読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 4 超脇役でありながら何気に重要そうなモブキャラ
グーテンベルクのリンクです。(英語版・フランス語版)
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん
前回の記事
以下、ネタバレを含みます。
* * *
題名のモブキャラとは、フロロ弟のことだ。
出来の悪い飲む打つ買うの三拍子そろった不良学生。
アイドルに本気になったフロロ、寝ても覚めてもどうしても頭から離れなくて苦しんでいるようだが、これは神秘主義に傾倒しすぎる人が陥る現実の肉体の罠、のようなものを感じる。
ここの乖離が大きいと人はくるしむような気がする。
バランスが整った人ばかりでは世の中つまらないよね!
自分で書いた「運命!(ANArKH)」とやらのギリシャ語の書きなぐりを
「ふ、不道徳なッ…!わ、わたしはっ!!わたしはぁっ!!!」(要約)
とか言ってる。
(このあたり、カトリック系キリスト教の禁欲主義の背景は頭に置いておくべきなんだろう)
禁欲や頑固さ…。
嫌な予感しかしない。
フロロ弟はそ知らぬ顔をして足音まで捏造し、フロロに「今来たばかり」と嘘をつく。
(その場でスキップして足踏みしてる様子を想像すると笑う)
彼は、兄とは天と地ほど違う、放蕩者の俗人大学生。
有名大学に裏口入学させてもらっているパリピヤンキーのようなイメージかな?
いつもおかねがない。
あっても飲む打つ買うでなくなってしまうから。
フロロの恋の悶々を見ていて見ていないふりをしたのは、親切だからではまったくない。
兄の弱みに付け込んで金をせびるネタになるかもしれないと思ったから…!
あの手この手で兄からむしろうとする。
ここでラテン語とギリシャ語の伏線が回収された。
フロロが偉そうにフロロ弟に
「ラテン語をつかうべき。ギリシャ語は不道徳で不適切」
みたいな事を言う。
フロロ弟は、ものすごく兄にとっては絶対に最悪なタイミングで、何度も「運命!ああ!運命!(ANArKH)」とこれ見よがしに連呼する。
さ・い・あ・く。
何コイツ。
サイテー。
フロロにとっては、真剣な恋の悩み、半ば神聖でもあったはずの思いの果てに噴出した言葉がこうしてパリピヤンキーの口から何度も出るのを見ているたびに、フロロの心が固く閉じていく。
恋愛が、この弟が体現するような酒と放蕩と喧嘩の匂いがする、汚らわしいもののイメージに毒されていく。
このいやな感じの描写が最低で胸糞でたいへん上手い。
一点の曇りもなく(たぶん)何の罪もないエスメラルダの悲劇につながるのだろう。
この無神経さは、パリピヤンキーの専売特許ではもちろんなくて、真剣な思いを無理解・無神経な言葉にからかわれ傷付けられた経験はだれしもあるのではなかろうか。
堅物の兄とこすっからい弟の言い合いがはじまる。
痛い所を付かれてもそこはフロロ、弟の金の無心を断固・拒否!
うんうん、金を簡単に貸したらだめだよ。ましてこんな奴には。
いつまでもフロロ弟と呼んでいるが、Jehanて名前?
何じゃこりゃ?ジェハン?と思っていたが、今調べてみたらジャンでいいらしい。
顔を手で覆って → 女子みたいにむせび泣き → 叫ぶ → 絶望を示して「オロロロロロイ」
普通に読んでて笑ってしまう。
泣き叫んで「オロロロロロイ」
ジョジョか!?
コミカル路線がいいアクセントになっている。
兄フロロもとまどう。
「えっ?は?何?」となってるところまで。
つづく
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