霧の咲く夜に殺人を PL感想

 2020年1月12日にくろいとさん主催のネクロニカテキセ卓『霧の咲く夜に殺人を』にPLとして参加してきた。参加してきたと言っても、急な欠席者の埋め合わせみたいなものだった上に、僕は初対面でもすごくグイグイいって、軽口を叩くスタイルのコミュニケーションなので、他の人を不機嫌にしないか不安はあった。しかし、セッションの参加者全員は全員菩薩かと思えるほど優しく、しょっちゅう僕のネタに乗っかってくれたりして今も感謝の言葉でいっぱいである。


 欠席者の埋め合わせ募集が出たのはセッションの始まる2日前。10時にスタートし、24時に終わるとツイッターの募集では書かれていた。たまたま暇だった僕は渡に舟とセッションに参加表明を出し、キャラシを即興で作った。子守唄ショットガン型のアンデッドで、腕のガントレットに取り付けられたショットガンを連結すると、アンデッドガンに変形するというちょっとかっこいい設定もつけといた。他PLのキャラシを覗いてみると、バックストーリーがたくさん書かれていて、僕も真似して800文字程度を書いておいた。このおかげで、立ち絵のコンセプトが決まったので、3時間で描いてみたりなどとしていた。あいも変わらず雑魚雑魚画力だが、そこそこにはよくできた。そうして、いつのまにか10時になり、卓が始まった。


 19世紀を舞台にしたネクロニカという時点で、そこそこ不思議な卓だと思っていた。なぜなら、ネクロニカは未来を舞台にしていることが普通だからだ。ネタバレになるので、多くを語らないが、霧の中で突然殺人現場を目撃するところから物語は始まった。アドベンチャーパートでこれまた珍しい人間NPCと会話したり、事件現場を調査をすると、バトルパートが始まった。固定値があるにもに関わらず、出目の悪さで僕がリアル発狂したり、何故か最後にショットガンで7点+爆発をボスに与えたりとハプニングだらけだったが、無事に終了した。エンドパートはネタバレを大量に含むので割愛するが、FGO何部何章かと言わんばかりのきれいな終わり方で大満足だったとだけは伝えておこう。結局エンドパートまで含めて終わったときにはすでに27時に差しかかりそうになっていた。休憩は全体では計2時間。つまり、実に15時間近くセッションを行なっていたのである。これがなにを意味するかというと、セッションの参加者全員がシナリオに血走りするほど集中し、満足が行くまでRPを行い続けた結果なのだ。最高に楽しかった。


 さて、ここからは備忘録のようなものだが、くろいとさんの卓で個人的に参考にしたいと思ったことをまとめたものを記す。細かいものも含めるとキリがないため、最も参考になった2つについて書く。


 くろいとさんの卓でまず「すごい」を超えて「敵わねぇ」と脱帽したのが、くろいとさんのオンセでの『演出』だ。オンセで背景が変わる演出やSEを導入することはよくある。しかし、くろいとさんの演出はもはや映画だったのだ。より詳しく説明するなら、FGOのようなテキストアドベンチャーゲーム(ADG)のようにテキストと演出が同時に表示され、ゲームが進行していくのだ。SAOのような本当に自分たちがゲームに入り込んでしまったかのように思わせるその演出に僕はただただアホみたいな声を出すことしかできなかった。背景、NPCの立ち絵、状況描写、台詞、音楽、SE、それらがすべてが一つ一つが精巧な機械のように完璧に組み合わさっている、それはもはや「映画」だったのだ。「なんですかこれは」と言わんばかりの演出の綺麗さは僕もゲームマスターをやる際にはぜひ参考にしたい。いや、もうこの際土下座して「やり方を教えてください」と頭を下げるのですらやぶさかではないほどだ。


 次に、かなり参考になったのは『キャラ設定の絡ませあい』だ。このときほど自分がバックストーリーを作ったことに喜びを感じたことはなかっただろう。4人いるPCの2人ずつが夢の中で「記憶」として絡み合っている様子が描かれたときには、思わず口から黄色い声援が漏れてしまった。上で述べた演出と相まって、自分のPCの過去を垣間見れるというのはすごく胸熱だった。PCの舞台裏での絡み合い(例:過去編)は別に初めてではないが、くろいとさんはPCが作った設定をもとに、バックストーリーをアドリブでぶち込んでくるあたり天才であると確信せざるを得なかった。今回では夢でそれを演出していたが、通常のネクロニカで、ビデオなどでその情報が見えるなどにしてもいいだろう。ここは僕なりの工夫もできる部分だろう。


 しかし、このシナリオを遊んで思ったのは、他のNCがこれを再現できないということだ。TRPGは同じシナリオでもNCで千差万別という意見もあるだろうが、くろいとさんの演じるモブキャラたちのいきいきした様子や演出方法、どどんとふのサービス終了などから考えて、これはくろいとさんでなければできなかったと感じる部分が多くあった。これは僕がシナリオを本として出すときには課題かつ懸念となる部分であり「できるだけ同じようなプレイを楽しんで欲しい」という願望と矛盾してしまうのだ。職業病という考え方があるかもしれないが、誰にでも最高のエモさを体験できるということを目標とする際には、この点トレードオフになってしまう。


 いずれにしても、僕はこのシナリオに大満足したし、エモすぎてリアル発狂する(してた)かと思った。今まで遊んだオンセの中で一番楽しかったと言っても過言ではない。どどんとふがAdobeに葬り去られる前にもう一度くろいとさんのシナリオで遊びたいほどだ。くろいとさんありがとうございます。そして、一緒に遊んでくれたPL (言質取ってないので名前は控えている)の皆さんにも感謝です。