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原作をただ「まとめた」からと言って、評価されるわけではない。(当たり前)

九月も半ばを過ぎても、一向に秋の気配という物を感じられない今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

今年も大変暑うございましたが、カレンダー的には秋に突入しているはずなのに、ここ愛知県では相変わらず夏真っ盛りです。ずーっとお風呂はシャワーですし、子供のおやつはアイスです。地球温暖化?洗濯物は乾くからいいけど(まだ言ってる)

居間のエアコンがいよいよもって寿命を迎えそうなので、また出費かと思うとブルーです。電気代も、上の子が赤ちゃんで、全然寝てくれなくて、24時間エアコン付けていて、一番大変だった時をはるかに超えて、過去最高です。皆さん苦労されてる事と思いますが、インフレ時代に突入みたいなので、これも時代の流れなのかもですね…。




さて、前回の記事で、「ハーレクイン作品を漫画化する場合、短くする問題以外にもう一つ、一番重要な問題があります。」と書かせて頂いたのですが、よく考えてみると、こんなニッチなテーゼに需要など無いのではないかと思ったりもしたのですが、普通の原作付き漫画を描くときにも、多少参考になるかもと思い、とりあえず自分の経験などから得た、一つの考えを書かせて頂こうと思いますです。

結論から申し上げます。「原作に忠実に描いても、主人公キャラ達に魅力が無い場合、どんなに頑張っても結果は出ない。」です。
特に男性主人公は重要です。(ハーレクイン用語で「ヒーロー」と言います。女性主人公は「ヒロイン」です。)

…最初に申し上げておきますが、自分は今までの著作で、ほぼ実績を上げておりませんので、果たして漫画を描く上でのハウツー的な意見を述べるに値するか、はなはだ疑わしいと思いますので(;^ω^)さらっと、こういう意見もあるかな、と参考程度にされる事を推奨いたしますです。

ハーレクイン原作の漫画化のご依頼を受けた時、最初に考えたのは、「とにかく125p以内にまとめる。」事で、次には、指示されたというのもあるのですが、「絵柄を見やすく、美しく、軽く、描き込み過ぎないように。」との事でした。内容については、「とにかくキラキラ感を出すように!」という漠然としたもので、正直難しかったです(;^ω^)

そんなんで、一応自分なりに頑張ってみたものの、一作目はほどほどの結果に終わった話は前々回したのですが、発表後、読者様の御指摘で目立って多かった「絵柄が硬い」という所を直すべく、それまで「アナログの原稿用紙に、ペン入れした原稿を、スキャナーで取り込んで、トーン作業だけデジタルで施して、デジタル原稿の状態で入稿する。」という手順だったのを、主線に柔らかさを出すため、「アナログ下書きを、鉛筆でトレースしたものを、主線としてスキャナーで取り込み、デジタル上で鉛筆線をあたかもペン入れ線のように加工し、その後トーン作業をする。」という手順に切り替えたりしてみました。

これにより、作業手順が結構増えたり、スキャナーの入力設定を、かなり綿密に調整する必要があったり、経験された方はほとんどいないかもしれないので、伝わるか分からないのですが、ペン入れ原稿と違って、鉛筆トレス原稿というのは、黒い所が完全に黒くないので、(濃いグレーでしかないです。)原稿のゴミ、汚れなどを全部スキャナーが拾ってしまい、(鉛筆の粉がまた飛び散るんですよね(-_-;) これをトーンが貼れるくらい、美しく整えるのに、また膨大なレタッチという手間が掛かったりして、(途中から、有能なアシスタントさんにお願いしておりました。)なかなかどうして一筋縄ではいかない物でした…。

そこまで頑張って、とにかく三作目まで描かせて頂きました…。しかし、結果はむしろ、評価は下がる一方で、作画方法や、絵柄を変える努力は、まったく結果につながる事はありませんでした。(その後も、どんなに頑張っても相変わらず、「絵柄が硬い」と指摘され続け、結局、仕事が無くなる最後まで、この御指摘が無くなる事はありませんでした…orz)

特に三作目の「美しき夢破れ」は、お恥かしい話ですが、多分人生で一番キャラの絵を頑張った作品でしたが、発表してみると、本当に酷い評価で、もうここであまり書きたくないほど、酷い言われようもされました。とにかく評価も最低でしたし、ヒーローもヒロインも、過去一番嫌われた作品でした。

頑張れば頑張るほど、評価が下がって行くこの時期は、漫画家人生で、一~二を争う辛い時代でしたが、これは何か努力の方向性が根本的に間違っている気がして、あらためて、同じ雑誌でも評価が高い先生方の作品から、学べる事が無いか、何度も読み返させてもらったり、他のヒット作や過去作品を分析させてもらったり、ネット上の評価や、原作小説との違いなど、色々リサーチさせてもらいました。(もっと最初からやっておけって話ですが…(;^ω^)

