治療完了、目をさますよ - 10

第10話 「衝動」

雑然とした部屋の中、加原岬は目を覚ました。
腕には沢山の点滴がつけられている。
病院の診察台のようなものに寝かされていた。
しばらくぼんやりとして、起き上がろうとし、頭に頭痛が走り、彼女は点滴がつけられていない方の腕で、頭を押さえた。
彼女は、思い出そうとした。
今まで自分は、関西総合病院にいたはずだ。
こんな、タバコとアルコールの臭いがはびこっている部屋にいたわけがない。

「どこ……ここ……」

小さく震える声で呟いて、体を起こす。
そこで、診察台を覆っていたカーテンの向こうから、気だるそうな声が聞こえた。

「目が覚めた? 加原岬さん」

聞いたことのない声だ。
岬は、ベッドの上で起き上がり、毛布を手繰り寄せて体を硬くした。

「だ……誰ですか?」

どもりながら言うと、二十代後半と見れる、くたびれた白衣を着た、ぼさぼさの髪を後頭部で止めている女性が顔を出した。
口にはタバコをくわえている。
そこは、コンビニ弁当の残骸や、生活用品のゴミなどが雑然と積まれた、汚らしい部屋だった。
やけに沢山のパソコンがある。
そして、部屋の隅には、精神世界へのダイブに使用する器具が、無造作に投げ出してあった。
女性はしばらく値踏みをするように岬を見ると、頭をガシガシと掻いて、カルテを手に取った。

「特に問題はなし、と。『ラッシュ』を投与したから、記憶の混濁が見られると思うけど、じきにそれも治るわ」
「誰なんですか……? ここはどこですか!」

疑問が確信に変わり、異常を察知して岬が大声を上げる。
女性は軽く肩をすくめて、タバコの煙をフーッ、と吐き出した。

「まぁ慌てない。それにしても、単純に白髪を赤髪に染めてるとは思わなかったわ」

言われて、岬は頭に手をやった。

「何を言ってるんですか……? 私はずっとこの髪ですけど……」
「あぁ、記憶の中枢壁から弄られてるのね。まぁ大丈夫、その辺もおいおい治していくから」
「質問に答えてください! ここは関西総合病院じゃないんですか?」
「キャンキャン喚かないでよ。二日酔いで頭がガンガンしてるんだから」

軽くこめかみを揉んで、女性は椅子に座り、岬に向き直った。

「私の名前は、結城政美ゆうきまさみ……ここの場所は、訳があって教えてあげられないけど、関西総合病院じゃないことは確かよ」
「ど、どうして……? 病院の方ですか……?」
「そう見える?」

手を広げて見せてから、結城と名乗った女性はタバコを灰皿に押し付け、新しいタバコをくわえ、ジッポの火を慣れた手つきで移した。
そして息をついて、気だるそうに続ける。

「聞きたいことはいろいろあるだろうけど、まぁ詳しいことは、おいおいね」

そう言って彼女は、部屋の隅に設置してあるハンモックに近づいた。
そしてそこで仰向けになって眠っている少年の頭に軽く拳を叩きこむ。

「起きろ」
「……ッ!」

殴られた少年は、もんどりうって転がると、ゴミを蹴散らしながら床に転がった。
そして周りを見回し、口をパクパクとさせる。

「眠り姫が起きたんだよ。感動の再会シーンとやらを見せてくれ」

結城がそう言うと、少年……白髪の彼、ナンバーXはきょとんとして岬を見た。
そして嬉しそうな顔になり、口をパクパクとさせながら早足で近づく。

「あぁ、そいつヘマして、今一時的に喋れなくなってるけど、まぁ……分かるよね?」

結城に問いかけられるまでもなく、岬は目を丸くしてナンバーXを見た。
そして、慌てて服を直し、真っ赤になる。

「嘘……そんな……」

ナンバーXが岬の手を握る。
ニコニコしている彼に、岬は言った。

「あなた……いっくん……?」

汀の部屋の中で、汀と大河内は面と向かって睨みあっていた。
いつもは柔和な表情の大河内が、顔をしかめて、何かを必死に考え込んでいる。

「これだ!」

短く言って、手に持っているトランプを一枚、テーブルにパシンと叩きつける。

「ダウトだよせんせ」

汀がそう言って、ベッドの上に上半身を起こしている、自分の前に置かれたカードの中から一枚を取って放った。

「何ぃ!」
「大河内先生の二十七連敗ですね」

淡々と言って、理緒が壁のホワイトボードに得点を記入する。

「せんせ、もういいよ。もう休も?」

汀に静かに言われ、大河内は息をついて肩を落とした。

「何てことだ……私が、ここまで負けるとは……」
「汀ちゃんがカードゲームは強すぎるんです。異常な強さですから」
「知らなかった……汀ちゃんにこんな特技があったなんて……」

