げる読書の旅 by @goando
デザイナー向け #読書バトン by @kobaka7

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