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エデンの東(映画の話)

久しぶりにDVDでエデンの東を観た
ジェームス・ディーン初出演作品
理由なき反抗もジャイアンツもいいけども
やっぱりこのエデンの東におけるジェームス・ディーンの繊細で壊れそうな演技が
何度観ても素晴らしいと思ってしまう

ジェームズ演じるキャルは、父親のどこか偏った正義感、というか
独善的なところに疑問と反感を抱いていた
何かにつけて反抗的なキャルを父親は嫌い
逆に従順で素直な兄のアロンを溺愛している
父親は事あるごとに子供たちに聖書を読むことを強要し
そして、まるで神にでもなったかのごとく、赦しを与える
そんな父親の、偽善めいた態度と
自分のことを愛していないことを察知するキャル
自分たちが生まれてすぐに出ていった母親について尋ねるも
彼女はいつもイライラしていた、何かにいつも
そして、母親に銃を突き付けられことを話す
どうして? と尋ねるキャルの質問に答えず
逆にお前はどうしていつもそうなんだ? と責める


キャルはある女性に会いたくて、酒場を訪れる
同い年くらいのウェイトレスに頼み込んで
女性がいる部屋に案内してもらう
女性はうとうと寝ていたが、陶磁器のように真っ白な肌をしていた
キャルはしばらくその様子を黙って見つめていると
女性が目覚めて、用心棒に取り押さえられて補導されてしまう

女性は、出ていったキャルたちの母親だった
保安官が、若いころ、キャルの父親が母親に夢中になって
それで一緒になったこと
本当に綺麗な人だったこと
だけど、何故か出ていってしまったことなどを話す
キャルは父親に愛されていないことを話すが
保安官にそんなことは絶対にない
そんな人間じゃない、バカがつくほど真面目な人間なんだから、
と言われ帰される
家に着くと、父親がレタスの冷凍保存の研究に没頭している姿が
保安官に言われたこともたしかにそうかもと思ったキャルは
父親の仕事をできる限り協力しようと決める

レタスを輸送する日、キャルは誰より率先して仕事を手伝っていた
効率のいい方法なんかも考えて
父親も最初はキャルが頑張ってくれていることを喜ぶが
その効率のいい方法に使っていたのが、盗んできたものと知ると
途端に怒り出し、アロンに同じものを木で作るように命じる

落ち込むキャル
そこにアロンの彼女、アブラがやってくる
アロンが来るまで話をすることに
アブラは、子供のころに大金を捨ててやったの、と話し出す
大好きだった父親が再婚した相手に買った指輪
父親を取られたようで悔しかったし、悲しかったからだと
ものすごく怒られたわ、もちろん指輪も戻ってこなかった
でも、あたしは父親を赦したのよ、と
そしたら少し楽になったわ、と

途中までは順調に行っていたレタスの輸送も
途中で事故が起きて汽車が立ち往生してしまい
冷凍していたものはすべて解けてダメになってしまう
落ち込んでいる父親に、戦争特需で豆とか植えれば
損した金額はすぐに戻ってくると励ますも
金のためにやっていたんじゃない、と一蹴してしまう

どんなに拒絶されても、見放すことが出来ないキャルは
戦争特需で豆を作り、お金を作ると決める
元手がたくさんいると聞かされ
母親のところにまで行って、どうしても助けたいから
お金を貸してほしいと頼み込む
母親は、なんであたしがあの男に金を貸すと思う?
と、最初は拒んでいたが、キャルの熱意に負けて貸すことに
そして、お前は憎めない子だね、どこかあたしに似てるよ、と
優しい言葉を投げかける

このところキャルがやけに明るいことに、アロンは不満
戦争なんて間違ってる、それで金儲けなんてもってのほかだ、と
まるで父親と同じようなことを言い放つ
また、最近アブラがやたらキャルと仲良くしていることも気に食わない


やがて父親の誕生日が近づいてきて
誕生日会をしたいから飾りつけを頼めないかとアブラにお願いする
快く引き受けるアブラ
父さん、喜んでくれるかな? と不安そうなキャルに
大丈夫よ、きっと喜んでくれるわ、と励ます