大河内が頭をわしゃわしゃと掻く。

「いやぁ参った! 降参だよ」
「まだやってたのか」

そこで圭介が、三人分のジュースが入ったコップをトレイに乗せて部屋に入ってきた。

「大河内。お前じゃ勝てないぞ。何せ、俺もまだ勝ったことがないからな」
「本当か?」

信じられないといった顔で大河内が圭介を見る。
彼は肩をすくめて、大河内と理緒にコップを渡すと、汀のベッド脇にある台に彼女の分のジュースを置いた。
そしてストローをさしてやる。

「汀に対してのテストをするのは初めてのことだから、戸惑うのも無理はないだろうが、こいつはまがりなりにも特A級だ。俺達じゃかなわないよ」
「うぅーん……」

大河内が悔しそうに考え込む。
汀はそんな大河内の様子をにやにやしながら見ていた。
そして口を開く。

「せんせ約束だよ。何でも言うことを聞くんだよ?」
「仕方ない。汀ちゃんには負けたよ。何が欲しい?」
「せんせが欲しい」

大河内を指差し、汀はにっこりと笑った。

「せんせと結婚したい」

その、あながち冗談とも取れない発言に、圭介以外のその場の二人が凍りつく。
大河内は頬に一筋汗を流し、しばらく口ごもった後、静かに聞いた。

「汀ちゃん、そういうのは大人になってから……」
「私もう大人だもん」

汀はそんな言葉を意に介さず、嬉しそうに言った。

「どこに住む? 私、田舎がいいな。せんせはどのくらい子供が欲しい? 私は三人くらいがいいと思うんだけど……」

カードゲームの勝負に負け、しかも十三歳の女の子と告白ついでに結婚することになっている大河内は目を白黒とさせた。
そして状況が上手く認識できないのか、目じりを押さえる。

「どうしたの?」
「汀ちゃん、女の子はね、十六歳にならないと結婚できないんです」

そこで、理緒が冷静に突っ込みを入れた。
汀は一瞬ポカンとすると、すがるように圭介を見た。

「本当?」
「本当だ」

端的に、点滴のチューブを交換しながら圭介が言う。

「じゃあせんせ、三年後に結婚しよ。約束だよ」

汀が手を伸ばして、小指を立てる。

「ゆびきりげんまん」

そう言って、無邪気に笑う彼女。

大河内は少し考え込んでいたが、やがてふっ、と笑い、その指に自分の小指を絡めた。

「……ああ、約束だ」
「うふふ」

よほど嬉しいのか、汀が満面の笑顔になる。
それを、表情の読めない顔で圭介が見下ろしていた。
彼の無表情に気づいた理緒が、ビクッとして発しかけていた言葉を止める。
それほど、圭介の目は感情を宿していなかった。

「……驚いた。私のことを好いていることは知っていたが、まさか結婚まで考えていたとはな……」

汀と理緒が寝静まった夜中、診察室の椅子に腰掛けながら大河内が言う。
圭介はピンクパンサーのグラスに麦茶を注ぎながらそれに答えた。

「俺はもう、耳にタコが出来るくらい聞かされている」
「人が悪いな。それくらい教えてくれてもいいじゃないか」
「生憎と、お前にそんな義理はないからな」

冷たくそう返し、圭介はグラスの中身を口に運んだ。

「安心しろよ。そんな未来は一生来ない」

圭介のゾッとするような冷たい声に、大河内の目が厳しくなった。
彼は腕組みをして圭介を見て、そしてせせら笑うように言った。

「……汀ちゃんと私の問題だ。お前がどうこうできる話じゃない」
「勘弁してくれ。俺にペドの趣味はない」

そう言って、圭介は続けた。

「……自殺病にかかった者は決して幸せにはなれない。それは、神が定めた摂理なんだ。汀も同様だ」
「そんなことはない。汀ちゃんは誰よりも幸せになる権利を持っている」

大河内がそう言うと、圭介はドンッ、と乱暴にグラスをテーブルに置いた。
そして歯を噛んで大河内を見る。

「どの口がそれをほざく」
「悪いが、お前よりも、私はあの子のことをよく知っていてね」

含みを持たせて笑い、大河内は続けた。

「それをお前に教える義理はないが」
「ふん……」

鼻を鳴らして、勝手にしろと言わんばかりに肩をすくめると、圭介はテーブル上の資料を手に取った。

「『裏』か」

そう言った圭介に、大河内はまだ視線を厳しくしながら口を開いた。

「ここは病院だろう? 患者のことは詮索しないのが礼儀だ」
「それでも、相応のリスクは負わなければいけないからな。最低限のことは知っておきたい」

圭介はそう言って資料をめくった。
そして呆れたようにため息をつく。

「いい加減、赤十字で処理しきれなくなった案件をこっちに回すのはやめろ。俺達は便利屋じゃない」
「お前が汀ちゃんを手放せば済む話だ」
「残念ながらそういう未来も一生来ないな」

