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読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 5 頭空っぽのイケメンがたぶんすべて持って行く


グーテンベルクのリンクです。(英語版フランス語版
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん

進捗のまとめ記事

前回の記事


前回までのおさらい:

・フロロ弟はパリピのくず。
・偶然にも兄がエスメラルダに萌えている現場を見てしまった。
・その萌えネタを使い、兄をゆすって金をむしろうとしている。
・フロロ拒否!→泣き叫んで「オロロロロロイ」



以下、ネタバレを含みます。


*  *  *


フロロのオカルト友達(手下)が現れて、フロロ弟とは別れた。

しかし転んでもただでは起きない弟。
オカ友にジプシー娘に萌え狂ってるのをバラすぞと示唆、弟はついに堅物の兄から財布をゲット!

ほんとくそ。
やり方がくそ。

"Jehan, you have no soul."

だよね。まったく。

友達にオカルトな話題を提供されて、フロロも一瞬我に返って楽しんでる。
ここで言及されたエスメラルダの「魔女」はソーサレスだそう。ウィッチじゃないんだ?
このあたりは翻訳者のさじ加減なのかな。
とりあえずソーサレスの方が好き。気に入った。

エスメラルダはよくしつけられた山羊(かわいい)を使って、手品を見せてお金を稼いでているから、

山羊+ジプシー+あやしい技=魔女

となるらしい。

この山羊ちゃんが小道具として割と重要だ。
悪魔や魔女のイメージに直結する。
清純な女性を捕まえて難癖を付けて魔女に仕立て火あぶりにする図式だ。
冤罪によって清純さがより強調されるのか。

このあたりは古今東西、絵師さんたちの絵心をくすぐりそうな絵づらだな、と思う。


兄の弱みにつけこんで財布をゲットした弟、はしゃいでるところでパリピな友人に出会う。
こ…これは!
エスメラルダの恋するフィーバス隊長だ!

ここでつながるのかー!!

背後に怪しい影がいる。
弟くんに秘密をバラされるのが心配だったのか、あとをつけてきたフロロだ。
フィーバスを見て目の色が変わる。

弟「兄貴いるんやけどアホなん、財布げっとー!飲みに行くぜ!」
…という感じ。

教科書を買うといってせしめた金をあっというまに飲み代に突っ込む。
この二人が飲みに繰り出す界隈の描写はこんな感じです。

pewter jugs hanging on the walls, always a large number of drinkers, a plenty of wenches, a window on the street, a vine at the door, and over the door a flaring piece of sheet-iron, painted with an apple and a woman, rusted by the rain and turning with the wind on an iron pin.

pewterって何だったかな?と思って検索。あー、ドラマとかであるスズ製の容器!きれい。

This species of weather-vane which looked upon the pavement was the signboard.

この敷石の上にかぶさるツタが目印、と言うニュアンス?
あってる?

Night was falling; the square was dark; the wine-shop, full of candles, flamed afar like a forge in the gloom; the noise of glasses and feasting, of oaths and quarrels, which escaped through the broken panes, was audible.

この描写の鮮やかさよ。

Through the mist which the warmth of the room spread over the window in front, a hundred confused figures could be seen swarming, and from time to time a burst of noisy laughter broke forth from it. The passers-by who were going about their business, slipped past this tumultuous window without glancing at it.

夜の風俗店と隣接した飲み屋街。
時代が変わり場所も違うとしても変わらない景色がある。

まぶしいほどの照明と四方から迫る薄暗い宵闇のコントラスト、げらげら笑う酔っぱらいの声と嬌声、喧嘩なのかじゃれ合いなのかわからない叫び声、そういう風景が目の前に浮かんでくる。

ここで行く飲み屋の名前が「イブのりんご」
思わせぶりやわ~。
そのセンスが好き。(大家ユーゴ―に対してこの上から目線)

これから昼カフェ・夜バーなんてやる人は、イブのりんごって名前をつけて「ヴィクトル・ユーゴ―から取ったんですぅ」なんて言うといいと思うよ!


わたしは自前でエクセルくんに調べた単語をつけている。
(ここを調べれば以前に出た単語かどうかわかるわけだ。まあ、わからないままスルーしてるのが大半だが)

新単語が出てきた!

rabidness  n.抑制されない興奮または熱意(unrestrained excitement or enthusiasm)
                   Weblio英和辞典より

なんかフロロっぽい単語だなぁ…。


弟をつけてきたフロロ、なんとかしてフィーバスと弟の会話を立ち聞きしようと必死。

フィーバス隊長、エスメラルダの名前忘れるとんちき。
まぬけ。

  あの子自分のこと意識しちゃってるから~。
  人目につくから人前で話しかけられたくないんだけど~。
  積極的でさ、困るんだよね~。

…的なニュアンス。
どうやら、エスメラルダと会う約束をしてるっぽい。

フロロ弟「そいつほんとに来んの?」
フィーバス「なんでそんなこと聞くの?」
当たり前じゃ~ん的な。

陽キャのうぬぼれヤリチンくそ男感すごい。
(どうしてそんなにフィーバス君に点がからいのか?)

フィーバスがあまりにもあからさまにクソなので、陰キャのブサメンオカルトオタクとはいえ、こっちにしろよ!こっちにしてくれ!というフロロの心もわからなくもない。なくなった。

地位と金はこっちの方が上だし。
それでも残念ながら…なのであろうと思わせる残酷な世の中を匂わせているのであった。


つづく



テレビも小説も漫画も目の色変えて共感!共感!
どんだけ共感得られるか!共感!!

共感の高い作品だけが良い作品だろうか?

「ある一つの時代におけるその場でだけの共感」を描いても古典にはなり得ない。
確かにそれは一時的に売れるだろう。
その後は消えていくだけだ。

何百年たっても変わらないひとの気持ち…があるけれど、そこを感じさせるのが古典だけれど。

違う視点。見たことのない景色。人々。
状況に、時代に、背景に、心が飛ぶから楽しい!!
想像するから面白い!
…という楽しさもある。

知らない世界が見えてくる。

これぞ別世界。これぞ異世界。
タイムワープはここにあるのだ。



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