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「廃業」なぜ自分は漫画家として失敗したのか。振り返ります。

前回記事では「夢が終わってしまった後、その後の人生の過ごし方。」を書く予定とか言ってましたが、そんなん書いても、noteをご覧になって下さる方々に何の得も無いと気づきまして、あらためて、なぜ自分は漫画家として失敗したのか、行き詰ってしまったのか、という現状を、自分なりに分析して、この記事を読んでくださった方に何か参考というか、気づきがあると良いなと思って、もうお恥かしい限りなのですが、自分のやらかした失敗の数々を、できる限りありのまま、書かせて頂こうと思います。そしてこれから漫画家を目指そうと思われている皆様に、なるべく回避した方が良い事を、まとめさせていただこうと思います。


1、若くして漫画の道に入ってしまう。

前の記事でも書きましたが、自分は一応、高校は進学校へ入学したものの、二年生の夏からアシスタントの世界に入ってしまい、そっちが面白くなってしまって、のめり込んでしまい、成績は急降下し、何とかぎりぎり高校は卒業したものの、そのままなし崩し的に漫画の世界に入ってしまいました。

職人的世界、例えば漆塗りとか左官とか、あとオリンピック競技とかの、身体を使った技の世界は、なるべく子供の頃から始めた方が有利とかいう時代もあったと思いますが、そういう世界ですら、今は学歴があった方がいい感じみたいです。学歴と職人的技術は、今の時代、平行して進められる物だと思いますので、とりあえずは大学進学できる学力があるなら、絶対に進んだ方が良いです。(そして、可能なら一般企業に就職してみた方がいいです。)

高卒で漫画家の世界に入ってしまう事の何が一番いけないかというと、「世界が小さくなる。視野が狭まる。」事です。これは漫画家として致命傷になります。自分の行き詰まりの一番の原因の一つですが、漫画の世界以外を知らないので、普通の人の人生を実感を持って描く事ができなくなります。描ける漫画の範囲が高校生活か、SFとかファンタジー作品に限定されやすくなります。大学生の生活も、普通のサラリーマンの生活も、人から聞いた話以上の情報が得られないので、なかなか漫画を描くのが難しくなります。

そして、漫画を買って読んでくださるかなりの方々が、大学生か、一般企業のサラリーマンです。お客の事が分からないのは、商売としても大変不利です。

伝聞でもかなり描けるよ。とい方もおられるかもですが、漫画の世界に入ってしまうと、普通の方々との接触が少なくなってしまい、友達も業界の人ばかりになって、普通の方の生活の話を聞く機会が無くなってしまいます。

そして、運よく漫画家になってしまうと、自分程度ですら、普通に平均睡眠時間が4~5時間でずーっと生きていく、休みは年数回。みたいになっちゃいますので、ますます一般の方との接点がなくなります。

漫画家は、「漫画家になるまでの若いころの経験だけで、一生食っていく」みたいな所がありますので、本当に大事にして欲しいと思います。後からは取りかえしがつきませんので。

あと、補足なのですが、大学生になると、高校時代とは全然違って、日本中から漫画を描く子が集まってきますので、高校時代では自分より上手く漫画を描く友達が周りにいなくても、漫研とかに入ると、自分より全然上手い子が必ず現れたりするので、そこで勘違いというか、「自分ってすごいんじゃ?」みたいな、思い上がりも、ただの井の中の蛙だった事に気が付いて、自分を客観視できる機会があると思います。そこで改めて、自分のこの現状で、本当に漫画家を目指すべきか、色々考えられると思います。あと、必ず、先輩で漫画家を目指していた人とか、実際に漫画家になっちゃった先輩とかが居ますので、その辺の現実を知る機会もあると思いますので、それらを知ってから、この業界を目指すべきか、じっくり考えるといいと思います…。


2、大手出版社からのデビューをあきらめて、とりあえず頂けたお仕事をこなし続ける。

確か以前の記事でも書きましたが、一応投稿作は何本かは描いて、大手出版社さんに持ち込んだり投稿したりしたのですが、全て箸にも棒にも引っかかりませんでした(;^ω^)そしてアシスタント時代には、一応ネームを見てもらう機会もあったのですが、形にすることができませんでした…。

そうこうしている内に運良く、以前お仕事でお付き合いのあった編集プロダクション様が、自分に集中的にお仕事を下さったり、大きいお仕事を紹介してくれたお友達の漫画家さんもいたりで、ほぼそちらのお仕事だけで、なんとか数十年、漫画の世界だけで生きていくことができました。本当に運が良かっただけでした。