大河内と目を合わせずにそう言って、圭介は資料を閉じた。
そして、それを放って大河内に返す。

「ダイブは明後日だ。だが条件がある」
「何だ?」
「理緒ちゃんをサポートにつける。赤十字から、あの子の管轄を俺に回せ」
「何だと?」

思わず腰を浮かせた大河内に、圭介は醜悪に笑いながら言った。

「元老院も承諾済みだ。あの子は、俺のものにする」
「高杉が黙っていないぞ」

「あいつは俺に多大な恩があるだろう。それに、『お前も』だ。形式上ではあるがな。忘れてもらっては困る。ギブ・アンド・テイクだ」

大河内は椅子に腰を下ろし、深く息をついた。

「……最初から狙っていたのか?」
「さぁな。だが、『役に立つ道具』は一つでも多い方がいいからな」

圭介はそう言って、グラスの中の麦茶を、一気に喉に流し込んだ。

「ここに住まわせる。おかげで、俺も大分動きやすくなるだろう」
「……変わったな。高畑」

大河内が呟くように言う。

「…………あの頃の私達は、もっと…………」
「昔の話は昔の話だ。それに、俺はまだ許してはいないからな」
「…………」
「お前と、坂月をな」

大河内が何かを言おうとして言葉に詰まる。
圭介は、話は終わりだと言わんばかりに立ち上がった。

「精々気をつけて帰るんだな」

含みを持たせてそう言って、彼は診察室を出て行った。

暗い夜道、大河内は息をついた。
もう夜中の十一時近い。
中央通りに出ないと、タクシーをつかまえられそうにもなかった。
電話をしてくるんだった……と若干後悔しながら、しかし中央通りはすぐ近いと思い直し、大河内はまた歩き出した。
しばらくして、彼は自分の足音に合わせて、もう一つ、足音が聞こえてくることに気がついた。
ハッとして立ち止まる。
足音も消えた。
あたりには人影がない。
街灯もなく、非常に薄暗い場所だ。
大河内はゆっくりと、横目だけで振り返り、少し離れた場所に、「何か」を持っている、少年と思しき人影が立っているのを見た。
彼はフードを目深に被り、表情を読み取ることは出来ない。
大河内はそれを確認する一瞬の間もなく、全速力で中央通りに向かって走り出した。
少年も、それを追って走り出す。
小柄な少年とは思えないほどの俊敏な動きだった。
彼は近くの民家の塀を蹴り、三角飛びの要領で大河内の目の前に転がり出ると、彼の首を掴んで、足を払った。
素人の動きではなかった。
大声を出そうとした大河内の口を塞ぎ、少年はフードの奥の瞳を、冷たくニヤリと笑わせた。
大河内の目に、フードから覗く白髪が見える。
そして次に、少年が持っていた、刃渡り三十センチはあろうかという長大なサバイバルナイフを目にした。
必死にもがく大河内を難なく組み伏せ、少年は、彼の腕をナイフで撫でた。
簡単に皮が切れ、血が流れ出す。
無言だった。
それが大河内の恐怖を更に煽った。
うめく彼の上腕までに切れ込みを入れ、少年はナイフを振り上げた。
そして――。

「せんせ! せんせえ!」

隔離された集中治療室内で、呼吸器をつけられ、目を閉じて横たわっている大河内をガラス窓の向こうから、汀は車椅子から転がり落ちそうになりながらも必死に呼んだ。
答えはない。

「…………」

険しい顔をして、圭介は虚空を睨んでいた。

「そんな……大河内先生……」

口元に手を当てて、理緒が震える声で呟く。

「……発見された時はこの状態だったそうだ。肺に達する刺し傷が三箇所。うち一箇所は、肺を貫通してるらしい。警察は総力を挙げて、犯人を捜している」

圭介は小さく舌打ちをした。

「……だから気をつけて帰れと言ったんだ……」

聞こえるか、聞こえないかの声で彼が呟く。
耳ざとくそれを聞きつけ、汀が圭介の服を掴んだ。

「圭介! 何か知ってるの? 犯人のこと、何か知ってるの?」
「……知らない。俺が聞きたいくらいだ」
「嘘だ! 圭介は何か知ってる……知っててせんせをこんな目に遭わせたんだ!」