結論は、最初に述べた事を詳しくご説明しますが、「原作に忠実でも結果には結びつかない。いかに原作を下敷きに、現実に雑誌を買って下さっているファンの読者様の心に刺さる、魅力的なキャラの物語に改変するか。」

結果を出している作品は、これが出来ている作品なのではないか?と、沢山のヒットしているハーレクイン原作の漫画を読ませて頂いて、得た結論でした。

正直、海外のハーレクイン小説に出てくるヒロインやヒーロー達は、設定からして、あまり一般的でない物が多く、(基本舞台は海外で、ヒーローはとりあえず大企業のCEOだったり、下手をするとアラブの石油王だったり、小国の王族だったりします。)当然、そういったお立場ですので、キャラも極度に個性的な方が多くて、そのまま描いても、現代の日本人にはなかなか受け入れる事が難しい方が多かったです。

ヒーローだけならまだしも、ヒロインも、皆がそうではないのですが、中々気の強い方が多く、現代日本人から見ると、突拍子の無い行動をおとりになりがちでした。(家出して、ヒッピー的な生活をしてみたり、突然、子宮摘出手術を受けようとするとか…。)

それをそのまま描いてしまうと、やはり、あまり感情移入できない感じになっちゃうのかな…と思いました。しかし、原作ストーリー的には、これが肝のエピソードだったりして、色々悩ましかったです(;^ω^)

とにかく、あまりにも評価が低かった作品を作ってしまったことを結構反省しまして、その後は少なくともあまりに突飛なキャラは、なんとか原作のエッセンスを残しつつ、マイルドに感情移入できるキャラになるように変更する事を意識して、頑張ってみました。

そのかいあってなのか、どうなのか、その後発表させて頂いた作品は「美しき~」よりはマシな評価を受けられるようになったのかな…と思います。
(ただ、これが多分甘くて、失敗している作品もあります。分かったと思っても、また同じ失敗を繰り返してしまう…。自分自身ですらなかなか思う通りにはならないものですね…。)

一応、全てリンクの方、貼らせて頂きます。ここまで書いてご興味を持たれた奇特な方がおられましたら、よろしくお願いいたします。(お願いするのが辛い…(;^ω^)ええと、無視して下さって結構です。)







…ふう…。一応ハーレクイン本社からと、アマゾンから出ている物と両方リンク貼ってみました。無駄に長くなってしまって申し訳ありません💦

描いた順に並べてみました。最初の方は年一~二冊のペースで描けていましたが、最後の方は、恥ずかしながら、いよいよ生活が漫画だけでは立ちいかなくなり、フルに手伝ってくれていた妻が就職し、生活を支えてくれるようになったり、いよいよ育児が大変になった事により、ペースがガタ落ちして、数年に一冊ペースでした…(;^ω^) 

…結局、色々と粘って頑張りましたが、最後の最後まで、ハーレクイン原作のお仕事でも、目覚ましい結果を出すことはできませんでした。(それでも最後の方は、少しずつ「良かった」といって下さる方が多くなってきた気がしております。本当にありがとうございました( ;∀;)

しかし遂に、主にお仕事を頂いていた編集部が解散となってしまいました…。その後は、自分が営業していないのもありますが、お仕事の依頼が来ることも無く、自分の漫画家人生は、一旦幕を閉じる事となりました。。






次回は、「夢が終わってしまった後、その後の人生の過ごし方。」を少し書いてみたいと思います。このnoteを書き始めた、一番最初の記事に戻る内容になるかもです。やっとここまで辿り着きました(;^ω^)


今回特に長い記事になってしまって恐縮です。読みにくかったら大変申し訳ありませんm(__)m

それにしても、やはり人生的に失敗した流れを思い返すというのは、中々辛いものがありますね…。これから漫画家を目指す方々には、是非、私めの失敗を回避して、漫画家として成功される事を、心からお祈りいたします。

人生一度きりなので、好きな事に挑戦して、失敗したとしても、それはそれで、ある程度納得できるとは思いますが、やはり成功した方が百万倍良いのは間違いないですので、やみくもに挑戦するのではなく、どうやったら成功できるか、色々リサーチしてから望むのが良いかと存じますです。


ではでは、今回も読んで頂き、ありがとうございますm(__)m
いつもスキを頂ける皆様、コメントを寄せて下さる皆様、本当にありがとうございます( ;∀;)励みになっております。気が向かれたら、また次も読んでくださると嬉しいです(;^ω^)ノシ


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