見出し画像

感覚を較正する

何歳になっても舞台に立ちたい。

そう言っている漫才師の方がいた。

漫才そのものが好きで、ずっと触れていたいというだけではない。その人が大事にしていることを一言で表すなら「感覚を較正する」ということなのだ。

「較正」とは、計器の狂いを正すこと。

自分の「面白さ」は今のお客さんには通用するのか。独り善がりなものになっていないか。そういった大きなテーマから、口調や間の取り方、身振り手振りの大きさといったテクニック的なところまで、お客さんの反応と照らし合わせて正していく。

自分の「面白さ」が完全に通用しないと分かったとき、すっぱりと引退すると決めているそうだ。

感覚の較正をしていないと、文字通り「ずれた」ことばかり言う人になってしまうのだろう。

感覚を較正するにあたって、大事なポイントがある。

それは、場所選びだ。お笑いに馴染みのない人でも楽しめる漫才を目指しているのに、コアなファンが集うワンマンライブばかりに立つのは感覚の較正という観点からは間違っている。

より卑近な例を挙げるなら、「周りからはオジサンと思われていても、本人は若々しいと思っている」というようなズレはここから起きるのだろう、と感じている。

自分の同世代を相手に感覚を較正しつづけているとすれば、「自分はまだいける」「むしろ同世代に比べれば若々しい」という自己評価になるのも頷ける。

僕だってそうだ。この後どういう人たちを見ながら感覚を較正していくか。どういう人たちに囲まれて、その環境を「普通」と思って生きていくか。

今の職場は僕にとって刺激的でとても充実しているけれど、常に考えていかなければならない。そう、思う。


いただいたサポートは執筆の題材探しや新生活の準備、妻との美味しいご飯に使わせていただきます。 SNSでnoteをシェアしていただくのも大きな励みになります。よろしくおねがいします。