半狂乱になって、汀がヒステリックに喚く。

「せんせが死んだら、圭介も殺してやる! 私が、私が絶対に……」

そこで汀の喉から、カヒュ、と空気の抜ける小さな音がした。

そのまま激しく咳き込み、汀は呼吸が出来なくなったのか、体を丸めた。

「汀ちゃん! 興奮しすぎです!」

理緒が青くなって、看護士が持ってきた紙袋を膨らませて、汀の口に当てる。
何度か深呼吸を繰り返し、汀はしばらくしてぐったりと車椅子に横になった。

「汀ちゃん? しっかりして。汀ちゃん!」
「刺激が強すぎたみたいだ。君は、ラウンジの方に行っててくれ」

荒く息を吐いて、視線をうつろに漂わせている汀の額に手を当て、圭介は冷静に懐から注射器を取り出し、それを汀の右手首に注射した。
そして理緒に、小白の入ったケージを渡す。

「少し寝かせる。大丈夫だ。汀は、時折ヒステリックになるんだ。起きた頃には冷静になってるだろ。小白を離さないようにして、近くで寝かせてくれ」
「高畑先生! 大河内先生が通り魔に遭ったんですよ!」

咎めるような声で理緒が言う。
圭介はメガネをクイッと中指で上げて、それに答えた。

「ああ、そうだな」
「高杉先生の時もそうでした……どうして、そんなに冷たくしていられるんですか! 汀ちゃんの気持ちを考えてあげても……無理やり眠らせるなんて! 誰だって……誰だって、自分の好きな人がこんな事件に遭ったら、冷静でいられませんよ!」
「君も少々ヒステリーの気があるらしいな」
「茶化さないでください!」

理緒は圭介に詰め寄った。

「大河内先生は大丈夫なんですか? 汀ちゃんに、いきなりこんなところを見せるなんて、どうかしてます! 幻滅しました!」
「いくらでも幻滅してくれて構わない。別に、俺は君達の機嫌を取るために生きているわけではないからな」

冷たく理緒の言葉を打ち消し、しかし視線はあわせずに、圭介は続けた。

「……手術は成功した。命に別状はないはずだ。今の医療技術を、信用するんだ」
「でも……でも!」
「俺がやったわけではない。憤りは分かるが、落ち着け、理緒ちゃん」

彼女の頭にポスン、と手を置き、圭介は言った。

「少し休みなさい。ここでいくら喚いても、大河内が良くなるわけじゃない」
「……私……聞きました」
「何?」

問い返した圭介に、理緒は小声で言った。

「高畑先生と、大河内先生が話してるところ、聞きました。汀ちゃんと大河内先生は、絶対に結婚できないって、高畑先生、断言したじゃないですか!」
「…………」
「自殺病にかかった人は絶対に幸せになれないって……どういうことですか!」

どうやら、手洗いに行こうとして起きたところ、彼らの会話を聞いていたらしい。
圭介はしばらく沈黙して、汀が眠っていることを確認してから腕を組んだ。
そして軽く笑う。

「何がおかしいんですか!」

理緒が声を張り上げる。

「特に何も。何も知らない君が、少々滑稽でね」
「こっけい……?」
「ああ。赤十字では教わらなかったのか? 『自殺病にかかった者は絶対に幸せにはなれない』……それは、神様が定めた摂理なんだよ」
「そんなこと、聞いたことありません! それに汀ちゃんが……」
「汀は、俺がマインドスイープで治療した『最後の』患者だ」

淡々とそう言って、圭介は冷たい目で理緒を見下ろした。

「え……」

口ごもった彼女に、圭介は続けた。

「いいかい。これからも人を治療していきたいと思うなら、覚えておけばいい。自殺病にかかった者は、絶対に幸福にはなれない。何度でも言う。絶対にだ」
「どうして……? どうしてそんなに酷いことを……」
「俺も昔、自殺病の患者だったからさ」

抑揚なくそう言って、圭介は吐き捨てるように呟いた。

「それ以上でも、それ以下でもない」

赤十字病院のラウンジで、理緒は汀と小白の乗った車椅子を、日のあたらない場所に設置し、一人、少し離れた場所で水を飲んでいた。
朝、大河内の事を聞きここに来てから、既に半日以上が経過していた。
圭介は顔を見せようとしない。
ここに放置されてからも、随分時間が経つ。
ある程度のお金は圭介に持たされていたが、汀がいつ目を覚ますか気が気ではなかったので、離れるわけにもいかなかった。
頭の中がグチャグチャだった。
寝不足と、疲労と、圭介に投げつけられた言葉の痛みが交互に理緒の胸の中を襲う。
深くため息をついた彼女の周りには、やはり診察を待っている患者や、食事をしている見舞い客などが沢山いた。
誰も、汀達を気にする人などいない。
そんな中だったので、理緒はいつの間にか隣に誰かが座っていることに気づかなかった。

「……?」

きょとんとして隣に目をやる。
そこには、灰色のフードを目深に被った、長袖の少年が座っていた。
理緒と同じくらいの年の頃だろうか。
彼は、売店で買ってきたのか、手にピルクルの瓶と、菓子パンを数個持っていた。
それを理緒に差出し、ぎこちなく笑う。

