永遠に乾かない夜と。
「ほんまにね、悲しいことってたくさんありますよ。生きてりゃそりゃ。で、まあ、じゃあ死んだら悲しいこと無くなるのかっていったらそんなのも分かんないじゃないですか。死んでた頃のこと忘れちゃったし。でも、そんなの全部置いといてね、わたしは今どうなのか。そうです。わたしは今、悲しい。家にあるバスタオルが全部、すべて湿ってて悲しい。濡れたバスタオルで濡れた体を拭いても、何も変わんないから。濡れたバスタオルで拭いた濡れた体は、濡れた体のまんまだから。こんなのは、悲しいに決まってるんだよ。