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【詩】その蚊は臆病だった

その蚊は臆病だった

人肌になかなか近づけず
服の上に着地しても
ずっと血を吸えずにいた

人間は思った
この蚊に血を吸わせてやろうと

ズボンの裾をめくった
肌を見せてやった
蚊はそこに止まった

ゆっくりと血を吸い出す
のんびり 味わうように

蚊は血を吸い終わった
人間は痒くなった

これで今しばらく
生きてゆけるだろうと

蚊は少し安堵した
人間も少し安堵した


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