「た……た…………たっ……」

慎重に言葉を選ぶように、断続的に発音し、彼は息を吸って、そして一気に言った。

「た……べ……る?」
「え……あの……」

理緒はいきなりのコミュニケーションについていけずに、どぎまぎしながらそれに答えた。

「お、おかまいなく。私、大丈夫ですか……」

グゥ、と理緒のお腹が鳴った。
整った顔をしている少年だった。
髪の毛が白い。
同じマインドスイーパーだと気づいて、理緒は顔を赤くしながら、俯いた。

「お、れ……分、ある」

言語障害なのだろうか。
切れ切れに彼はそう言うと、にこやかな笑顔と共に、自分の分のパンを手で指した。

「あ……さから……いた。心配」
「ありがとうございます……」

小さな声でそう言って、理緒はパンを受け取った。

パンを口に入れ、多少は頭の中が整理できた理緒は、息をついて少年を見た。
もぐもぐとパンを食べている彼は、ぼんやりと外を見ている。
髪の毛が白くなければ、タレントにでもなっていそうな程、顔立ちが整っていた。
理緒でなくても、女の子なら誰でも意識はしてしまうだろう。
彼がこちらを向いたので、慌てて目をそらす。
ピルクルで残りのパンを喉に流し込み、彼女は男の子に聞いた。

「あの……お金、払います。お幾らでしたか?」
「いら……ねぇ。男、女……おごる、大切だ……と、思う。逆……おかしいな」

意外と理性的な喋り方をする人だ。
理緒は警戒心を解いて、しかし彼の手に千円札を握らせた。

「お礼です。私の気持ちだと思って、受け取ってください」

少年はしばらくそれを見つめていたが、やがて興味がなさそうに頷いて、ガサッ、とポケットに千円札を突っ込んだ。
その鳶色の瞳でまた見つめられ、理緒は顔を赤くして視線をそらした。

「あの……お名前は……?」

聞かれて、少年は言った。

「工藤…………一貴いちたか」
「一貴さんですね。私は理緒。片平理緒って言います」

手を差し出すと、一貴は気さくにそれを握り返してきた。

「同業者の方ですよね? どこでお仕事をされてるんですか?」
「ほ……っかいどう。出張……で」
「遠いところから……担当医の方は?」
「戻ら……ねぇ」

ヘヘ、と笑った彼に、理緒は微笑み返した。

「ふふ、おんなじですね」

一貴は頷いて肩をすくめると、眠っている汀に視線を移した。
そして口を開く。

「あの、子……」
「汀ちゃんのこと、ご存知なんですか?」

問いかけた理緒に、一貴は頷いた。

「有、名……特A」
「今ちょっと具合が悪くて……お話は出来ないんです」

目を伏せた理緒の肩を、彼は元気を出せよ、と言わんばかりにポンと叩いた。
そして立ち上がって汀に近づくと、その顔を覗き込む。
しばらく同じ姿勢のまま固まった一貴を、理緒は怪訝そうに見た。

「どうしました?」

問いかけられ、彼は肩をすくめた。

「残念……俺、ともだ、ち。この……子と」
「汀ちゃんのお友達だったんですか?」
「……う、ん」

頷いた彼の隣に行き、理緒は息をついた。

「羨ましいな……私の友達は、汀ちゃん以外、ほとんど『あっち』の世界に行っちゃった」
「…………」
「そこから助けてくれたのが、汀ちゃんなんです」

彼女は、黙っている一貴の方を見ずに続けた。

「だから私は、汀ちゃんに幸せになってもらいたい……自殺病にかかった人間は、絶対に幸せになれないなんて、嘘です。そんな酷いこと……私は信じられません」
「…………」
「工藤さんも、そう思いませんか?」

