見出し画像

熱帯魚のように個性的で美しく

僕が熱帯魚に興味を持ったのは高校1年生の時。インターネットか、テレビで見たのをきっかけに飼ってみたい!という思いが抑えきれなくなったので、なけなしの小遣いを握りしめて放課後ペットショップへ行った。熱帯魚コーナーは、当時の僕にとってそこにいるだけでわくわくする空間だった。

水が流れる音。エアレーションやポンプが回る音。照明によって美しく照らし出される小さなガラスの池。そこに無数のカラフルでそれぞれ異なった動きをする魚たち。なんて綺麗なんだろう。

カラフルで大きなヒレをもったメダカ。ヒレをゆらゆらさせながら踊るグッピー達。国産グッピーは色がしっかりしていて綺麗だったけれど、ずば抜けて高かったから諦めた。

熱帯魚と言えば、ネオンテトラ。発色の良い青いラインと鮮血を思わせる赤いラインが特徴。カージナルテトラとネオンテトラでは性格が違っていて、比較的温厚なカージナルテトラでもちょっと高いくせに、普通にツツキ合っていた。クラスの連中を見てるみたいやな、とだけ言って他をあたる。

僕のお気に入りは、アフリカンランプアイ、ニューギニアレインボー、クラウンキリーだった。けれど、どれもこれも育てるのが難しそうなので、観るのは熱帯魚コーナーだけでいいかと満足する事にした。当時はPhとかアンモニア濃度とかどうでもよくて、ただずっと観ていたかっただけだった。

そんな時、熱帯魚コーナーの一画に無数の瓶が並べられていて、そこに1匹ずつ入れられた綺麗な魚を見つけた。それがベタであった。僕のフォローしている人の中でBetalayertaleさんがいるけれど、僕もベタ大好き人間です!

すべてのヒレが大きく、それらには無数の繊細な織り目があって、泳ぐのが不便そうだって?何言ってんだお洒落は我慢だ!と言わんばかりの上品さとお洒落さを持っている。色彩の濃淡と、色のバリエーション、古代魚のような独特の表情、くりくりとした目、好奇心旺盛な性格。

水槽のガラスに何かを見つけると、じっと見つめてからパクっと食べようとする仕草。他の魚や、貝をつついたり底に沈んで休んでいる姿がみている方を飽きさせない。

別名闘魚と呼ばれるベタは、オス同士が鉢合わせると全身のヒレをこれでもかと言うくらいに広げて威嚇し、喧嘩を始める。どちらかが死ぬまで闘い続ける事もある。この威嚇は、ヒレを固着させない為にも定期的に必要なことで、育てる場合はこのベタに鏡を見せると敵と勘違いして威嚇する。

極めつけは、ラビリンス器官といってえら呼吸の他に肺呼吸ができるので、瓶で育てられるしエアレーションは必要ない。これは、ベタがもともとタイの流れのゆるいため池などに生息していた為である。

僕はこの熱帯魚に一目惚れして、赤色に粉砂糖をまぶしたような色のトラディショナルベタを買った。

熱帯魚は凄く繊細で弱いけれども、その美しさは時に鋭く強い。何時間も水槽の前に座って、その小さなガラスの池の世界観に僕は引き込まれてしまうのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?