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いざ読まん、日本一テンション高ぇ書評本!!

 ちょっと読んで思った。「あっ、この子オタクだな」と。
「人生を狂わす名著50」を出版なすった三宅香帆さんはあこがれの京大大学院生、お名前から察するに女子、しかも書店員という「あっ、すみませんちょっと僕とお茶でも」案件の美女(見たことないけどきっとそう!)なのだ。

 そんな若干の下心は胸の奥深くにちゃんとしまって、僕は本の頁をめくり……そして……「あっ、やっぱお茶はなしで!」と思った。

 いや、さすがに読書家だけあって本当に文章はお上手! リズミカルにスラスラ読めるし。本のチョイスも最高だし。読んだ本は「ああそうそれ、分かる~それ言いたかった、いやほんとマジで」って感じで抜かりなく言語化してくれてるし、読んだことない本(僕もまあまあ読む方だけど、取り上げられた本のだいたい半分は未読だった)については「うっひゃ、面白そう! 僕もこれ読もうっと」と思えるような素敵な紹介文だった。

 だけど。だけれども!

 (本に対する)愛がほとばしりすぎて、絶対この人喋り出したら止まらないよ? 愉快な感じの語り口だけど、これ絶対機関銃がごとく語り出してそのまま何もかも置いてきぼりにして宇宙の果てまで喋くってしまうタイプのオタクそのものだよ! なぜ分かるかって?

 そら、僕もそのケがあるからに決まっているだろう!

 というわけで「人生を狂わす名著50」を読みました。世界文学から児童文学、漫画に学術書まで幅広くほんと色々読んでおられて、しかも愛が重い(褒めてます)。個人的には氷室冴子先生の「なんて素敵にジャパネスク」が取り上げられているのが嬉しかったな! あれはマジで必読だから、ちょっと古い本だけど中高生は絶対に読んだ方がいい。中村うさぎ先生が入っているのも痺れるチョイス。中村先生はすげぇからな。あそこまでぶっとんだ方はそうそういないよ。水城せとな先生の「窮鼠はチーズの夢を見る」の章を読んで思ったのは、この人BL大好きなんだろうなってこと。ただでさえ高いテンションがさらに上がってるぞ。確かにあれはよかった。美しい絵に残酷な恋模様、たぐい稀な傑作なことは間違いないが。女の子って皆、BLが好きなんだろうなあ、と思った(偏見か?)。

 だが一方で、語りすぎている書評もちらほら。特に川端先生の「眠れる美女」は未読の方は読んではイケナイ……と思ったがよく考えてみると未読の方もそんなにおらんような有名小説だし、読まない人はあれくらい語らないと読まないんだから心配することもないんだった。

 しかしこんなにも熱く本について語れる人は素敵だ。僕も世界の片隅でWEB作家なんかやっている身だから余計にそう思う。いつか僕が有名になって、彼女や彼女と同じくらい本の好きな人に読んでもらえたら、本望だと思うよ。

 と、いうわけでやっぱりよかったら僕とお茶でも……いやいや何を隠そう僕も「伊勢物語」が好きでしてね。好きな段は八十二と八十三と……惟喬親王が出て来るシリーズはとにかく好きでこれの何がいいってこのたくさんある段の中の……うん、もうやめとこう。これじゃ僕の方が不審者極まりないからね。

 とにかく熱い書評が読みたい方、京大美女(見たことないけど絶対にそう!)がどんな本を読むか興味のある方、いやいや俺の方が読んでるし! と思われる勇者様などにおすすめいたしますが、これ以上読みたい本を増やしたくないという方には、まったくおすすめできません。おかげさまで僕の「読みたい本リスト」は十冊以上追加されてしまいました……(どうすんのよ、マジで)。

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