誕生日当日
キャルは綺麗に包装されたものをプレゼント
それを開けてみようとしたときに、アロンが突然
僕からもプレゼントがある
アブラと婚約したんだ、と
父親はこんな素晴らしいプレゼントは他にない、と大喜び
キャルのも見てあげて、と促し包み紙を開けると大量の紙幣が
レタス冷凍事業の損失を取り返したんだ
戦争特需でね 豆の値段が高騰して、というか言わないかのうちに
こんなものは受け取れない、いますぐ返して来い、と
そんなの、どこに返すっていうの、と困惑するキャルに
その豆農家の人に返して来い、と
なんでお前はいつもそうなんだ
私はこんなものをもらってもちっとも嬉しくない
アロンのように、心のこもったものが欲しかったと
キャルはこんなにも頑張ってお金を作ったのに
出ていった母親に頼み込んでお金を借りてまで
悲しみとも怒りとも絶望とも、なんとも言えない表情で父親に抱きつくも
父親が抱きしめ返すことはなかった

そして、兄弟対決
お前のせいでいつも迷惑ばかりかけられてきた、と責めるアロンに
母親のこと、覚えてる?
僕らが生まれてすぐに死んだことになってる、母親のこと
もし生きてたらどうする? と不敵な笑みを浮かべ
いいとこに連れてってやると、無理やり母親の売春バーへ連れていく
完璧な母親像をずっと頭に作り上げていたアロン
真実を知らされ、壊れてしまう
あんなに戦争反対と言っていたのに
簡単に志願して戦地へ行ってしまう
それを知った父親はショックで脳卒中で倒れてしまう

自分のせいだと、自分なんかいなけりゃよかったと
またもや自分を責めるキャル
アブラにちゃんと自分の気持ちを伝えた方がいいわ
寝たきりになっても、きっと心には届くはずよと
感じの悪い看護師が言ったりきたりしている
父親のそばに寄ったキャル
なにかを言おうとしている父親の口元に耳を近づけると
あの感じの悪い看護師はいますぐ追い出してくれ
そして、お前が私の面倒を見てくれ、と
最後に必要とされたことが嬉しくて、思わず涙するキャルだった


それにしても、この話って聖書の中の
兄弟殺しがたしかテーマだったと記憶してるんだけども
原作は未読なのでどうなのか分からないけど
映画のアロンはすごく嫌な奴で、ムカついてしまう
自分の方が父親に愛されてるのをいいことに
弟キャルをバカにし過ぎ

アブラはキャルのよき理解者になってくれるのだけど
でも、最初はアロンの彼女だったはずで
キャルのこともなんだか薄気味悪いとか言っていたのに
どこでどう変わったんだか
たしかにどこか似ているものを感じたのかもしれないけど
まあ、あんな完璧な女性、完璧な母親を求めすぎる
超マザコンなアロンじゃ、息がつまってもおかしくはないけど

母親役の女優、悪女役がめちゃハマってて好きだな
強い女って感じで なんかカッコいい

それにしても、キャルは本当に優しい子だなって思った
私だったら、もう好きにしろよって言って
さっさと家から出てくけど
あんな父親でも見放さないキャルの人間性が素敵
愛されることから愛すことへシフトしていけたんだね
なんだか、それって出来るようでなかなか出来るもんじゃない


父親と古くからの友人だという保安官
彼いわく、父親は絵に描いたような善人だと
キャルに言っていたが
あなたにとってはそう見えるのかもしれないけど
それは外側から見た印象なだけであって
家の中でなにが起こってるのか知りもしないで
余計なこと言うんじゃねえ!と軽く突っ込んどいた
こういう一見善人そうな人が
傷ついた人間をさらに追い詰めてる

人間は多面でできているのだから
一面だけを見て、判断してはいけないと
昔、バイト先の店長に言われたことがあるけれども
本当にそうだな、と
歳を重ねるごとに、しみじみ身に染みる言葉だな、と
この映画を観ながら、そんなことを思い出したりしました

それにしても、やっぱりジェームズ・ディーンの演技は素晴らしいね
若くして逝ってしまったのが、本当にもったいない俳優だ




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最後までお読みいただき、ありがとうございます
ジェームズ・ディーンといえばEDWINのポスターのイメージ
という方もいらっしゃるかもしれませんね

ジェームズ・ディーンのあの繊細な演技は
どこか、尾崎豊に通じるものがあるように感じるのは
私だけでしょうか?



#古い映画 #ジェームズ・ディーン  ・聖書 ・兄弟殺し

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