振り返った理緒の目に、汀を見て目を細めている一貴の姿が映った。
一貴は少し考えていたが、やがて頷いて、ニッコリと笑った。

「俺……たち。だいじょう、ぶ。医者、適当なこ、と、言う」
「そうですよね。そうなんだ。大丈夫。大丈夫だよ」

理緒がそう言って、眠っている汀の手を握る。

一貴はまたしばらく汀を凝視していたが、彼女が目を覚まさないことを確認して、チラチラと腕時計を見た。
そして理緒の肩を叩く。

「お、れ。行く。かたひ、らさん。これ」

彼が差し出したのは、メモ帳の切れ端だった。
そこには、ゼロと一の羅列がびっしりと書かれていた。
その不気味な紙片を受け取り、理緒が首を傾げる。

「何ですか?」
「この……子に、わたし、て。大事……すごく、大事な……もの。医者、し、んようできない。俺、たちのひ……みつ。約束」

勝手に理緒の手を握り、彼は手をひらひらと振って、足早に人ごみの中に消えた。

「あ……待って!」

慌てて後を追いかけようとした理緒が、小さくうめいて目を開いた汀を見て、歩みを止める。

「ん……」
「汀ちゃん! 目が覚めましたか?」
「ここ……どこ……?」
「…………」

大河内が大怪我をしたというくだりは、完璧に忘れてしまっているらしい。
それに愕然とした理緒の目に、圭介が手にビニール袋を持って、疲れた足取りで歩いてくるのが見えた。
慌てて、一貴から渡された紙片をポケットに隠す。
そこで彼女は、いつの間に折られたのか、小さく、鶴の形にされた千円札が手に握りこまれているのに気がついた。
それを見て、どこか顔を赤くする。
一貴の姿は、もうどこにもなかった。

「……どうした?」

袋に入った菓子パンやジュースをテーブルに並べながら、圭介が聞く。

「ああ、もう食べたのか?」
「え……? あ……はい。ごめんなさい……」
「いや、俺の方こそ、随分と待たせてすまなかった。大河内の容態は安定してる。問題はないだろう」
「圭介……? どこ……ここ……?」

緩慢とした動作で、汀がそう聞く。
圭介は彼女に、ストローを指したポカリスエットの小さなペットボトルを握らせて言った。

「赤十字病院だ。大河内が少し怪我をしてな。そのお見舞いに来ていたところだ」
「せんせが……? 私、お見舞いなんてしてないよ」
「したよ。大河内が、疲れただろうからもう帰れってさ」

淡々とそう返し、圭介は理緒が不満げな顔をしたのを無視して、パンを頬張った。

「理緒ちゃんも。こんな時で悪いけど、仕事だ」
「高畑先生……!」

理緒が小声で咎めるように言う。
しかし圭介は、パンをかじりながらそれに答えた。

「急患だ。今、ここの第三棟に運び込まれてる。放置すれば、あと二時間で死に至る」
「そんな……」
「汀、やれるか?」

問いかけられ、汀は頷いた。

「終わったら……また、せんせと会いたいな……」
「いいよ。約束する」
「うん……」
「……高畑先生!」

そこで理緒が、我慢できないといった具合で圭介の袖を引いて、汀から遠ざけた。
そして小声で彼に言う。

「何で嘘をつくんですか?」
「また汀を過呼吸にしたいのか?」
「私は……でも……!」
「君達はマインドスイーパーだ。資格があるなら仕事をしろ。『人を助ける』といった仕事をな」

冷たく言って、圭介は柔和な表情で汀を見た。

「行くぞ。ダイブは三十分後だ」

汀と理緒は目を開けた。
そこは、大雨が降っている高速道路の上だった。
一瞬でびしょ濡れになった二人が顔をしかめる。

『どうした? 状況を説明してくれ』

圭介の声が聞こえる。
汀と理緒がヘッドセットのスイッチを入れ、口々に何かを言うが、雨の音でそれはかき消されてしまっていた。

『聞こえないな……汀、どうにかしろ』

圭介の命令に頷いて、汀は足元で小さくなっている小白を抱き上げた。
そして理緒の手を掴んで、高速道路の脇に移動する。
そして親指を立てて、右手をピンと上げた。

(ヒッチハイク……?)

そのつもりなのだろうか。
精神世界で、しかもこの土砂降りの逃げ場がない中で何をしているのだろうと、理緒が目を丸くする。
そこで、凄まじい勢いで、赤い車が走り去った。
エンジン部分が大きく拡張されていて、さながらレーシング用の車だ。
それを追って、サイレンを鳴らしながらパトカーが三台走ってきた。
そのうちの一台が停まり、中から真っ黒いマネキンのような人間が出てくる。
黒いマネキンが、警官の制服を着ている。
二人だ。
表情はうかがい知ることは出来ないが、彼らは腕を立てている汀の前に屈みこんで、心配そうに口を開こうとして――。
そこで、一人が、汀に無造作に投げ飛ばされた。
もう一人が臨戦態勢を作る前に、汀は倒れた警官の喉に一撃を加えてからその警官の警棒を抜いて、まだ立っている警官のみぞおちに突き立てた。
時間にして五、六秒ほどのことだっただろうか。
警官姿のマネキンを二人とも締め落としてから、汀は唖然としている理緒の手を引いて、パトカーに乗り込んだ。
そして扉を閉め、膝の上に小白を乗せる。