しかし、これには大きなリスクもありまして、「お仕事が原作付きばかりになり、その原作にあまり興味が無くても、仕事として形にしなくてはならない。」という事です。自分は、手先は不器用な割に、漫画は器用貧乏というか、男性向けから女性向けまで、大体どんなジャンルでも適当に形にしてしまう能力があったといいますか、ほぼ要求されたお仕事は、なんとか形にできてきたのかな…と思います。それでなんだかんだで、ここまで生き延びてきたのかな…と。

ただし、こういう風に、幸運と縁だけで漫画家として生きて来てしまうと、いざお仕事を貰えなくなった時、恥かしい事に、「自分が本当に一番何を描きたいのか、描きたい物なんてそもそもあったのか?、もしかすると漫画家じゃなくても良かったのか?」分からなくなってしまいました…。


■いつの間にか自分にとって漫画を描く理由は、お仕事を貰えるから(お金を貰えるから)という一点だけでした。そして、お金がもらえなくなったら、一枚の絵も描けなくなりました…。



気づけば、こうしてnoteの記事をいくつも書いていながら、これまで自分は一枚も、新たに漫画の絵を描いていません。上げた絵は、全て過去作品から切り取った物です。

仕事で使っていた、大変高価で巨大な液晶タブレットは、邪魔という理由で外してしまって、部屋の片隅で埃をかぶっています。それくらい今の自分は漫画の絵を描くモチベーションが低下しています。我ながらうそ寒い物を感じます。それくらいずーっとあくまで仕事として、漫画を描いてきてしまいました。

しばらく休んだら、モチベーションも復活するかもと、淡い期待を持っていましたが、漫画家を廃業して、二年間経過した現状でも、あまり復活していません。本当に残念ながら自分は、「漫画を描くために生まれてきた!漫画を描けないと死ぬ!」というタイプでは無かったみたいです…。

人生は一度きりですし、若い時代は二度と戻りません。そして若い時代というのがどんな人にとっても一番パワーのある時代ですので、その時描けた作品が自分の最高傑作になる可能性が一番高いですので、できたら漫画家を目指そうと思う皆さまは、可能か不可能かどうでもいいので、とにかく一番描きたいものだけ描いて、投稿するなり持ち込むなりしてください。時代的に受けるか受けないかとか、どうでも良いです、漫画家になっちゃってから考えても遅くないです。今はとりあえず、妥協せず、自分が描きたいかどうかだけに集中して、納得いくまで描き切ってください。そして是非、大手出版社さんに挑戦してください。あなたに才能があれば、かならず芽が出ます。大手出版社さんにはそれだけ目の肥えた編集さんが必ず居ます。


…つらつら書いてきましたが、自分の失敗の本質は、

「後先考えずに漫画の世界に入ってしまったものの、人生の全てを掛けてでも漫画を描き続ける情熱が無かった。」事に尽きるのかなと思いました…。


最後に、以前にも確か書きましたが、本当に、「漫画はあくまで趣味として一番好きな物を描いて、本業は別に持つ。」事を、心からお勧めいたします。皆さん言っておられると思いますが、今の時代、一番描きたい漫画を描いて、SNSで発表して、万が一バズったら、徐々に慎重に漫画家を目指すと良いかと思います。それが一番リスクが低いやり方ではないでしょうか…。


今回もまた大変長くなってしまいました…スミマセン💦 でも自分がnoteを始めて、皆さまに伝えたかった事は、今回で書ききれたと思います。思ったより増えてしまいましたが、最初の記事の通りに全ての項目を書けました。今まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました( ;∀;)読みにくい所など多かったらスミマセンでした💦

最後の最後に、これでnoteを終わってもいいかな…と思ったのですが、蛇足かもですが次回こそ、「夢が終わってしまった後、その後の人生の過ごし方色々。」を書いてみようと思います。あまり楽しい話ではないですが、それでも見てみようという方がおられましたら、また覗いてみてください(;'∀')

ではでは、九月も終わりが見えてきたというのに、相変わらず毎日暑い日続きますが、皆さまくれぐれも体調に気を付けてお過ごしくださいませ~(;^ω^)ノシ



※2023年 10月5日 追記

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。そして、大変申し訳ありません。この記事は後から読み返して、実に色々問題があると自分なりに反省いたしまして、次の記事「前回記事「廃業」について、お詫びです」にて内容を補足、修正いたしました。もし気が向かれましたら、是非そちらも併せて読んで頂けると本当に嬉しいです。お手数お掛けしてスミマセン…。


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