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【絞りたてゼロ秒のお酒が世界へ】日本酒生酒の瞬間冷凍技術について所感

こんばんは。あずまです。
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昨日は日本酒の新しい革新的な技術に触れてきました。
横浜市内にある(株)テクニカンさんの「凍眠(とうみん)」という技術を導入した日本酒のテイスティングイベントです。
https://technican.co.jp/report/tomin-frozen/20230511_1278/

横浜市仲町台直売店の日本酒販売コーナー

先日プレスリリースが出ていましたので、こちらもご参考に。

詳細はこのプレスリリースの記事を読んでいただければ理解できるので割愛します。この記事ではイベントを通して考えた僕なりの意見を書いてみたいと思います。

凍眠の素晴らしさは「お酒の刻を止められること」

凍眠の素晴らしさはズバリ、一言で表すならば「お酒の刻を止めることができること」だと思います。詳しく書いてみます。

①「絞りたてゼロ秒」のお酒を世界中どこでも届けられるようになる

どういう意味かというと、凍眠の技術を導入することにより、蔵の絞りたてゼロ秒のお酒をそのまま保存できるということです。
輸送時間(1週間〜1ヶ月程度)における品質劣化を防止することができます。お酒の劣化に対する経過時間を止めることができるので、タイムラグはゼロ秒です。鮮度100%です。
これにより、蔵見学や蔵元、蔵人の間でしか飲めなかった、絞りたての超フレッシュでジューシーな味わいを世界中どこでも味わえるようになります。

②過去に醸造した日本酒をアーカイブとして残せる

これが蔵元にとって最も革新的なメリットの一つだと思います。後世にお酒を残す手段として最もメジャーなのは、時間価値の付与、つまり熟成路線にシフトさせることです。生酒とは真逆の路線での価値の在り方になります。
熟成させることで絞りたてからの味わいとはまるで違ったものになりま。コクが出て甘くまろやかになっていきます。これが熟成酒の素晴らしいところです。

凍眠はその逆を歩みます。熟成が目的ではありません。過去のお酒と現代のお酒をリアルタイムで繋ぐことできる点が最大のメリットだと思います。

例えばこういうシーン。先代の頃のお酒はどのような酒質だったのか。
この問いに一瞬で答えられるのが、凍眠の技術です。現物を甦らせることで、その液体を溶かす一瞬の時間で何年もの刻を遡ることができます。これがこの凍眠技術の素晴らしい点だと考えています。

③日本酒の新たな付加価値になる可能性がある

市場のコモディティ化が進んでいる日本酒業界では、どうやって他社商品と差別化しようかと苦戦されている蔵元様が多いです。精米歩合という軸を極めたり、テロワール(自社でお米を一から育てる)の道を極めたり、有機栽培にこだわったり、蔵付き酵母(蔵に棲みつく菌)だけで醸造したり。
みなさん本当に自社の色を出しながら、いろいろ工夫されています。その例の一つとして、冷凍生酒は新たな商品の付加価値になるのではないかと感じます。付加価値が「付加価値として」市場に認められれば、価格を上げることができます。これも非常に大きな魅力の一つです。

日本酒において凍眠を普及していく上での課題

「絞りたての味」を消費者がどこまで想像できるかが鍵

これ一点に尽きると思います。
実は私、昨年の7月から12月まで、現職のつながりで四国のある酒蔵様で蔵人をやってました。精米、洗米、蒸米、製麹、仕込、上槽まで一通り経験しています。

ヤブタから出た、絞りたてゼロ秒の原酒をテイスティングした時の、あのフレッシュでかつ複雑、まるで生きているような味わいが今でも忘れられません。

消費者全員の共通理解として、「ヤブタから出てきたお酒が最も美味しい」と理解するならば、これは凍眠の技術の勝ちです。

実際に僕も試飲しましたが、本当に絞りたての味がします。液体の色も絞りたて特有の黄色がかった液体色をしているものもあります。分かる人には分かります。
しかしそれに消費者がどこまで共感できるかどこまでついて来れるか。これが勝敗を分ける大きな要因かもしれないと感じました。

海外では間違いなく興味を持たれると思います。多少高くても良い。絞りたてのお酒の味を自分の国にいながら味わいたい。そういったニーズは間違いなくあると思います。なぜなら旅行して日本に行くよりも安く済むからです。

まとめ

この素晴らしい技術をどうやって伝えていくか。
何をターゲットとして伝えていくか。
これが勝敗を分ける重要なポイントになることは間違いありません。
私自身もこの技術の普及に非常に興味があります。

昨日のテイスティングイベントは大変贅沢な時間でした。いろいろな酒蔵様の絞りたてのお酒を1箇所で味わえるわけですから、このような機会はなかなかありません。テクニカンの皆様には本当に感謝しています。

p.s. 凍眠の技術を使った生シラスは本当に美味しかったです。臭みなし!

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