「ダイブ成功。変質心理区域だね。かなり自殺病が進行してると思う」

猫のように頭を振って水を飛ばした汀の隣で、理緒が震えながら暖房のスイッチをつける。
そして彼女は、倒れている二人の警官を見た。

「汀ちゃん……あの人たち……」
「ただの深層心理の投影だから、気にしなくていいよ」

そう言って、汀は車のアクセルを踏んで、パトカーを急発進させた。

「きゃあ!」

理緒が悲鳴を上げて、慌ててシートベルトをつける。

「み、汀ちゃん! 運転できるの?」

六十キロ、七十キロ、次第に速度が上がっていく。
汀は、明らかに小さな体でギアを操作して、先ほど通過したパトカーに追いついてから、面白そうに笑った。

「やり方は知ってる」
「知ってるって……知ってるだけで運転したことは……」
「ないよ。当然でしょ?」

二台のパトカーを追い抜き、汀は更にスピードを上げた。
理緒がまた悲鳴を上げて、体を縮めて目を閉じる。
既に百二十キロ近く出ていた。
今は土砂降りだ。
ハイドロプレーニング、と呼ばれている。
タイヤと道路の間に水が入り込み、タイヤが空回りする現象だ。
その音を聞き、よく分かっていないまでも理緒は顔面蒼白になった。
当然だ。
自分より小さな女の子が、土砂降りの高速道路で百三十キロもカッ飛ばしていたらその隣に座っていて恐怖を感じない者はいないだろう。

「とめて! とめてぇえ!」

凄まじい勢いで流れていく周囲の景色についていくことが出来ずに、理緒が絶叫する。

『どうした? 状況を説明してくれ』

圭介が言う。
汀はまたギアを操作し、更に速度を上げてから言った。

「高速道路。多分防衛型の特徴だと思うけど、この人の精神中核が車で逃走中。この人、普通の人じゃないね。犯罪者だ」

汀の的確な指摘に、圭介が一瞬押し黙る。

「は……犯罪者?」

理緒が引きつった声を上げ、目をギュッ、と閉じて震えながら言った。

「私達、犯罪者の人の心の中にダイブしてるんですか?」
「それも普通の犯罪者じゃないね。警察に対して異常な警戒心を持ってる。多分何かの逃走犯だ」
『汀、仕事に集中しろ』
「分かってる」
「高畑先生! 犯罪者って本当ですか?」

理緒がヘッドセットに向けて悲鳴のような声を上げた。

「それも逃走犯だなんて……マインドスイーパーは、犯罪幇助はしちゃいけないんですよ!」
『君達はただ、精神中核を治療すればいい。仕事をするんだ』
「高畑先生も汀ちゃんも、おかしいよ!」

理緒はあまりのスピードに腰が抜けたのか、頭を抑えてその場にうずくまった。
百四十、百五十。まだ速度は上がっていく。
前方に、赤い車が見えてきた。
もはや気を失ってもおかしくないほどの恐怖が、彼女を襲っていた。
半狂乱になって、理緒はどこかに逃げ場はないかとパニックになって怒鳴った。

「とめて! とめてよ! 死んじゃうよ! やだ、こんな速いのやだあああ!」

車の速度計から流れる警告音が彼女の精神を削り取っていく。
汀は、しかし運転に集中していて理緒の相手をする暇がないのか、小白を彼女に投げてよこしただけだった。

「大河内先生が死にそうなのに、仕事なんてできません! 戻してください! 私、仕事できません!」

理緒が悲鳴を上げる。

「え……?」

そこで初めて、汀は理緒の方を見た。

「せんせが、死にそう?」
『二人とも、仕事に集中するんだ』
「出来ないです! 私は人間です! 人間って、心があります、機械じゃないんです! 二人ともおかしいよ! おかしいよ!」
「理緒ちゃん落ち着いて。落ち着いてその話をよく聞かせて」

汀が冷静に言って、震えて固まっている理緒を横目で見る。

『やめるんだ理緒ちゃん。終わったら俺の口から……』
「圭介は黙ってて」

圭介の声を打ち消し、汀は続けた。

「理緒ちゃん、すぐに怖いのは終わるから。大丈夫。私がいる」
「汀ちゃん……」

鼻水を啜り上げながら、理緒は、途切れ途切れに口を開いた。

「大河内先生が……通り魔に遭って……今、重篤な状態で……」
「圭介、本当? それ」
『…………』
「圭介!」

汀が怒鳴る。

『本当だ。犯人はまだ捕まっていない』

しばしの沈黙の後、圭介はそう答えた。

「私の記憶を消したのね……何で!」
『仕事があるからだ』
「戻る。すぐに戻る!」
『…………』
「この精神中核を捕まえたら、すぐにせんせのところに行く!」
『冷静になれ! 精神中核が外壁防御もなしに高速で逃走中なんだろう。慎重に行け!』
「知らない……知らないこんな犯罪者!」

汀は怒鳴って、更にスピードを上げた。
そして理緒に

「ぶつかるよ!」

と叫んでから、前方でエンジンを高速で回転させている赤い車の後部に、パトカーを衝突させた。
凄まじい衝撃が二人を襲う。

「きゃあああ!」
『やめろ汀! 患者を殺す気か!』

圭介が怒鳴る。
しかし汀は、それには答えずに、何度も、何度も車を衝突させた。
仕舞いには赤い車の後部タイヤがパンクしたらしく、それはぐるぐると道路をスピンしながらガードレールに激しくぶつかった。
そして何度も回転しながら、崖下に車が落ちていく。
パトカーをスピンさせながら急停止させ、汀はヘッドセットに向けて叫んだ。

「戻して! 早く!」
『…………』

圭介がマイクの向こうで歯噛みする。
ボンッ! という音がして、崖下で車が爆発した。
火柱が吹き上がる。

「圭介!」

ぐんにゃりと、景色……いや、「空間」それそのものが歪んだ。
まるでコーヒーにミルクを入れてかき混ぜるように、汀達を包む空間がドロドロになり崩れていく。

「精神中核の崩壊を確認。戻して!」

ヘッドセットの向こうから、圭介の舌打ちが聞こえた。
そこで、彼女達の意識はブラックアウトした。

「患者の死亡が確認された。死因はショック死だ」

圭介が淡々とそう言う。

「死んだ……?」

理緒が唖然として、その言葉を繰り返した。

「え……死んだ……? 死んだんですか……?」
「ああ、君達が殺したようなものだ」

端的にそう言って、圭介は表情の読めない無表情のまま、手に持った資料を脇に投げた。
大河内を見舞ってから、赤十字の会議室で、汀は圭介を睨んでいた。

「……知ったことじゃないよ」

「それでも特A級マインドスイーパーか。呆れてものも言えないな」

圭介は首を振り、立ち上がった。

「少しここで頭を冷やすといい。大河内は命は助かるが、君達が見放した命は大きい。それがたとえ、犯罪者のものだったとしてもな」

会議室の扉を閉めた圭介を目で追って、汀は唇を強く噛んで俯いた。

「死んだって……どういうことですか……?」

理緒がかすれた声を出す。
汀はしばらく沈黙していたが、やがて、小さな声で返した。

「……私が、精神の中核を、車ごと崖の下に落としたから。精神の崩壊は、脳組織の崩壊を誘発することもあるの……」
「私が……汀ちゃんに、大河内先生のことを話したから……ですか?」

汀は、また少し沈黙してから、首を振った。

「…………」
「汀ちゃん……?」

すがるように口を開いた彼女に、汀は両目から涙を落として、かすれた声で答えた。

「私が……殺した。カッとして……殺しちゃった……」

圭介は、日も落ちて、暗い診察室の中椅子に座って資料を見ていた。
理緒と汀は、隣の部屋で、泣き疲れて眠っていた。
今日起きた一連のことは、彼女達の年齢では、処理できる理解の範疇を超えていた。
睡眠を体が選んだとしても、それは無理のないことだった。
そこで、圭介の携帯電話が鳴った。
圭介が顔を上げて、一瞬止まった後それを掴む。
そして耳にあて、彼は言った。

「誰だ?」

電話の主は、非通知だった。

『久しぶりだな。高畑君』

しかしその声に、圭介は表情を変えて答えた。

「…………久しぶりですね…………」
『相変わらずクールだな。どうだ? 今回の失敗は、随分と堪えたんじゃないのか? 元老院もな』
「あなたには関係のない話だ」
『今回の失敗を、もみ消してやれると言ってもか』

電話口の向こうでタバコでも吸っているのか、息を長く吐きながら、相手はそう言った。
圭介はしばらく考え込んだ後

「あなたには関係がない話だ」

と、先ほどの台詞を繰り返した。
電話口の向こうの相手は、それに構わずに続けた。

『ナンバーⅣをこちらに引き渡したまえ。悪いようにはしない』
「お断りします」

圭介はせせら笑って、それに返した。

「あの子は俺のものだ。あなたのものじゃない。残念だったな」

醜悪に口の端を歪め、彼は吐き捨てた。

「つるむ相手を変えたいのは分かりますが、相手は選んだ方がいいですよ」

プツッ、と電話を切る。
そして彼は携帯電話をテーブルに投げてから、立ち上がった。
手洗いが一緒になっている洗濯室に入り、
理緒と汀の洗濯物を、洗濯機に突っ込む。
そこで、理緒の服のポケットに紙切れが入っているのを見て、圭介はそれに目を留めた。
ゼロと一の羅列が所狭しとかかれた紙。
そして、鶴の形に折られた千円札。
圭介は鼻を鳴らし、紙を自分のポケットに移した。
そして鶴の形を整えて、洗面台の上に置く。
それを見る目は、どこか笑っていて。
どこか、悲しそうだった。

>第11話に続く

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